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全額ベッド。

 貴族の屋敷を出た後、城下街とゴレッジの村とスゴロクの街の教会から絵の売り上げを全て受け取り、ドナルド神父に事の経緯を伝えた。


「また、ややこしいことに首を突っ込んだみたいだね」


「僕の持ってるマジックバックを奪いたいんでしょう。

 それで公の場で殺してしまっても、全て奪えるし、もし僕が勝ったとしても貴族は戦力を得るんです。

 そう考えてるんでしょう? しかし、これをやった事で相手からの信頼が全てなくなると言うのにね」


「私も見学に行くよ。セリナ君も連れてな」


「ハイ、そうしてください。

 応援してくれる人が一人でもいると心強いですから。

 そしたら、行ってきますよ」


 指定の2時間もかからず1時間程度で再び貴族の前に現れた。


「お待たせしました。

 僕の所持金を全てかき集めてきました……。

 僕自身にベッドできる時間は下さいね」


「あぁ、それくらいの時間は与えよう」と貴族は言って、僕は兵士達に連行されるようにカジノへ連れていかれた。


 連行されながら、カジノの入り口を通る。


「佐藤様、今日はそのような状態で連れられてどうされましたか?」と、入り口にいる黒服に尋ねられた。


「あー、コーディ様の狩りの部隊に志願したら。

 兵士長とやらと戦うハメになってね。僕にとっては生きるか死ぬか戦いになるから所持金の全額を僕にかけようと思ってね」


「ほう、佐藤様は流石ですね。

 兵士の方達はお離れなさい、お客様への無礼はカジノ店長の私が許しませんよ」


 そうやって、黒服の男が兵士達をにらんだ。


「あっ、どーも」と、お礼を言って兵士達の手から離れて全額をチップに換金してきた。

 あまりの大金に、換金所の店員が驚愕していたのは言うまでもない事だ……。


「ほぅ、大きく張られましたね。

 流石、佐藤様……」と、黒服の男が褒めてきた。


「勝てる勝負と思ってるし、理解してないのは兵士達とコーディ様くらいのものさ」


「でしょうね……」と、何か思うところがあるような返答をしてきた。


「それでは、私が自ら闘技場へ案内いたします」


「あっ、お願いするよ」


 黒服について行くように歩き、僕の後ろには二人の兵士が付いてきている。


 入場料を払い闘技場に入り、闘技場の受付で2試合後の僕に対して行う前に、二試合後の対戦カードの触れ込みを確認した。


 ーー本日第3戦ーー


 スゴロクの街、貴族代表コーディ様の親衛隊隊長


 VS


 謎の放浪画家、佐藤初


 ーーーー


 ふーん、圧倒的に親衛隊長が人気なわけだ。

 ココに、僕が全額ベットを掛けると割合が半々位になった。

 受付から、ベッドした対戦カードの投票券を受け取った。この紙切れに僕の全財産がかかっている。


 ただし、急なオッズ変動の理由についての解説があり、謎の放浪画家が自分にベッドしただけという情報が伝わり、またオッズが元どおりになってしまった。


「それでは、控え室に向かいましょうか」と、黒服の男性が誘導してくれた。


 その誘導についていき、選手の控え室に移動した。

 選手の入場口毎に控え室が違うみたいで、この控え室には僕とその見張りの兵士しか存在しなかった。


 戦闘が始まるというのに、緊張感もなく欠伸をしていると兵士がキレてきた。


「貴様、兵士長を相手にするというのに余裕そうだな!!」


「志願した時点で、そうなるのが決まってたのなら。

 やるしかないですし、それに貴方達は数でしかエルフの村を襲うことができなかった。

 腰抜けの集まりでしょ? そんな連中の兵士長って自ら雑魚って喧伝してるようなものだし」


 と、敢えて煽っておいた。


「言わせておけば……!!」と、挑発に乗った兵士をもう片方の兵士が止めた。


「やめておけ、結果は闘技場に立ってしまえばわかる事だ。

 アンタの強気も後30分もすれば無くなるさ……」と、兵士が皮肉を言ってきた。


「ふーん」と、割とどうでもいい感じに答えておいた。


 軽く準備運動をしてから、マジックバックから装備を取り出していく。


 鎖かたびらにミスリルプレート、3連のナイフホルダーを装着しオマケ程度に剛力の指輪もつけておいた。

 最後に、ウッドボウを装備しておく。


「なっ!! 一対一の対決に飛び道具だと!!

