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カジノ潜入!!

 ギルドで色々あった後、教会へ戻る約束をしていたので 、物陰に隠れて[転送魔法]を使い教会へ移動した。


「約束通り、戻ってきたよ」と、聖堂にいるセリナと神父に対して言った。


「ご主人様、おかえりない」と、セリナが言ってくれた。


「あぁ、ただいま」


「ハジメ君。今日こちらに来るのが遅かったのは何故だい?」


 二人に今日の午前中は、

 ティーゼさんと資金面での相談と、南の森の洞窟の探索してたことを伝えた。

 ギルド依頼を大量にこなしたため、8000ゴールドを手に入れたことも伝えた。

 オリハルコンとマジッグバックに関しては、余計なトラブルの元になりかねないので黙っておいた。


 大きい臨時収入ができたので、セリナの宿泊費と教会への寄付を兼ねて3000ゴールドを神父に手渡した。


「ん!? ちょっと、待ってくれ。

 寄付にしては、額が大きすぎないか?」


「セリナの宿泊費も兼ねてますから、気にしないでください」


「君がそういうのはなら、頂いておくが。

 セリナ君の宿泊費は、君の絵の収益で充分に出せているぞ。

 ラッド伯爵絵の資金援助の件もそうだ……。

 君は無理にお金の心配はしなくていい、絵を描いてくれればさそれだけでいいんだよ」


「まぁ、それでも彼女に不自由はさせたくありませんので」


「ご主人様、私のためにありがとうございます」と言って、セリナは瞳を潤ませていた。


 そうだ、夕方からカジノに行くから彼女を連れて行くことにしよう。


「ドナルド神父、夕方からカジノに行ってみようと思うのですが?

 大丈夫ですかね?」


「敵情視察ってやつかい?」


「まぁ、そんな感じです。

 それで、彼女を連れて行きますんで」


「あぁ、一応カジノはドレスコードがあるから。

 君とセリナ君は服を揃えないとな……」


「どこに売ってますかね?」


「ご主人様、お店の場所なら私が知っていますよ」


「えっ?」


「ご主人様に買っていただいた時に、奴隷商人から服屋に連れていかれましたから」


「もしかして、セリナが居た所の奴隷商人って本人が言ってた通り奴隷の扱いがいいのかな?」


「そのようですよ……。

 奴隷を慰みものにして遊ぶ悪癖なんかも聞きませんし」


「逆に隣の奴隷商なんかは、嫌な視線で私のことを見てきましたね」


「そっか……。それなら、早く手を打たないと拙いね。

 とりあえず、今日は服屋で君のドレスと僕の服を買ってからカジノへ行こう」


「ご主人様、私の服にお金を使わせる訳には……」


「気にしないで、君の力が必要だからね。

 そしたら、神父。セリナとカジノへ行ってきます」


「あぁ、無駄遣いをしないようにな」と、神父が答えた。


 そのあと、セリナに道案内をしてもらい服屋へ移動して、ドレスコードを抜ける為の衣装を購入しその場で着替えた。


 セリナの犯罪奴隷の証を隠せるドレスを選んだ。

 赤いロングのドレスに長い金髪の髪がいい具合ににマッチしている。


「セリナ、よく似合っているよ」


「ご主人様もお似合いですよ」と、お互いに褒めあった。


 衣装の代金を服屋に支払い、そのまま中央地区にあるカジノへと向かった。


「ちょっと恥ずかしいけど、僕のパートナーとしてきてもらうので腕を組んでもらえるかい?」


「ハイ」と、セリナは即答し僕と腕組みをしながらカジノの中へと入っていった。


 入り口で、黒服の男に制止をかけられた。


「お客様、待っていただけますか?」


「はい?」


「身分のわかるものをご提示いただけますか?」


「ギルド証で大丈夫ですかね?

