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ラッド侯爵誕生と防衛戦開始。

 僕が貴族になった翌日、僕は陛下の送迎の為に城下街の教会へ向かった。


 すでに、仰々しい集団が教会に集まって来ている。


「おはようございます。陛下」


「あぁ、今日は送迎の件よろしく……」


「先に兵士四人を送ってから、陛下を送迎するんですよね」


「あぁ、教皇に伝えた手はずのままにやってくれて構わない」


「わかりました。

 直接、ラッド伯爵の屋敷の庭に送迎しますので、先に兵士四名は私の前に集まってください」



「貴公が依頼を受けた放浪画家か、[転送魔法]を使えるというが本当に信頼に足りるのか?」


「そういう事を言うのなら、貴方だけシーラハトの海底洞窟の前に島にでも置いていきましょうか?」


「ぬぐぐ!! 貴様舐めた口を聞きおって若造が!!」


「止めよ!! 一兵卒程度がそのような口を聞いていい相手ではないぞ!!」と、陛下が兵士長を通じて注意した。


「この者は先日、ラッド伯爵から男爵の爵位を受けた正真正銘の貴族だ、気をつけるように……」と、陛下が直接兵士に対して注意を入れた。


「あれっ、その件は昨日の出来事なんですけど、何故、伝わってます?」


「ふふふ、教会経由でな。

 今回の侯爵になる際に、貴公に爵位を与えるという旨は聞いていたのだよ」と、陛下が言った。



「陛下、ラッド伯爵の元に滞在する兵士は三名にしていただけないでしょうか?」


「ん? どう言う事だ?」


「先程の彼に一度[転送魔法]を体験してもらい、戻ってくる際に彼も連れて帰ります。

 自分を含め五名しか運べませんので、戻ってきた彼はお休みしてもらうと言う事で」


できるかもしれないが、できないという事にしておこう……。


「あぁ、それで構わんよ」


「それでは、先に兵士四名をスゴロクの街へと運びますね」


 しまった!! ……と、いう表情をした兵士をよそ目に[転送魔法]で兵士四人をラッド伯爵の屋敷の庭へ移動させた。


「ハイ、到着!!

 この場所に陛下が、再び到着されますので、少し離れておいてくださいね」


「はい、わかりました!!」と、三名の兵士が言った。


「それじゃ、そこの貴方。

 報告の為に戻りますよ……」と言うと、嫌そうに転送魔法の範囲に入ってきた。


「それじゃ、すぐ戻りますんで何かあったら。

 僕の名前と陛下の使いという件を伝えてください」と言って、再びセブンスの城下街へと移動した。


「ハイ、到着!!

