情報屋との出会い。
僕たち二人はギルドをあとにして、徒歩で教会へ戻る事にした。
歩きながら雑談をして、気になった事を何点か彼女に聞いてみた。
「なぁ、セリナ。
なんで、ギルド長は君のことを犯罪者奴隷だってわかったんだろう?
外見でそんなわかりそうにないのに……」
「あー。それですか?
教会の私の部屋に着いたら教えますね」
「君の部屋に、入る必要はあるのかい?
「あっ、恥ずかしいので……。
ご主人様が、望むのならどこでも大丈夫です」と言って、セリナは服に手をかけ始めた。
「す、ストップ、待って!! 僕が悪かった。
確認するのは、部屋で大丈夫だから」
急に、脱ごうとするしビックリするなぁ……。
あっ、彼女は奴隷か拒否ができないのか。彼女を解放する方法を探さないといけないな。
そんなこんなで、教会へ到着した。
ライムさんが、孤児院の子供達と遊んであげていた。
「ねぇ、セリナ。
少しばかり、趣味の時間をもらってもいいかな?」
「ハイ、ご主人様がお望みでしたら」
「そしたらさ、君も子供達と一緒に遊んできてよ。
僕はそれを見てるからさ」
先にセリナを教会へ入らせて、遅れた形で僕は教会に入った。
ライムさんが遊んであげていた輪の中に、セリナも一緒になって遊び始めた。
二人とも笑っていた、彼女達は子供達の前だとこんな表情するんだな……。
そして、二人の元に近づいて挨拶した。
「ギルドから帰ってきました。
子供達と遊んでる時は二人ともいい表情してるね。
もしよかったら、絵を描かせてもらえないかな……」
「私はいいですけど、子供達は動き回りますよ」と、ライムさんが答えた。
「大丈夫、大丈夫。
そこは、何とかするから」と言って、僕は教会にある木の木陰に入り彼女達をスケッチを始めた。
正直、今回描きたかったのは、ライムさんとセリナの笑顔である。
それに、子供達の笑顔もあり、遠目から見てほほえましい感じがしたのだ……。
彼女たちが子供達と30分程遊んであげた後、絵の下書きも終了したので再び彼女達に近づいた。
子供たちが、2度目の不審者との遭遇におびえていた。
「あー、僕は悪い人じゃないよ。
そんな怖がらないで、ドナルド神父にお仕事を貰って絵を描いてるお仕事をしているものさ」
へぇ〜と、言った感じで子供たちが興味を示してくれた。
「ちなみに、さっき君達が遊んでた時の絵がコレな?」と、言って下書き終わったばかりの絵をライムさん経由で子供達に渡した。
「ハジメさん。ホント絵を描くの早いですよねぇ」
「良いと思った絵はすぐに描かないとね。
最近は外で遊ぶ子供達も減ったしね」
「え? 子供達は外で遊ぶものですよ?」と、ライムさんが疑問に思ったみたいだ。
「あー、ごめんごめん。
それは、コッチの話だから気にしないで」
そんな感じに雑談を続けた。
その後、ドナルド神父に街の宿屋の場所と飲食店の場所を聞いて、三人でこの街の探索をすることにした。
最初に宿屋の場所を探して、程よく昼頃になったので飲食店へと向かう事にした。
人通りが多くなってきた。なんか視線を感じる……。
「えっと、視線を感じるんだけど。
もしかして、また、二人を侍らせてると周りに思われてる的な?」
「もしかしなくても、そうですねぇ」と、セリナが呆れていた。
「また? ハジメさん。
ティーゼさんと、いた時もこんな感じだったんです?」
「ハイ……」
「それなら、対処は簡単ですよ」と言って、ライムさんは腕を組んできた。
それを見て、セリナも負けじと腕を組んできた。
周りの男どもの嫉妬の声が聞こえてる……。
―リア充しすべし慈悲はない―
―滅べ、爆発しろ―
―あの男の子、私のタイプだわ(男声)―
ちょっと、まて!! 最後の奴、おかしいだろ……。
そんなこんなで、今までコチラに向いていた複数の視線がなくなった。
「本当に消えましたね」
「今まではつかず離れずの距離にいたんで、相手が様子を見てたんですよ。
ここまでいちゃつかれたら、興味を失いますって」
あっ、そういうことなのか両手に花状態でイチャつき始めたから見てらんないという事か。
両腕を二人に腕組みされたまま、飲食店に到着した。
そのままの状態で、店に入ると面倒になりそうだったので二人に腕組みを解いてもらい。
3人で店に入った。
「いらっしゃい。
お好きな席にどうぞ……」と、店員が接客を始めた。
お店の中はガラの悪い連中が、かなりの数いるのが解った。
厄介毎は面倒なので、僕達は奥の方の席に座る事にした。
セリナが席に座ろうとしなかった。何故だ?
