エルフの森には、危険がいっぱい。
街からしばらく歩いていると、森に入る前にオークに出くわした。
前回の探索でレベル30まで、上がっていたため。
魔法やスキルも新たに覚えていた。
「ちょっと試したい魔法があるんで、あのモンスターは僕が相手するね」
「わかりました。
気をつけてくださいね」と、セリナが言う。
オークに対して少しずつ、距離を詰めていく……。
ある程度近づくと、オークがこちらに気づき襲いかかって来た。
ある程度距離があるので、魔法を使う分には余裕がある。
「よし、お前は眠っとけ!!」
[スリープ]の魔法をオークに対して放った。
オークが振り上げていた斧が地面に落ち、立ったまま眠っている。
[スリープ]の魔法が成功した。
コイツの武器回収しておけば、そんなに危なくないだろう。
……ということで、オークが持っていた石斧をとりあえず遠くに投げ捨てた。
「あの? ご主人様何をするつもりですか?」
「絵を描く!!
すぐ先に森が見えてるし。一旦、ここで昼休憩してから先に進もう」
「わかりました。料理作ってますね」と、言ってセリナは少し離れたところで料理を作り始めた。
暴れられても困るなと思い、新しく覚えた[アースウォール]の魔法で土の柱をオークの背後に作った。
ここからが盗賊のスキルの出番だ。[捕縛][縄師]と言うスキルを獲得していたので有効活用する。
オークの背後にいる柱とオークをくくりつける。
オークを、柱くくり付けて[捕縛]完了したがまだ、モンスターは眠っていた。
起こすのも申し訳なかったので、眠っているオークを絵に書いていった。
絵を描き終わった頃に、セリナが食事ができたことを教えてくれた。
「ご主人様、料理できましたよ」
「あー、わかった」と言って、セリナの元へ移動した。
セリナが今回も、料理を作ってくれました。
「いただきまーす」
……
…………
セリナが作ってくれた料理を食べ終えると、縛り付けていたオークが起きたのか辺りが騒がしくなった。
「あー、起きたみたいだね。
僕がアレの対処するから、後片付けお願いするね」と言って、オークが暴れていた場所に移動した。
オークが、まるで親の仇のようにコチラを睨みつけてくる。
んー? 絵のモデルになったモンスターだし、倒すのはなんだかなぁ。
よしっ!! もう、一回寝とけ。
[スリープ]の魔法で、もう一度眠らせて、縄をほどき魔法で作った柱を崩しておいた。
眠っているオークを放置して、セリナの元へ戻った。
「お待たせー。
片付け終わったんなら、森へ進もうか?」
「ハイ、それはそうとオークはどうされたんですか?」
「一応、モデルになったモンスターだったんで、今回は眠らせて放置しておいた」
「オークが起きる前に、森に入らないといけませんね」
「そうだね」と言って、僕達のパーティは南の森へと入っていった。
森に入り、薄暗くなったので[ライト]の魔法で辺りを明るくした。
「セリナの住んでた村が、この森にあるんだよね?」
「はい、確認しに行ってもいいですか?」
「いいけど……。
気持ちだけは強く持ってね」
「はい、もしかすると生き残りがいるかもしれませんから」
「そうだね、そう考えて先へ進もう。
それで君達の村までどれくらいかかるのかな?」
「ここからだと、歩き通しで1日と言う感じでしょうか」
「正直、森の中は時間の感覚壊れるんで、このまま村まで移動しようか。
道案内は任せたよ」
「はい、任せてください」
「それで、この森に出てくるモンスターってどんなのが出てくるの?
貴族達の討伐隊が、壊滅しかけてたって言ってたけど?」
「この森は、エルフの森と言われていて、エルフの住む集落が何箇所かあります」
「うん、それで?」
「この森に住むモンスターで、一番の強敵がビッグベアーです。
これを見かけたら、相手にせず逃げましょう。
弓の一撃、二撃程度では倒せません。村の男衆を集めて倒すようなモンスターですから」
「ビッグベアーね、名前からしたら熊だよね。
そんなの見かけたら言われる前に逃げるよ……」
「次にフォレストウルフと、野生のイノシシですね」
「最後のはモンスターじゃないんじゃ?」
「そうですね、けど危険ですし。
田畑を荒らす原因なので、駆除の対象ですよ」
「つまり、モンスターはフォレストウルフとビッグベアーね」
「はい、ただしイノシシは見かけたら退治しておいた方が良いですよ。
結構美味しいですし、ギルドに干し肉を買い取ってもらえますから」
「そういえば、セリナは普通にお肉を食べるけど、エルフって肉はダメなんじゃ?」
「いえ、普通に食べますよ?
