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滅ぼされた遊牧民の村。

 ベッドの上で目がさめる……。


 いつものように私服ではなく、冒険をするために防具屋武器を身につけていった。


 今日から半年かけて、絵を描きながら国内を旅して回る。

 この村の教会に補充分の絵を渡し、次にスゴロクの街の教会に補充分の絵を渡した。

 村と街の教会に旅が終わったら、新作を出すと伝えておいた。


 奴隷の三人の少女の世話は神父に任せて、僕とセリナはギルド依頼の旅に出ることになった。


「ご主人様は私が守ります」


「ははは、頼もしいね。

 けど、無理はしないでくれよ」


「ハジメ君の旅の無事を祈っておくよ」と、ドナルド神父が言った。


「ハイ!! 行ってきます」


 そう言って、僕達二人は国内を回る旅に出たのであった。

 二人で会話をしながら、歩いていく……。


「セリナ、この国の町や村の位置ってわかるかい?」


「ハイ、東に行けば港町。

 南に行けば森があって、私達が住んでいた村があります。

 そして、森を抜けたその先にこの国の城下街がありますね」


「ん? 思っているより町や村の数が少ないんだけど、貴族はどこで奴隷狩りをしていたんだい?」


「街から西に進むと大平原があります。

 そこに住む遊牧民達の村があるので、そこが襲われているのかと?」


「もしかして、遊牧民の村かぁ。

 村の位置は変わるような感じなのか?」


「はい、固定の土地を持たない人達なので、貴族からすれば私達エルフの民と同様に税収を得れない相手なので、奴隷狩りの対象にしているのでしょう」


「そうなると、次の狙いも西かな?」


「わかりません」


「それなら、西から時計回りで確認していこうか?

 それと平原って、どんなモンスターが出るの?」


「そうですね、平原はこれといって強いモンスターはいませんね。

 スリープシープとビッグフロッグ位でしょうか?」


「どんなモンスターなの?」


「スリープシープは、相手を眠りにつかせる魔法を使ってきますが、このモンスター自体もよく眠っていて、遠距離で倒せばただのマトですね。

 次にビッグフロッグですが、鉄製品を身につけていれば寄ってきませんし、図体だけは大きいのですが遠距離で仕留める分には楽なモンスターですね」


「名前から察するに、カエルと羊だよね?

 もしかして、食べれる系?」


「はい、両方とも肉が流通する程度に定番の食材ですよ」


「そっかぁ、それなら。

 持ち帰っても良さそうだね」


「持ち帰る? って、どうやるんですか?」


「あれ? セリナには言ってなかったっけ?

 僕は[マジックバック]の所持者なんだよ?

 だから、好きなだけ確保できるという訳」


「そうだったんですね……。

 [転送魔法]が使えて、[マジックバック]も持っているとなると、それだけでも貴重な人材になりますね。

 ギルドと教会が、ご主人様を重宝する理由がよく分かりました」


「あはは、どちら施設にもかなり無理を言ってるけどね。

 それはそうと、そろそろ平原に入るだろうから、パーティ設定をしておくね」


 ーパーティ設定ー


 ・経験値を人数で分配する


 ーーーー


 しばらく、二人で雑談をしつつ歩いているとスゴロクの街の西の大平原へ着いた。

 あたりを見渡すが何もない、ただの平原だ。マップだけは今の現在の位置をしっかりと表示してくれている。


「1日かからずに平原についたのはいいけど、なんも見えないね……」


「全てを回ろうとすると、2週間はかかると思います……」


「うーん、それは面倒だな。

 あっ、そうだ!!」と言って、[スピードアップ]の魔法をパーティに使用した。


「時間がかかるのなら、速度を上げればいいじゃな〜い!!」


「確かに、そうですね」


 そんな感じでしばらく平原を歩いていると、1匹のモンスターが眠っていた。

 スリープシープだ……。ほ、本当に寝てるんだな。


「ご主人様、どうしましょう?」


「仕留めるのちょっとまってもらえるかな、せっかく寝てるんだし絵を描きたい」


「わかりました。

 その間、料理の準備をしてますね」


「あー。お願いするよ」と言って、各自別行動を取り始めた。


 ◇◆◇◆


「ご主人様、料理の準備できました」


「あっ、わかったよ」


 モデルに使ったスリープシープはまだ寝ていたので、仕留めずに放っておいた。

 ふわふわのモコモコで非常に愛嬌のあるモンスターで、モデルになってくれた個体を仕留めるのに気が引けたからだ。


 料理を作ってくれているセリナがいる場所へ向かった。

 敷物なんて、洒落たものは引いてなかったが僕が考えていた以上に、料理の品数が出て来て驚いた。

 主食こそパンではあるが他はスープとサラダ、そして、お肉と旅をしている最中と思えない料理が出てきた。


「おおぅ、本当にセリナは料理できたんだね。

 助かるよ、僕はそのあたりは全く駄目でさ……」


 毎回、毎回、外食かコンビニ飯かインスタントって感じだったからなぁ。


 せっかくなんで、暖かいうちにいただこう。

 ハシはないので、器と同じ材質の木製のスプーンとフォークだった。


 僕は食べ始めたが、セリナは食べようとしなかったので、「セリナも一緒に食べようよ」と言った。


 その後、はセリナも食事を取り始めた。

 一通りの食事を食べ終えて……。


「ご主人様、いかがでしたか?」


「うん、美味しかったよ。

 旅をしてる最中に、こんな料理を食べれるなんで思わなかったよ」


「夜は帰れるのがわかってますので、一食分の材料があればいいですから。

 それくらいなら、私のバックに入りますし」


「へぇ……。色々と苦労かけるね」


「いえ、気にしないでください」と、ハッキリと言われた。


 そして、二人とも料理を食べ終えて再び探索を始めた。


 何度か戦闘はあったが、ほぼ遠距離での戦闘で終了した。

 戦闘は、セリナが弓撃って終了。


 彼女が弓を構えて、打つ姿はサマになっていた。


 そこで結論が出た……。


 ビッグフロッグは生きた状態では描けないのではないか?

 その旨を伝えると、セリナは金属製の胸当てを外してバックの中に入れた。


「私が囮になりますんで、その間に描いてください」


「あぁ、すまない」


 その後、ビッグフロッグを描いて、再び探索をを始めた。

 ビッグフロッグの攻撃を綺麗にかわす姿が美しく、途中からセリナを描いていたのは秘密だ……。


 そして、その日の探索が終了した。


 ◆◇◆◇


 探索を始めてから、7日間が過ぎ全てのマップを調べ終わった。

 焼け落ちた廃墟が多数あり、残念ながら無事な建物は一つも存在しない、コレが意味することはただ一つだ。


 そんな感じの探索ではあったが、苦労は少なかった。ついでに言うと、レベルが30まで上がった。

 二日程、休憩を入れて、次は街から南にある森を抜けてこの国の首都の城下街へと向かう予定だ。

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