「いえ、私は奴隷なので……」
「セリナ、座りなよ。
一緒に食事するよ。今後、僕の前で奴隷なのでとかそういうのはナシな」
「ハイ!!」と言って、セリナは嬉しそうに椅子に座った。
「ハジメさん、優しいですねぇ。
女性にはみんなこんな感じなのかなぁ」
「え……」と言って、僕は困惑しライムさんに言われている意味を理解するには僕の恋愛経験が不足していた。
店員が再び、テーブルの前にやってきた。
店員がセリナの胸元に目をやり、
「お客さん、奴隷を椅子に座らせるのはよしていただけませんかね?
どうせ、奴隷には食事を与えないんでしょ?」と言ってきた。
ハッ!? その言葉に頭にきたので僕が店員に文句を言おうとすると。
ライムさんが、店員に話かけた。
「店員さん、私は隣の村でシスターをしている人間です。
彼は、そのような事でここの彼女をひどい目に合わせる人間じゃないですよ?
貴方の器量で、物事全てを図るのはよした方がいいですよ」
「はははは!! ねーちゃん!!
よく言った!!」と、ガラの悪い連中が大笑いしていた。
店員さんがバツが悪くなり、戻ろうとしていた。
「あー、店長のオススメ料理で3人前な。
それと、ここにいるお客さん達にエール(ビールみたいなもの)を1杯ずつ僕からの奢りだ」
僕もこの店員には、お客からの大笑いのネタにされたのはいい気味だと思ったので、客全員にエール一杯奢る位は安いものだと考えた。
僕たちは、奥の席で姿は見えなかったが、「色男のニーチャンありがとな!!」
「ただ酒だ、ヒャッホー!!」等と、色々な声が聞こえてきた。
違う店員が、料理を持ってきた。
「お待たせしました。店長のオススメ3人前ですね」
「あの? 先ほどの店員さんは?」
「ココの席に行くと、バツが悪いんで変わってくれと言われました」
「あははは、そうですか」
「お客さん、先程すべてのお客さんにエールを奢ってましたが?
お金は大丈夫ですか?」
メニュー表をみて、エールの代金をみて別に問題のない金額だった。
「問題ないよ、ここの店には今後とも世話になると思うからね。
ココの常連さんに、顔見せ程度の挨拶さ……」
この街に来るまでの一週間、ギルドの仕事を受けたりしてたので資金には余裕がある。
今いるお客さんに奢った位は、微々たるものだった。
「心配なら、前金で払っておこうか?」
食事を食べる前であったが、代金を支払ってから食事をとることにした。
食事をとっていると、ガラの悪いオッチャンがこっちに向かってやってきた。
「よお!! 色男のニーチャン。
奢りのエールありがとな!! 俺は、この店の常連のダンチっていうんだ。
情報屋をやってるから、この街の情報で知りたい事があったら聞いてくれよ。
金次第で、情報を売ってやるからな」
「へぇ……。
面白いな。情報屋のダンチか君の名前を覚えておくよ、僕はハジメだ。
近いうちに君に依頼をすることになると思う。その時はよろしく頼むよ」
「やっぱり、ニーチャンから金の匂いがしたわけだ。
俺の嗅覚も腐っちゃいねぁな、あはははは」と言って、背を向けて手を振りながら情報屋は店を出て行った。
「ハジメさん。コレが狙いだったんですか?」
「まぁ、後ろ暗い情報が集まるのはこういう場所っていうお決まりだからね。
金払いの良い奴の所には人間が集まるでしょ?」
そんな感じにいろんな話をしながら、3人とも食事を終えて教会へ戻った。
教会で、ティーゼさんが待っていた。
「ティーゼさん、お待たせしました。
お仕事終わりました?」
「はい、おかげさまでね。
依頼料の支払いは明日ギルドに取りに来てもらっていいかしら?」
「わかりました。
今日はこの街の宿屋に泊まりますんで、明日の朝ギルドに伺いますね。
セリナは、今日も教会にお世話になってな。ドナルド神父に、君の宿泊費のお金が必要なら言ってくれと言っといて」
「はい、わかりました」
「そしたら、ライムさんとティーゼさん村に帰りますよ」
「「はーい」」と言って、二人は腕組みしてきた。
「むーー!!」と、セリナはむくれていた。
注意するのも面倒だし、そのまま[転送魔法]でゴレッジの村の宿屋へ移動した。
「二人とも、今日はお疲れ様でした。
こんな感じで、行き来は簡単だから心配しないでね」
「どこの場所にいても、ギルドや教会を使えば、ハジメさんの場所がわかりますね」
「えっ!? どういうこと?」
「サトウさん、ギルドや教会は組織毎に遠距離の連絡手段を持ってるんですよ。
最初に1時間程お時間をいただいたのは、街のギルドに伺うための連絡を入れてたからです」
「えーっと、それはギルドや教会を使えば僕のいる場所がある程度推測されちゃうってことですかね?」
「「ハイ」」と、二人とも笑顔で答えてくれた。
僕の個人情報はある種筒抜けになったということか? よし、気にしない方向でいこう。
それから、二人と別れ。スゴロクの街の宿屋で一泊することになった。




