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海底洞窟からの帰還

 カチッ……。


 星型の石を差し込んだが、何も起きなかった。


 アレッ? 隠し部屋の鍵じゃ無かったのかと思い、星型の石を穴から抜き出すと……。

 空洞があるであろう、目の前の壁が開かれた。


 隠し部屋だ!!

 ……と喜び、隠し部屋に入った瞬間に扉は閉じられた。


 あっ!! 罠か!?……と、思い隠し部屋内を探索することになった。


 ……

 …………


 結論から言うと罠ではなく、この星型の石を持つ人間以外は入れないようにするための仕組みだった。

 内側の壁にも星型の穴があり、そこに星型の石を差し込めば隠し扉が現れた。


 この階層は宝箱はなかったが、代わりに更に地下へ潜る為の階段があった。

 そして、階段の際にここから先、【海底神殿】と書かれている石版があった。


 道中、睡眠をとる際は[アースウォール]で四方を囲み、聖水を地面に撒いて地を浄化して、[縄師]のスキルを駆使してハンモック状にして、宙に吊るした状態で睡眠を取っていた。

 食事なんかは、[アイテムボックス]に入っている物を、ただ消費していった。


 こうして、僕の一週間の【海底洞窟】探索が終わった。


 マップを確認しながら海底洞窟の20階から地上へ戻り、[転送魔法]でいつもの宿屋へと戻ってきた。


 毎日、寝る前に[クリア]の魔法は使っていたが、今日は体を洗いたい……。

 いや、お風呂に入りたい……。けど、庶民はお風呂なんてものは入れないらしい。


 そんなことを考えながら宿屋に入ると、

「お客さん、無事だったんだね。

 一週間もご無沙汰だったから心配したよ」


「あぁ、すまないね。

 ギルドの依頼で洞窟探索してたら、一週間かかったよ」


「いやいや、無事でいてくれたのなら何よりさ。

 身体を洗ってから、部屋に行くんだろ?」と、店主が言ってくれて、部屋の鍵と、タオルと、お湯の入った桶を渡してくれた。


「あぁ、どうもありがとう」と言って、店主から色々と受け取った。


「部屋はいつもの部屋だよ。

 一ヶ月分の代金はもらってるからね」


 それを聞いて、裏庭の井戸水でお湯を作り、身体を洗ってから部屋で睡眠をとった。


 ◇◆◇◆


 朝だ……。

 カーテン越しの陽の光が暖かく感じる。一週間程、洞窟暮らしをしていた反動で陽の暖かさに軽く感動していた。


「お客さん、随分と眠っていたね。もう、昼過ぎだぜ……。

 そういえば、ギルドの職員が帰ってきたらギルド長を迎えに行ってくれと伝えてくれって言ってたよ」


「あぁ、わかったよ。

 伝言ありがとう」と言って、宿屋を出た。


 キチンとしたベッドで眠れた事もあり、体が軽い気がする。

 よし、ティーゼさん達を迎えに行くとするか……。


 ん? ティーゼ?

『鉄の女』……って、ティーゼさんの事か、今頃になって思い出したよ。

 彼女は海底洞窟の最終階まで行ってたんだな、彼女は結構なやり手なんじゃないのか……?


 [転送魔法]を使って、シーラハトのギルド前に移動した。


 買取倉庫にいるであろう、ギルド長に挨拶しに行く。


 案の定いた……。


「おはようございます。ギルド長」


「おっ!! 良かった無事だったか……。

 娘が君を助けに行くと言って、装備を整えようとしていたところだったよ」


「あははは、20階で手間取って迎えに来るのに8日ほどかかりましたね。

 職員さん達で、ティーゼさん達に僕が無事だと伝えてもらっていいですか?」


「あぁ、いいとも。

 それと私達も君の探索の内容を聞きたいからな」と、ギルド長は他のスタッフにティーゼさん達に連絡を入れるように伝えていた。


 ……

 …………


 しばらくして、ティーゼが息を切らすようにして急いでこの場所に現れた。


「おはようございます。

 ティーゼさん、今日もお綺麗ですね」


「もう、サトウさん。

 そんなことばっかり言って、心配したんですよ」


「あははは、すいません。

 心配させちゃいましたね」


「一週間で帰ってこないから、私が洞窟に行こうと思ってましたよ」


「ほんと、すいません。

 それより、『鉄の女』って海底洞窟のある島の道具屋に最深階到達者として、記録されてましたよ」


「あらぁ、見られちゃいましたね。

 私が他の町に行く条件だったんですよ。海底洞窟の最深階の到達が……」


「いやぁ、娘が旅に出たいとか言うから。

 無理だろうと思う、難題押し付けたら異名付きで海底洞窟をクリアしてきてね。

 それで、この町をこの子は出ていったんだよ……」


「そうだったんですねぇ……」


「それで、サトウさんは何階まで到達したんですか?」


「えーっと……」と、口ごもっていると。


 モルドさんとマリルさんがひょこっと現れた。


「よーう、面白そうな話してるじゃないか!!

 また何かやらかしたのか!!」と、モルドさんが言ってきた。


「へぇ、楽しみだね。

 ぜひ続きを聞かせてくれ」と、マリルさんも乗り気だった。


 この状況は、話さないとダメなやつか……。


「仕方ないですね……。

 お話ししますよ」と、観念したかのように話すことにした。


 面白い話が聞けると思い皆、息を飲むように集中し始めた。


「まず、私が到達したのは最深階の20階です」


「おぉー!! やるねぇ初探索で最深階クリアかい?」と、ティダさんが言った。


「一応、マッピングも20階のみ済ませてますよ」


「げっ!! また、やらかしたのかい!!」と、モルドさんが言った。


「モルドさんのお察しの通り、隠し部屋がありました」と、言って隠し部屋込みのマップとスケッチした絵をティダさんに提出した。


「えっ!!隠し部屋 あったんですか?」と、ティーゼが驚いていた。


 それから、20階での出来事や、道中の出来事などを皆に伝えた。


「まさか、ボスモンスター討伐が隠し扉発見の条件とは……」と、ギルド長全員が驚いていた。


「魔石を見せてもらえないだろうか?」


「どうぞ」と言って、スライムキングの魔石をティダさんに渡した。


 鋭い目で皆が魔石を鑑定している。


「本物だな、これは……」と、ティダさんが言った。


「サトウハジメ君、二つ目の依頼も達成した判断しましょう」と言って、魔石を返してもらった。


「しかし、20階が最深階じゃなかったとは……」と、ティダさんが言う。


「また、折を見て探索しますよ。

 それは、そうと巨大なスライムキングの素体ってギルドで買い取ってもらえませんかね?」


「あぁ、それならうちのギルドが研究目的として買い取らせてらうよ」と、マリルさんが言った。


「あぁ、助かります」


「いやいや、ボスモンスターの素体とか研究するには、もってこいの代物だからね」


 こうして、ギルド依頼を達成し各ギルド長を町に送り届けて、今回の冒険は無事終わった。


 ちなみに、城下街のギルドの買取倉庫がゼリー状の物で埋め尽くされ、掃除が面倒で買い取りの安請け合いして城下街のギルドが後悔するハメになったのは、また別の話である。

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