 この卑怯者め!!」


「はいはい、なんでもありなんでしょ?

 弓を使うことを教えてくればいい」と、兵士に言ったら伝えに行った。


 ホント、アウェーだね……。

 手の内を見せる前に決着つけないとな。


 最初の一撃だけ弓を使って、その後は魔法で仕留めるつもりだ。


 ……

 …………


 では、時間だ……。


「サトウハジメ選手、闘技場に移動をお願いします」


 案内の人間の後をついていった。

 道中……状態異常になる毒の霧などの嫌がらせを受けたが、こっそり[ヒーリング]をして、ケロッとしている振りをしてみせた。


 そして僕は暗い通路から、明かりが見える広間に進んでいった。


 ワーワー!! という歓声と共に明らかにに鉄火場の雰囲気が出始めてきた。


「右手入り口から、謎の放浪画家、サトウハジメ選手の入場です!!」と、アナウンスが入る。


「ブー!!BWoooooo!!」と、入場と同時にブーイングを受け完全に僕が悪役である。


「左手入り口から、貴族の親衛隊隊長を務めるゴルドン兵士長の入場だぁ!!

 鬼のゴルドンの対戦成績は20戦無敗、すべての対戦相手は全て死亡、今日も闘技場に墓標ができてしまうのか!!」


 うわぁ……。クズだぁ!!


「それでは、試合開始!!」と、カァーンと鐘の音が響いた。

 敵との距離がかなりあるので牽制を兼ねて弓の一撃を放つ。


 ギリリリ、と弓を絞り矢を放った。

 兵士長に向けて、矢が襲いかかる!!


 それを、剣尖一線で矢を斬りはらう。

 遠距離攻撃をさらに警戒して寄ってこないので、二の矢、三の矢と放つが矢が切り払われる。


 まぁ、ウッドボウじゃこんなもんだよなと納得して弓を投げ捨てた。

 ホルダーからミスリルのナイフを取り出して、ナイフを身構えた。


「おっと!! サトウ選手、弓での攻撃を諦めて、ナイフに持ち替えた!!」と、解説はノリノリである。


 遠距離攻撃がないと判断した、兵士長は一気に距離を詰めにきた。


 甘い……甘すぎるよ。


 [ファイアウォール]


 炎の壁を兵士長の全面に張り、行き止まりを作り即座に、黒鉄のナイフと鋼鉄のナイフを兵士長に向けて投擲した。


 虚を突かれた兵士長は投げナイフによる攻撃を二撃とも直撃していた。


 出血により、明らかに速度が落ちた兵士長を魔法による的に定めた。


 殺すのではなく降参させるのなら[ファイアボルト]より[ファイアストーム]だろう。



 [ファイアウォール]の後方をめがけて、[ファイアストーム]で魔法攻撃を行った。


 熊のように、炎の壁に突っ込む勇気があれば一死むくえたかもしれないが、すでに対処済みなのでどちらにしても無理だがね……。


 兵士長が炎の渦に焼かれていく、黒焦げになった兵士長が何かの薬品を飲み始めた。


「おっと!! 兵士長ココで迷わず、完全回復薬を使用してきた!!」と、解説が入る。


 クッソ面倒だな。


 [ブレッシング][速度増加]を立て続けにかけて、[変幻の指輪]で、バッタの化け物とやらに変身した。


 面を食らった、兵士長が困惑し、盗賊のスピードと魔法により強化された化け物が兵士長を、翻弄してひたすら追い詰めていき、ナイフで両腕を斬りつけ首元にナイフを突きつけて、降参にまで持っていった。


