マッピング?
教会でラッド伯爵と密約を交わしたあと、ゴレッジ村へ戻りギルドへ向かった。
いつものように、ギルドの受付に並び順番が来るのを待つ……。
しばらく待つと、ティーゼさんから呼び出しを受ける。
それを聞いて受付の前に移動する。
「こんにちは、ティーゼさん」
「サトウさん、こんにちは。
先日の仕事の代金の受け取りですよね?」
「ハイ!! それと、お伝えしておくことがありまして……」
「先に先日の依頼の代金を払っておきますね」
そう言って、ティーゼから依頼の代金2000ゴールドを受け取った。
「えっ? こんなに大金、いいんですか?」
「うちのギルドには、[転送魔法]を使える人間がいないのです。
ギルド長の私が隣町に移動すると、最低でも、4〜5人の護衛をつけて移動する必要が出ます。
それに、最低でも一週間以上は時間がかかるんです。
私の給料を含めて六人分と考えれば、安くなるでしょう?」
「たしかに、そうですね……。
それが、一日で済んだわけですし、移動での危険性が無しになるのが大きいですね」
「はい。
なので、この代金は正当な成果だと思って下さい。
それで、伝えておきたいことって何ですか?」
「この前、見送りしてもらったんですけど、この街の宿屋に帰ってくることにしました」
「そうなんですか?」と、言いつつもティーゼさんは嬉しそうにしてた。
村の宿屋と街の宿屋の違いを教えて、こちらに戻ってくる理由を伝えた。
「色々あって節約しないといけないですから。
お金を貯めないとね……」
「何か買うんですか?」
「うーん、買うというよりは建てる?
この前モルドさんを紹介してもらったじゃないですか。
それで、その流れであの街の貴族の一人、ラッド伯爵と会うことができたんですよ。
それで、ラッド伯爵に協力をしてもらえることになったので、拠点を作る必要が出てきてね」
「あぁ、奴隷の子達を住ませるの家ですか?」
「ハイ、住ませるための家だけじゃなくて、仕事もしてもらえるようにしないとね。
極力、自立してもらうつもりです。
家を建てるとなると、大金が必要でしょうし……」
「けど、サトウさんならすぐ建てれると思いますよ?
ギルドに、お金を借りればいいんですし」
「借金ですか……」
「あっ、そうじゃないんですよ。
今回みたいに、[転送魔法]を使うには魔法の使用者が一度現地に行く必要があって、魔法が使えても現地に行ったことない人って多いんですよ」
「あー、色々と旅してギルドの御用聞きして、仕事をもらえってことですかね?」
「そうです。
現状、この国のギルドに全てのギルドを回った人材はいませんから」
「なるほど、それなら僕はこの国を旅して回れるし。
それが、ギルドにとっても利点にできる訳だ」
「その通りです」
「ひとまず、建物に関しては置いといて、この国を回って来いって話ですね」
「ハイ、頑張ってくださいね」と、ティーゼさんが言った。
ティーゼとの話を終えて、ギルドを後にした。
流石に、ギルドのティーゼさんにだけ伝えて、教会のライムさんに伝えないのは後々怖いものがあるので、その後教会に寄り、ダニエル神父とライムさんに宿泊はこの村の宿屋を使う旨を伝えた。
ライムさんは案の定喜んでくれたが、何故か神父もその件については喜んでくれた。
そして、話を終えて村の宿屋に戻った。
「いらっしゃいませ!! ……って、お客さんまた来てくれたのかい?」
「あーそうなんですよ。
この宿屋の方が居心地良くてね。
しばらく世話になろうと思ってます」
「そうか、それはありがたいね。
いつもの部屋空いてるから、そこを使いなよ」と言って、105号室の鍵を手渡された。
その後、「ホレ、今日の晩飯だ」と言って、カゴに入った夕食を渡された。
籠を受け取り、先に宿代の50ゴールドを払っておいた。
「まいどありー」と、威勢のいい声で店長が言った。
受付を後にして、自室へと入って行る。
道具を自室に置いて、裏庭へ移動して井戸水をいつもの鍋を使って温め、お湯で体を身綺麗にした。
この宿屋は井戸があるだけでもありがたいよ……。
そして、自室へ戻り夕食を食べ終えた後はいつものように、眠くなるまで絵を描いて過ごした。
◇◆◇◆
目が覚めた……。
仰向けになり、一ヶ月以上見てきた天井だ。
コンコンコン!! と、朝から扉のノック音が聞こえてきた。
「ハイ、どちら様ですか?」と言いながら、扉に近づいていく。
「私だよ、ダニエルだ」
「あぁ、朝からどうしたんですか?」と言いながら、扉を開けた。