特に狩りにでているモノ達は、その場で食材に出会えるわけで……。
むしろ、菜食主義のエルフは村長とか、村から出ない人が多いですね」
「あぁ、仕事柄食べるしかないわけか」
「それに、私は一度奴隷になってますので、好き嫌いしていたら死んでましたよ」
「あぁ、すまない。
余計なことを思い出させたな……」
「いえ、気にしないでください」
そんな話をしながら、セリナの案内についていき。
森の中にあるエルフの集落へと移動して行った。
しばらく、森の中を探索していると……
薮からガサガサっと音がしている。イノシシが突進してきた。
「うぉっ!?」と、言いながら回避する。
イノシシは勢いあまって、森の木に激突した。
ズ、ズシーンと爆音を立てながら、木が倒れた……。えっ!?
僕はあまりの威力に目を見開いた?
「知っている、イノシシとは別モンだー!!」と、叫んだ。
いかん、いかん、冷静になろう。ありえない威力に動揺してしまっていたが。
この森での狩りになれている、セリナが後方から弓を放った、イノシシの前脚のつけね部分を狙い打った。
イノシシは足元へのダメージを受け、明らかに移動速度が落ちた。
これなら、魔法で狙える。
[スリープ]の魔法でイノシシを眠らせた。
「ご主人様、驚かれてましたが?
どうかされましたか?」
「いや、イノシシの突撃の威力に驚いたんだよ」
「そうですか……。
かなり危険な動物ということは、理解していただけましたよね」
「とりあえず、眠らせてるけど今のうちに仕留めておこう」
「ご主人様、何か刃物をお持ちですか?」
「ホイっ」と言って、ナイフをセリナに手渡した。
セリナは手に取ったナイフで、イノシシの心臓めがけて突き刺した。
「これで大丈夫です」
「これは、生きたまま絵を描くのは遠慮したいね。
とりあえず、[マジックバック(仮)]に入れておくね」
「はい、集落の施設が壊れてなければ、そこで血抜きをしましょう」
イノシシを[マジックバック(仮)]にぶち込んだ。
ついでに、倒された木も[アイテムボックス]に入るか試してみた。
問題なく……入った。
「ご主人様のマジックバックは凄いですね。
あんな大木さえ収納できるなんて……」
「うん、僕も試しのつもりでやったらできたんだよ。
まぁ、あんなサイズのモノを持ち帰ることなんてないと思うけどね」
「それも、そうですね」
下手したら大怪我じゃ済まなくなるので、戦闘を回避しながら、エルフの集落に向けて移動を続けた。
貴族連中が、この森で壊滅状態になったのを理解したのはいうまでもない。
▽現在の取得魔法▽
攻撃魔法系(魔法使い系)
・ファイアランス(遠距離、単発属性魔法)
・アイスランス
・アースランス
・サンダーランス
・エアカッター(近距離〜遠距離、風属性複数攻撃魔法)
・場外転送(町の外で使える転送魔法)
・MP回復向上(MPの回復が早くなる)
支援系
・ファイア(生活魔法……炎生成)
・アイス(生活魔法……氷生成)
・ウォーター(生活魔法……水生成)
・クリア(生活魔法……汚れ取り)
・ライト(生活魔法……灯り)
・ヒール(回復魔法)
・ヒーリング(状態異常回復)
・ブレッシング(ステータス強化魔法)
・スピードアップ(移動速度アップ、回避率アップ)
・スピードダウン(移動速度ダウン、回避率ダウン)
・ホーリーライト(聖属性攻撃魔法)
・場内転送(町の中で使用できる転送魔法)
・MP回復向上(MPの回復が早くなる)
盗賊スキル
・投石
・狙撃
・危険察知
・逃走
・潜伏
▽新魔法と新スキル▽
・スリープ(睡眠魔法)
・ファイアストーム(遠距離、範囲属性魔法)
・アイスストーム
・アースストーム
・サンダーストーム
・ファイアウォール(近距離〜中距離、属性防壁魔法)
・アイスウォール
・サンダーウォール
・アースウォール
・捕縛
・縄師
※捕縛と縄師のスキルは文字通りの効果。