 それと、私のツレなんだが彼女の身分証もいるのかい?」


「身分証はギルド証で大丈夫ですよ。

 お連れのお客様に関しては問題ありません」


 更に、黒服の男が話を続けた。


「ただし、当カジノを初めてのご利用のお客様に関しては、最初入場の際にチップを買っていただく決まりになっています」


 ギルド証を黒服の男に提示した。

 ギルド証を流し見で見て、


「ギルド証は問題ありません。

 それで、チップの交換はいかほどされるのですか?」


 あぁ、ココで僕がどれくらいの資金力があるのかを測ってるわけか……。

 教会に3000ゴールド渡す前は1万ゴールドあったけど今は7000ゴールドって所か。


「5000ゴールドが今日の種銭だ……」


「なるほど……。お名前をお聞かせ願えますでしょうか?」と、金額を聞いて黒服の男の態度が変わった。


「サトウハジメだ」


「サトウ様ですね。今後はこの証をご提示いただければ好きにカジノへ入れます」と言って、黒服の男から入場証のバッチを貰った。


「これは、何処に付ければいいんだ?」


「お客様ですと、胸ポケットの上にピンで固定されるといいでしょう」


 言われるがままに、入場証を服につけた。


「それでは、お時間が許す限り当カジノをお楽しみください」


 そんな感じに接客を受け5000ゴールド分のチップを受け取り、カジノ内へと入って行った。

 人が多いな……。


 夜中だというのに、多数の灯りの魔道具が設置され昼間と変わらないくらいに明るい。

 ただ、魔道具特有の薄暗さは感じるが、こういった後ろ暗い場所だ、むしろ雰囲気作りには丁度いいのだろう。


「セリナ、君が知っているギャンブルはここにあるか?」


「いえ、わかりません」


「そっか……」


 わからないなら仕方ないな、一通りのギャンブルを見て回ろう。


 パッと見でわかったのは、


 ・ポーカー

 ・ブラックジャック

 ・ルーレット

 ・闘技場

 ・スゴロク


 この5つが主なギャンブルの内容だった。

 正直、ポーカーやブラックジャックで勝てるほど、そちらの道を極めているわけではない。

 ルーレットに至っては、ディーラーが凄腕なら数字を狙い撃ちできるという噂も聞いたことがある。

 この三つは、遊びでやる分にはいいが今回はパスだ。


 闘技場への入り口は、二階に上がった所にあった。

 闘技場に入るためにチップとして二人分で、2ゴールド分のチップを取られた。


 闘技場の内容は、色々と酷かった……。

 奴隷同士の殺し合い、人間とモンスターの殺し合い、悪趣味なショー的なイベント。


 特に一番最後の奴は見ていて頭にきた。


 無抵抗な女奴隷達を場に離し、そこにモンスターの群れを投入する。

 オーク系のモンスターが多く、いろんな意味で最悪の見世物だった。


 ルールとしては、どれだけ奴隷の娘達がモンスターの群れから生き残れるか時間を予想するというクソみたいなゲームだ。


 セリナは、その状況を見て完全に俯いている。

 僕はここにいる連中の下卑た笑みを見て、反吐が出そうな気分になった。


 僕は仕事で、こういうシーンを書いたことがあるが、実際にオークが女性を襲うのを目の当たりにすると萎えた。

 なんだ……この街は、これが普通なのか?


「セリナ、ここから出よう。

 気分が悪い……」と、言って闘技場を離れた。


 最後に残っていたのは、スゴロク場だ。

 この街の名前を取った、ギャンブルらしい。


 チップをかけてダイスを振って最終マスまで辿り着ければ奥の商品がもらえると行ったヤツだ。

 ココにはあまり客がいなかった……。


「ご主人様、一番奥の場所に……」と、言ってセリナは言葉を濁した。


 それに気づいて、僕は到達報酬の場所を見た。

 景品は、奴隷の少女だ。


 嫌な、想像をしてしまった。ココで売れ残った子が、さっきのような目にあうのではないかと……。

 スゴロク場の、オーナーに確認を取ることにした。


「ここは、なんのギャンブルなんだい?」


「見てわからないのかい? この街の名物スゴロク場さ!!

 ルールは簡単、一回50チップで、1から6まである6面ダイスを8回を振って、30マス先の景品マスに止まれば景品ゲットだ。

 簡単だろう?」


「各マス毎に、いろんなマスがあるみたいだが?」


「赤いマスは更にダイスを振り、そこででた数字の分戻る。青いマスはダイスを振り、その分進む。

 簡単なルールだろ?」


「つかぬ事を聞きたい? ココで獲得されない景品はどうなるんだ?」


「なんだい、お客さん。この店は初めてなのかい?

 そんなの闘技場の競技に使われるに決まっているだろう」


 その後、僕はこの腐りきったゲームをプレイして5000ゴールド分のチップ全てを溶かした……。


 しつこくプレイする人間は少ないらしく、3回ほど景品を獲得し補充の奴隷がなくなったところでカジノを出て行った。


 ダメだ……。僕が金を使ったことで更に奴隷が景品にされてしまう。

 冷静に考えて失敗したと思ったが、闘技場でのアレを見せられて冷静ではいられなかった。

 偽善でいい、僕が見つけれた範囲だけでも救えたんだ……と、考えることにした。


「ご主人様、この子達どうされるんですか?」


「ひとまず、教会の世話になるしかないよな」


 その後、ドナルド神父に理由を説明して三人の奴隷の少女を教会に住まわせてもらうことにした。


「すまない、セリナ。

 この三人の面倒を見てやってくれないか」


「わかりました」と、あっさりと返事してくれた。


 僕の性格だと、現場を見てしまうと無理だ。今回みたいに衝動で動いてしまう。

 この街のカジノ行くのは、今後は控えよう……。

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