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ビッグベアー討伐。

 護衛の兵に話を通して、村長の家に入る。


 家に入ると広間があり、そこに大きめの椅子があり。

 そこに、セリナと同い年くらいに見える女性のエルフが座っていた。


「お主が、そこのセリナを救ったという人間か?」


「救ったというか、買いました」


「ふむ、買ったか……。

 それなら当然のように、夜のお仕事も盛んなんだろうな?」


「うん。絶対にこの人若くない。

 もう、発想がおっさんかおばちゃんレベルだ……」


「いえ、一切手を出してませんよ。

 生娘のままですよ」


「なんじゃ、こんなに器量良しの娘なのに手を出さんのか?」


「色々、あって出せないんですよ。

 それもあって、そういう事考えてませんねぇ」


 ……等と話していると、セリナが赤くなって俯いていた。


「ご主人様、本題に入られてください」


「ああ、そうだね」と言って、僕は前の集落での話とロリ村長の話を村長に伝えた。


「ふむふむ……。そうか、とりあえずは安全になったので村に人を戻せとな。

 それは構わないが、防衛のために男衆も何人か貸してくれというところのだな」


「まぁ、あの村がある意味私達の集落を守る防波堤の役目をしてくれているので、願いを聞くのもやぶさかではないが、何も無しで願いを聞くのもな……」


「あぁ、道中に狼とイノシシを仕留めて来てますんで、それをお納めしますよ。

 すでに、集落の広場は肉が来るのを待ってるんじゃないですかね」


「まぁ、私らは肉を取らないが。

 狩りにいく男衆や若い連中は普通に肉を食べるんでな。

 ありがたく頂戴するよ。調理場に降ろしておいてくれ」


「わかりました」


「しかし、どこにそんなものを持っているというのだ?」


 マジックバック(仮)を軽く叩き、「これのおかげですね」と言った。


「なるほどな……」と、納得した様子だ。


「君達の来客は歓迎しよう。

 しかし、うちの集落の男衆を貸し出す条件として、一つ私の頼みを聞いてくれないか?」


「どんな頼みです?」


「ここから、東に行ったところに洞窟があるんじゃよ。

 そこの中に泉があっての、魔光り草が群生してるんじゃよ」


「魔光り草なら、他の洞窟に群生してる場所も知ってますよ?」


「そうじゃない。私達が使うための物だから私達が確保しに行く必要がある」


「うわぁ……。

 嫌な予感しかしないんですけど」


「お主らで、洞窟を縄張りにしている。

 ビックベアーを討伐して来てくれないか?

 セリナもいるし、できるじゃろ?」


「どうなの、できる?」と、セリナに聞いてみた。


「前使っていた弓より、今の物が良い物なのでなんとかなると思います。

 それで、この村の男衆は貸していただけるのですか?」


「それは、無理じゃ。

 少なくとも、同胞の集落が責められた直後だ警戒の為の人員を減らすわけにはいかない」


「そんな状態で、僕達にそんなモンスターを倒せっていうんですか?」


「あぁ、やってもらう。

 それくらいやれる人間でなければ、村の一大事を任せれないだろう」


 ぐぬぬぬぬ……。

 僕はノーが言える日本人だ!!


「その、条件でお受けします」と、セリナが引き受けてしまった。


「えっ!? いや、危険じゃない?」


「ご主人様は、ご自分の事を過小評価しすぎです」


「うーむ、相手は洞窟にこもっているんでしょう。

 セリナの攻撃には期待できるけど、弱点がわからない以上、対応が難しいな」


 どうしたものか……。

 相手の視界と、動物型モンスターの特有の嗅覚さえ潰せれば対応できると思うが?