「ハジメ君、ドナルド神父から聞いたんだがスゴロクの街の教会で本格的に絵を売り始めたんだってね」
「あぁ、そうですよ。
サインだけ変えて、原本と複製って形で販売始めました」
「ウチにも、複製分を卸してくれないか?」
「あぁ、そうですよね。
ちょっとまってて下さいね」と言って、[アートボックス]のスキルで二枚の絵を複製した。
「ハイ、一応二枚ともに複製しておきました。
50枚ずつあれば、とりあえず大丈夫ですよね?」と言って、二枚の絵を50枚ずつ、ダニエル神父に手渡した。
「代金に関しては、ドナルド神父と相談して下さいね」
「あぁ、そうするよ。
それはそうと新作はないのかい?」
「ありはしますけど、その二枚出したばかりですし。
まだ、売りたくはないかなぁ」
「ぐぬっ、確かにそうだ……」
「とりあえず、売り上げに関しては条件はドナルド神父と同じ条件でお願いしますね。
僕もお金が要りようになりそうなんで……」
「あぁ、君がラッド伯爵を支援して、ハジメ君が貴族になるって件だよな」
既に、ドナルド神父を通じて情報が伝わっているようだ……。
「そうですね。まだ計画は始まったばかりなんで先は長いですけどね。
スゴロクの街でいまだにギャンブルしてないですし」
「ああいうのは、程々にしておきなよ」と、神父に言われてしまった。
「まぁ、それでも。
街を知るためには、避けて通れませんし……。
それと、今日は絵を取りに来たんですか?」
「あぁ、朝イチですまないね。
ただ、朝方なら君もいるだろうと思ったからね」
「たしかに、今からは街に戻りますし、僕を捕まえるのならこのタイミングしかないですね」
「あぁ、すまないね。
新作を描いたら教えてくれよ!!」
「ハイ、その時は教えますよ」と言ったら、神父は挨拶をして帰って行った。
なんか、全てを察してしまったかもしれない。
僕の絵で利益が出せるのが嬉しかったので、昨日は神父が喜んでいたのか……。
まぁ、それでも仕方ないお互いに利用できる関係だし、仕方ないと諦めよう。
さて、今日は何をするかな……。
そういえば、先日モルドさんから山のように依頼書を貰ったんだった。
近場でやれそうな仕事で、簡単な仕事はどれかな〜?
今すぐに、[南の森]でやれる仕事が8個ほどあった。
◇◆◇◆
・魔光り草の獲得
・薬草の獲得
・洞窟内の泉の湧き水の獲得
・毒草の獲得
・枯れ木の収集
・南の森の洞窟の確認
・洞窟内のマップ作成
・モンスター図鑑にゴブリンの絵を描いて欲しい、3種類まで可能
◇◆◇◆
とりあえず、装備をつけてギルド依頼を請け負う準備を始めた。
宿屋を出て、[転送魔法]を使い洞窟内の泉へ移動した。
とりあえず、マッピングの開始位置はここからにするか。
マップ番号をつけて、そこの風景を軽く下書きする。
魔光り草を5本程抜いて、泉の水を鍋に汲んだ。
そして、それを[アイテムボックス]に入れておく。
次に、洞窟内の大広間だ。
松明が消えて真っ暗になっていたので、[ライト]の魔法で灯りをつけた。
そして、大広間の絵を描いていく。
そんな流れで、洞窟マッピングを済ませていった。
マップを作っていると、一箇所だけ埋まらない場所があった。
二階建でも、地下一階があるわけでもない。
怪しいと思いその場所を調べることにした。
自称:放浪画家だが、正式な職業は盗賊なのだ。こういうカンは働くのである。
マップを埋めれていない場所を囲むようにして、ノックしていく。
その場所をノックすると音が軽く、コーンと返ってくる。
何もない壁をノックしても、音が鈍く音のかえりはない。
あっ、コレって隠し部屋か?
先程描いた絵で、この付近の絵を並べてみた。
コレと言って、特徴はない。
暗いので、どの部屋にも松明置き場があるくらいだ。
ん!? 一箇所だけ松明置き場が二つある部屋がある。
この絵は、この部屋だよな……。
松明置き場を調べてみる。
一箇所目は、なんの代わり映えのない松明置き場をだった。
二箇所を、調べていると松明ではなく、単なる石の棒だった。
どうするんだ? と思い、棒を下げようとすると下の方に棒が動き、カチッという音とともに隠し部屋の扉が現れた。
隠し部屋に入り、あたりを確認して簡単にだが部屋を書いた。
あっ!! 宝箱が三つあった。よし、箱そのものを持ち帰ろう。
宝箱!? を[アイテムボックス]へ放り込んだ。
後は薬草と毒草と枯れ木を集めてゴブリン描けば依頼は終了だな。
……
…………
その後、あっさりと8つの依頼を完了しスゴロクの街へ移動した。