「勝者、サトウハジメ!!」


 勝者のコールを聞いて、変身の[解除]を行った。

「解除」っと……。


「びっくりしましたねぇ、サトウ選手勝ちましたが、化け物に変身したと思った瞬間、物凄いスピードでゴルドン選手を翻弄して、そのまま降参させてしまいました」


 インタビューをするため、アナウンサーが闘技場に降りてきた。


「サトウ選手、は魔法使いだったんですね。

 それを気づかせないために、最初に遠距離攻撃で牽制をしたと、それでゴルドン選手が不用意に近づいたところを魔法でハメたわけですね」


「相手が何してくるかわかりませんでしたので」


 観客から盛大にブーイングが飛んできている。

 あぁ、負け犬どもの遠吠えが心地よいわ!!


「そして、ゴルドン選手が超高額の完全回復薬を使った瞬間、イラッときたのか表情に出てましたよ。

 そこから、バッタの化け物の姿になって、一気に蹂躙していきましたね。

 アレはなんですか?」


「僕の生まれ故郷では悪事を働く連中には、あの姿のヒーローが悪を叩きのめしていくんです。

 それのオマージュですよ。ネタバレするとスキルでああいう風にみせて、相手を同様させる為にやりました」


 アイテムでやったというと、色々と面倒なのでスキルということでごまかしておくことにした。


「ゴルドン選手の20連勝を止めたのは、サトウ選手でした!!」


「僕にかけなかった人、残念でしたー!!」と、全力で客を煽って遊んだ後。


 完全にダウンしている、兵士長を[ヒール]で回復させてから。

 僕は闘技場を出て全額換金しにいった……。


 正直、見たこともない金額が僕の手元に戻ってきた。

 ココで、貴族の地位をかう為の大金を作りおえた。


「佐藤様、お疲れ様でした」


「あぁ、黒服さんか。

 ここの店長さんだったね。番狂わせで大儲けさせてもらって申し訳ないね」


「いえいえ、我々はかける人間がいれば儲けれるようになってますんで、問題ありませんよ。

 しかし、今回は貴族のコーディ様とサザランド様が大外ししていたみたいで、今後の資金繰りが大変でしょうね」


「黒服さん、貴方は店長だったよな?」


「左様ですが? 何か?」


「なんで、奴隷を使ったゲームなどを作るんだ?」


「そ、それは。資金提供している。

 貴族のお二人の希望でして、我々としましても心苦しい限りです」


「店長さん、エルフの奴隷が送られてきてないか?

 いるのなら全て買い取りたいのだが?」


「来月からの景品候補がエルフになりますね」


「ん? そうなると、オークに襲わせるあのゲームの開始が早まるのか?」


「いえ、それは当初の予定通り半年後ですね」


「半年後売れ残っていて、そのゲーム送りになる人間がいたら僕がそれを買うから、あのゲームはやらないでくれないか?」


「佐藤様が買われるというのでしたら、私どもが貴族に文句を言われることもありませんので、在庫処分を行わないで済むと思います」


「そうか、それなら良かった……」


「早く、この腐ったこの街を立て直してください。佐藤様」


 ん? なんでそれを知ってるんだ?


「びっくりされないでください、私もラッド伯爵を応援する一人なんですよ。

 なので、貴方様の活躍はしってます。

 今回の件で、ラッド伯爵が力をつけるのは明白ですからね」


「もしかして、ラッド伯爵推しのメンツは僕の情報を持ってたから、大儲けしたってわけかい?」


「ははは……!!」と、黒服の男は大笑いしていた。


 そして、カジノを出て再び貴族の屋敷へ向かっていった。

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