「村長、煙り玉みたいなものはないのか?」


「なんじゃ、それは?」


「僕の知っている煙り玉は、火をつけたらその玉から煙が出て煙幕の代わりになるアイテムだ」


「なんじゃ、それならワシらが虫除けに使ってる緑り玉を使えばいい」


「緑玉って? 特定の木の樹脂を集めるとな虫除けになるんじゃ。

 置いておけば虫除けになるが一気に、虫退治するときはそれに火をつけるんじゃ。

 そうすれば、虫達が嫌がる煙と匂いを出すんじゃよ」


「へぇ……。

 それをいくつか融通してくれないか?」


「それくらいなら、良いぞ」と言って、村長はタンスから設置してあった。

 5つの緑玉を手渡してきた。


 えっと、これは衣服を守るために使うアイテムという事で、それがタンスに……入ってた。

 首をぶんぶんぶんと振って、正気に戻した。


「ありがたく頂きます」


「今日は村で休んで行くと良い、せっかく主らが肉を贈呈してくれたんだ」


 そんな流れで、その日は広場で、集落の人達と食事を楽しんだ。

 途中、セリナが元集落の住民を見つけて、話を弾ませていた。


「元の村に返してやらないとな……」と、僕は一人でつぶやいていた。


 そう客人が来たお祭り騒ぎも終了し、辺りが暗くなって来た。

 その夜は、村長の家に泊まらせてもらい睡眠についた。


 ……

 …………


 セリナと部屋は別々に分けてもらっていたので、着替えを済ませて村長の家の広間へ移動した。


「おはようございます。ご主人様」


「あぁ、おはよう。

 今日もよろしくね」


「お主らの健闘を祈っておるぞ」と、村長が言った。


「「行ってきます」」


 そこから、集落から東へ進み森の中にある洞窟を探すことにした。


 ……

 …………


 しばらく、探索を続けていたら洞窟を見つけた。


「ここだな……」


「ここですね」


 とりあえず、作戦をセリナに伝えた。


 主な作戦はこうだ……


 セリナには洞窟の外で、弓を構えて待ってもらう。


 僕は、ダンジョン内の探索を行う。

 ビッグベアーを見つけたら、全力で逃げる。

 もし、追いかけてきたら緑玉に[ファイア]の魔法で火をつけて洞窟の入り口付近で煙で煙幕を作る。


 僕が先に、煙から出て一旦、待機する。


 そして、煙からビッグベアーが出てきた瞬間に、全力で狙い撃つ。

 そして、僕も側面から挟撃に入る流れだ。


 とりあえず、不意打ちと最大火力で一気に潰す作戦だ。


「よし、それじゃ行ってくる」と言って、ダンジョンに入る。

 [ライト]の魔法を使い、右手にナイフを持ち、左手で緑玉を準備しながら歩く。


 洞窟の中のマップを埋めながら、探索を続ける。

 しかし、モンスターの気配がない。ビッグベアーが他のモンスターを追い払ったのだろうか?


 マップを埋めていくと、洞窟の中に大広間があった。


 大広間の中央で眠っている。

 大型の熊がいる。


 [潜伏]で隠れているので、起きる気配はない。

 反応がないのならやるしかない……せっかくなんで、隠れながらビッグベアーの寝姿を下書きした。


 マップを確認して、[スピードアップ]の魔法をかけておく。


 黒金のナイフは正直、コイツ相手には出番ないので腰のホルダーに挿した。

 弓は、片手に緑玉を持ってるので使えない。


 やれるとすると、[投石]か、属性矢による魔法攻撃だ。

 この場所は洞窟だ、燃え移る心配はない。


 少しでもダメージを稼ぎたいので[ファイアランス]で一撃を加えて挑発をして、全力で逃げる。


 ゴクリと、息を呑み気合いを入れた。……やるぞ。


 [ファイアランス]


 眠っている熊相手に炎の矢を放つ!!


 そして、熊に命中しこちらを恨めしそうに睨んできた!!


 く、くる!!


「に、逃げろぉぉぉーーーー!!」


 盗賊の全力の逃げと、野生の全力の狩りの対決だ……!!


「くるんじゃねー」


 [ファイアウォール]


 火の壁を突き破って、さらに追いかけてくる。


 ぎゃーーーー!!


 逃げれば逃げるほど余裕がなくなる。


 出口が見えた!!


 [ファイア]の魔法で、緑玉に火をつけて。出口に向かって下手で投げた。

 それを追うようにして、出口に逃げる。


 ヤベェーー!! めっちゃ近え!!

 煙が立ち方昇った瞬間、熊の凶悪な爪の攻撃が振り下ろされた。


 なんとか、転がるようにして熊の攻撃を避けたが地面に倒れてしまい身動きが取れない。


「ご主人様、そのまま伏せていてください!!」と、声が聞こえた。


 ビッグベアーが煙から出ようとした瞬間。


 ビッグベアーに弓矢が立て続けに刺さっていく!!

 嘘だろ、矢が刺さってるけど効いてないのか?


 彼女の判断のおかげでなんとか体制は立て直せた。


 ビッグベアーは、僕に気づかずセリナを目標に定めた。

 セリナも懸命に弓を使って攻撃を続けている。


「おい、クマやろう。

 お前の相手はここだぞ!!」と言って、ビッグベアーの背後から[ファイアランス]を放った。


 そのあとは、僕もセリナも必死に攻撃を続けた。

 ビッグベアーの歩みが遅くなり、そのまま倒れていった。


「危ねえーーーー!!」


 ビッグベアーを倒した。


「お疲れ様です。ご主人様」


「いや、セリナ。本当に助かったよ、さすがにヤバかった。

 こんなの二人で相手しちゃダメだ……」


 とりあえず倒したビッグベアーを、[マジックバッグ(仮)]に入れた。


 そして、洞窟の広間の奥にある水辺で魔光り草を回収した。

 この場所を、一応チェックしておこう。


 そのあと、[転送魔法]を使い村長の依頼の報告を伝えるため集落に戻った。

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