宝箱の中身は?
ギルド依頼を片付けてから、街へ移動したので既に昼過ぎている。
教会で神父とティーゼに挨拶をした。
街に来るのが遅くなったので理由を聞かれそうになったのだが、その説明は後でするとだけ二人につたえた。
そして、そのままギルドへ向かった。
ギルドに入り案内の人に話しかけて、ギルド長を呼び出してもらい、ティーゼさんに案内された時と同様に来客室へ通された。
「サトウ君、今日はなんのようだい?」
「この間、ギルドの依頼書をもらったじゃないですか。
8つほどまとめて、達成したので渡そうかと思いまして……」
「よし、達成した分の依頼書を出してくれ」と、言われたので南の森の分の依頼書を提出した。
「南の森の依頼をまとめて、達成したんだな」と、モルドさんが確認する。
「はい、それでどこにアイテムを出せばいいですかね?」
「このギルドの買取倉庫の場所は、知らないのか?」
「はい、初めて来た時が来客室ですから」
「はははは、完全にVIP待遇だな」
「まぁ、ティーゼさんのおかげですね」
「よし、それじゃ。
私について来てくれ」と、モルドが言って、それに僕はついていった。
しばらく歩いていると、このギルドの買取倉庫に到着した。
「ちなみに、君の村での実績は聞いてるよ。
二回目で60匹以上ゴブリン討伐して来たってね。
そういう得体の知れないことをしでかす、ギルドのエース連中は買取倉庫の端のスペースで買取してやる」
「端ですか?」
「端なら、人目につきにくいし。
どんなものが来ようと対応できる人員を揃えてるからな」
「あー、そういえば村でも副ギルド長が端の場所で買取してましたね。
ここの場所で買取してもらいたかったら。力を見せろって感じで試された覚えが……」
「ここも、それと変わらんさ。
よし、ちょっとここで待っていてくれ。
担当の人間に話をつけてくるから」と言って、モルドは奥のスペースに歩いていった。
しばらくすると、別の人間を連れてやってきた。
「ホゥ、にーちゃんがギルド長の言ってる男か?」
「あっ、どーも。
サトウハジメです」
「あぁ、ワシは名前なんぞ言わんから。
ワシのこともオッチャンとでも呼んでくれ」
「そ、そうなんですね」
「それで、にーちゃん。
今日は何を持ってきたんだ?」
「ああ、それならコレだよ」と、モルドさんが依頼書をオッチャンに渡した。
「8つまとめて、依頼達成か……。
よし、依頼品を出してくれ」
・魔光り草の獲得
・薬草の獲得
・洞窟内の泉の湧き水の獲得
・毒草の獲得
・枯れ木の収集
・南の森の洞窟の確認
・洞窟内のマップ作成
・モンスター図鑑にゴブリンの絵を描いて欲しい、3種類まで可能
8つの依頼品を提出した。
「「ちょっ……!!」」ギルド長とオッチャンが言葉を失っていた。
「あー、水を入れた鍋は返してくださいね」
「ちょっと、待て!!
なんだこの精巧すぎる、マップは?」
「下書きレベルでしたけど、拙かったですかね」
「「いやいやいや」」と、二人してクビを振って否定している。
「ギルドが求めているマップは、そっちに番号を振り分けたマップがあるじゃろ?
その程度のものだ……。内部の状況まで描いてくるとは微塵も思っていない。
しかも、ゴブリンの絵が異常に精巧なんだがどうやって描いたんだ?」
「そんなの簡単ですよ。
ゴブリンの裏を取って、ロープで木に縛りましたけど?
お陰で、結構枚数かけたんですよね?他のも出しましょうか?」
「3枚以上あるのか?」
「はい!!」
「にーちゃん、その絵は全部買い取ってやるから、出していいぞ」
「ありがとうございます」と言って、残りのゴブリンの絵も出した。
「おい、ギルド長コイツはナニモンなんだ!!」
「あー、画家らしいですよ」と、モルドさんが言った。
「あっ、そうだ。マップの話で思い出し出しました。
洞窟に隠し部屋あったんですよ。ココです」と、マップを指差して説明した。
「なぁ、ホントに画家なのか? にーちゃん」
「一応はそうなんですけど、ギルドでもらった職業は盗賊ですね」
「それで、隠し部屋に何があった?」
「宝箱が三つありましたよ」
「中身は?」
「見てないですね、そのまま持ってきましたよ。
この場で開けましょうか?」
「そういえば、にーちゃんはマジックバッグ持ちなんだな」
「あぁ、便利ですよ」と言って、宝箱三つを床に置いた。
オッチャンが宝箱を三つを睨むようにして鑑定している。
「おい、にーちゃん。
真ん中の宝箱に思いっきり武器を突き立てろ!!