 兵士さん、陛下に報告をお願いします」と、皮肉を言うと明らかに怨みがましい眼で、こちらを睨みながら陛下の元へと向かった。


 僕が[転送魔法]で、この場に戻ってきたのを確認すると、一同驚いているようだった。


「次は、陛下を送迎させてもらいますね。

 今回、移動する方は僕の近くまで移動お願いします」


 陛下を始め、側近一名、兵士長、教皇が僕の近くに集まった。


「それでは、この四名でよろしいですね?」と、陛下に尋ねた。


「あぁ、構わない」と、陛下の了承をえて、[転送魔法]を使用した。


「ハイ、到着!!」と、ラッド伯爵の屋敷に到着と同時に言った。


「それでは陛下、僕はエルフの村を守る為の防衛戦の指揮にあたりますので、これで失礼します」


「待て、サトウ男爵。

 君も、侯爵の爵位任命の式に参加してくれ。

 君もある意味、主役みたいなモノだからな……」


「サトウ君。

 教会の代表として、私からもお願いするよ」と、教皇に言われた。


「わかりました。

 防衛戦の準備は、村長とセリナに任せているので、なんとかなると思いますので参加します」


 その後、僕はラッド伯爵に丁重にもてなしてもらい。

 ラッド伯爵の侯爵任命の式が始まった。


 なかなかに、堅苦しい式でラッド伯爵から男爵位を爵位した時の、あっさり感はなくかなりの時間、色々な口上を聞かされ続けた……。


 くっ、失敗した……。そんなことを考えていると、教皇に見透かされたのか教皇が軽く笑っていた。


 そんなこんなで式典が終わろうとした時、ベルモンド陛下が僕の名前を呼んだ。


「サトウ男爵、私達の前へ来てくれたまえ……」


 ん? 誰のことだ? ……と、首を振ってあたりを見回すと教皇様に小突かれて、僕のことだと気づいた。


 恐る恐る、陛下と侯爵の前へ移動すると、陛下が話し始めた。


「この度、いや、今までの貴公の働き、私の目から見ても十二分過ぎる活躍と判断している。

 サトウ男爵に伯爵位を与え、ゴレッジの村の近郊の守備の任を与える」


「えっ? どう言うことでしょうか?」


「私から君に対して、領地を与えるという話だよ。

 ゴレッジの村には、君は縁が深いのだろう……。

 貴族として村を守ってやればいい」


 あっ……。


「もしかして、陛下、これから先の展開をまで考えられてましたか?」


「まぁ、あの男のことだ。私が注意しても、言うことを聞かぬだろう。

 そうなると、この街にいた伯爵位の人間が空席になる。

 この街はラッド侯爵に任せれば大丈夫だが、空いた爵位は君を任命する事にした。

 侯爵と伯爵から、糾弾されればサザランド侯爵も無事では済まぬからな。

 その為の対策として、引き受けてくれるとありがたい」


「そう言われましても、名誉職としての貴族の職ならわかりますが、純粋な貴族としての職はわかりかねます」


「何、貴公は思うままに動いてくれればそれでいい。

 現在は隣の国とも良好な関係を作っているが、いざと言う時守れる人間が居てくれるのは、私としてもありがたいのだ」


「難しい事は考えず、今まで通りやっていいんですね。

 それなら、引き受けますよ」と言って、伯爵の爵位を引き受ける事にした。


「ふはは、この件はラッド侯爵とデロン教皇と考えていた事なのだよ」


「あぁ、それで僕に静止をかけたんですね」


「まぁ、そうだ。

 それで、私はこの屋敷に三週間程滞在すればいいのだろう?」


「ハイ、そうしていただければ。

 サザランド侯爵の行動の一部始終が見れる事でしょう」


「わかった。そうするとしよう……」


 そうして、僕はゴレッジの村のギルドに貴族としての挨拶をしに行った。


 いつものように来客室へと通され、ティーゼさんが相手をしてくれた。

 そこで、この村近辺を防衛する任を任されたと伝えると、ティーゼさんは何故か喜んでくれた。


「そうなると、サトウさんはこの村に滞在することが多くなるんですかね?」と、嬉しそうに聞いてきた。


「うーん、それはわかりません。

 今、ギルドに屋敷を作ってもらってますけど、好きに動いていいらしいですから。

 ただ隣国からの攻撃を防ぐ為の力としての期待はされてるみたいですね……」


「そうなんですか……。

 それでも、この村に縁が深くなるわけですし。

 私達としても嬉しいですよ」


「そうですか、そう言ってもらえると僕も嬉しいですね」と言って、次に言いにくいことを話す事にした。


「次に、言いにくい事なんですけど……」と、僕は口ごもりながら話す事にした。


「スゴロクの街から、兵士が来るんですよね。

 サトウさんが防衛の任に就いたのも、そのあたりが理由もあるんでしょう」


「えっ!?」


 自分で言うまえに、ティーゼに考えを読まれた。


「スゴロクの街の兵士達が既に北へ進軍するしかない状況ができかけてるんです。

 流石にギルドがあるからという理由で、高みの見物はできませんよ」


「今回のエルフの村の防衛戦が終わったら、エルフ達にゴレッジの村の協力の要請を行います。

 ティーゼさんは、ゴルドン兵士長と話をしてもらって、防衛ラインの構築等の作戦を練ってください。

 極力、エルフの村で戦力を叩いておきますんで……」


「わかりました。任せておいてください。

 伯爵様から直々のお願いですからね、私も頑張りますよ」


「ティーゼさんが、そう言ってくれると頼もしいですね。

 それじゃ、防衛の準備の件お願いします」と言って、その場を離れエルフの村へ移動した。


 そして、二週間ほどエルフの村の防衛戦の為の準備を手伝い、決戦の当日となった……。

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