そいつは、ミミックだ!!」
「エッ!!」
「触ったら、動き出すぞ!!」
「あー、それなら」
距離を取り、エルフの弓を構える。
真ん中の宝箱に、連続で弓による攻撃を加えた!!
ミミックが、正体を現してそのまま舌を出しながら倒されていった。
27にレベルが上がった。
「えーっと、ミミック討伐の依頼とかありませんかね?」
「ねーよ!!」
「デスヨネー!!」
「残りの二つの宝箱は安全だ。
開いてみろ……」
まず左の宝箱を開けてみた。
ナニカの金属が入っていた。
オッチャンが金属を鑑定すると、目を点にさせるようにして驚いていた。
「う、嘘だろ?
なんで、こんな所に伝説の金属があるんだ?」
「えーっと? どういう事ですかね?」
「サトウ君は理解していないようなので、私から説明するよ。
この金属は、伝説の金属オリハルコンだ……」と、モルドさんが説明をしてきた。
「伝説……金属?
もしかして、ものすごく高いんですかね?」
「高い程度で済むなら、それに越したことはないな。
俗に言う、『殺してでも奪い取る』くらいの貴重品だよ」
「コレ、どうしましょう?」
「申し訳ないが、コレはこの街のギルドでは買取不可だ。
治安が悪すぎて、盗賊団が毎日ギルドを襲いに来るよ」
「じゃあ、コレは僕がマジックバッグ(仮)に入れておきますね」
「もし売るのなら、この国の城下街のギルドに行くといい」
「わかりました。
ラッド伯爵に協力する為にお金が必要なんで、覚えておきます」
「いや、君の場合はソレを売る必要はないだろう。
君の才能自体が異常だろ?
まぁ、いい。もう一つの箱も開けてみなよ」
次に左の箱を開けてみた。
なんの変哲もないバッグが入っていた。
「そ、それは!! マジッグバッグじゃねーか!!」と、オッチャンが即答した。
「「えーー!!」」と、ギルド長と僕が驚いた。
「いや、なんでサトウ君も驚くんだい?
君もマジッグバッグを持ってるだろ」
「あっ、そうですよね」
「これの買取は?」
「できると思うかい?」
「わかりました」と言って、本物のマジッグバッグを偽物のマジッグバッグの中に突っ込んだ。
「そしたら、今回の依頼料の計算するんで、しばらく待ってくれな。にーちゃん」
「はい」と言って、備え付けのベンチに座って鑑定を待った。
オッチャンとギルド長が熱く意見をぶつけ合っている。
主な意見の内容はゴブリンの絵と、マップについての代金をいくら出すかについてだ。
最後に聞きとれた言葉は……。
オッチャンの言葉で、
「また、あのにーちゃんは凄いことにしでかしますから、今回は高目に支払っておきましょうよ」
そして、それに反論出来ず、経費を抑えたいギルド長は敗北したと……。
「よぉ!! 待たせたな。
今回の依頼料は8000ゴールドだ。
かなり色をつけているが、それくらいの価値はあると思っている」
「ありがとうございます。
えっと、それはどういう事ですか?」
「にーちゃんが、精巧にマップを作ってくれたお陰で、洞窟の探索が容易になるはずだ。
そうなれば、探索の危険を減らせる。
ゴブリンの生態がわかれば、それに対する対策も取れるわけだ。そうなれば今後は、採集がしやすくなるってわけだ」
「だから、多めに支払っていただいたんですね?
もし、そのマップ複製したいんでしたら僕が複製しますよ。
マップは当然のように、売るんですよね?」
「それは、お願いしてもいいのか?」
「何セット位、作っておきましょうか?
暇を見て作っておきますよ」
既に書いた絵だ、[アートボックス]のスキルでコピーするだけなので、これといった労力はない。
「それなら、とりあえず50セット頼む」
「マップの代金は売れた後に、いただく形でいいですかね?」
「あぁ、それでいい」
そして、ギルド長とオッチャンと別れギルドを後にした。




