スゴロクの街のギルドへ行く。
目が覚めた……。見上げるのは、いつもの天井。
宿屋の105号室だ。
着替えを行い、宿屋の受付まで移動した。
「おはようございます」
「昨日も夜遅くもどってきて、探索がうまくいってないのかい?」
「いえ、そういうわけじゃないのでご安心下さい。
また、お世話になりますね」
「あぁ、いつでもおいで」
宿屋の店主とあいさつをして、宿屋をでようとしたとき。
「「ハジメさん(サトウさん)」」と、二人の女性に声をかけられた。
あっ、あんな別れ方してるんで、村に戻ってきたっていうのは非常に恥ずかしいのだが……。
二人の声のする方を向いた。
「ハジメさんが昨日も、宿屋に戻ってきたって話を聞いたので、もしかしたらと思ったんです」
「サトウさん、来たのなら会いに来てくださいよ」
……と、思う思うの言葉を言ってきた。
「いやぁ、あんな感じで綺麗にお別れ出来たんで、ひと段落つくまで会いにくいなぁと思ってたんで」と、言いながらバツが悪かったので俯いた。
「[転送魔法]あるって、言ってましたし。
なれた宿屋に、帰るのも解らないじゃないですよ」と、ライムがフォローしてくれた。
「サトウさん、次の街へは無事に到着できました?」
「はい、到着した直後に色々あったんで宿屋を探す暇もなかったんですよ。
今日は今から街の探索をしようかなと思ってまして」
「あっ、サトウさん。
ギルドの依頼受けませんか? 私をスゴロクの街へ[転送魔法]で送り迎えしてもらえませんか?」
「あぁ、かまいませんよ」と、ティーゼさんに答えるとライムさんが俯いた。
「ライムさんも来ます?」
「ハイ!!」と、ライムは二つ返事で答えた。
「そしたら、二人には街で何があったかを最初に伝えておきますね」
スゴロクの街であった出来事を二人に伝えた。
「転生者には奴隷って言葉になじみがなかったのね。
それに、タチの悪いエルフ狩りって今も昔もかわらないもの……」
「結局は、ハジメさんが奴隷の女性を買ったという事ですよね?」
「まぁ、衝動的なものだったけど、概ねあってるかな。
それがあったからこそ、教会でも寝れないし宿屋で眠ると一緒に眠る事になるから緊張して眠れないので、彼女には教会に住んでもらってる」
「私たちがここに来なかったら、二人で街の探索する予定だったんですか?」と、ライムさんが聞いてきた。
「まぁ、予定ではそのつもりだったけど」
「そうですか……」と、ライムが再び俯いてしまった。
「サトウさん、ギルドで、色々と連絡付ける必要あるから。
1時間程、時間を貰っていいかしら?」
「あぁ、かまいませんよ」
「あっ、私も神父に伝えてきますね」
「はい、そしたら1時間後にココに集合でいいですかね?」
「「はい」」と、二人は返事をした。
……
…………
― 1時間後 ―
女性二人が私服に着替えてきており、僕の両手に腕を組むように密着してきている。
「それじゃ、二人とも準備はできたみたいですね」
「「はい」」
「それじゃ、行きますよ〜」
[転送魔法]を使い、3人で[スゴロクの街]の教会の前へ移動した。
外の掃除をしている、セリナにバッチリと出くわしてしまった。
「えっ、ご主人様!!」
「おはようございます」と、挨拶をしておいた。
「ご主人様、そのお二人の女性はどちら様ですか?
腕を組んで、ずいぶん仲がよろしいようですが……」
やっぱり、言われちゃったよ……。
「この二人は、ゴレッジの村でお世話になった二人ですよ。
二人とも、セリナに張り合うためにわざわざ腕組むの止めてくださいよ」
「「はーい」」と言って、二人は腕組を外してくれた。
「僕が、君を買ったからね。
この二人に心配かけちゃったみたいなんだよ。セリナもあまり気にし過ぎないで」
「あっ、ハイ……」と、不満そうではあったがセリナは返答した。
「ハジメさん、私はダニエル神父に挨拶してきますので、ティーゼさんの案内先にしてきてください」
「あっ、わかりました。ティーゼさんが今日行く場所は?」
「この街のギルドよ。
ギルド長として訪問させてもらう予定よ」
「セリナも一緒にくるかい?
せっかくだからギルド登録しておこう」
「はい、ご一緒させてもらいます」と、セリナは答えた。
掃除用具を片付けて、エルフの女性二人を連れてこの街のギルドへと移動していく……。
なんだ、周りの視線が痛い……。
いや、実際に痛いわけじゃないのだがヤケに見られているのを感じる。
「ご主人様、私達見られてるみたいです……」
「そりゃ、そうよ。美少女エルフ2人を一人の男が侍らせてるんですもの。
周りの男どもの嫉妬を受けるのは当然でしょ」と、ティーゼさんがバッサリと言い切った。
あははは、嫉妬視線の渦中に僕はいるんだな。それならこの刺さるような視線も仕方ないか。
「街の中で、これじゃギルドの中はもっとひどいかもね」と、ティーゼが呆れながらに言っていた。
しばらく移動していき、この街のギルドへ到着した。
で、デカい……ゴレッジの村のギルドの10倍近くの建物のサイズなんじゃないのか?
縦にも高いし、横にも広い、純粋に村のギルドが小さすぎるように感じる位にこの街のギルドは大きかった。
「ココが、ギルドなんですか。
大きすぎませんか?」
「私も、仕事で何度か挨拶に来たくらいしかないからね」と、ティーゼさんが答えた。
そんな話をしながら、ギルドの中へ入った。
正直な話、ギルドが広すぎて道に迷えるレベルだ……。
ティーゼさんが、ギルドの案内を見つけて、ギルド長の権限をつかって僕たち3人で来客室へと案内された。
「ティーゼさん、僕も来客室に入って良かったんですか?」
「何を言ってるんです?
ギルド長の私が自ら、この街のギルド長に貴方の顔を売りに来たの。
貴方がいないと始まらないわ……」
しばらくして、来客室の扉が開いた。
「やぁ、ティーゼ君。
久しぶりだね、相変わらず美しいね。君は……」
「モルドさん、お久しぶりです。
相変わらず口が上手いですね」と、ティーゼさんが返答した。
「ティーゼ君、今日は何の用なんだい?
ギルド長、直々この街に? ゴレッジの村には[転送魔法]を使えるスタッフいなかったよな?」
「あぁ、それはココのサトウさんが、何とかしてくれましたよ」
「へぇ、そこの男性がね?
ティーゼ君、ココの二人を紹介してもらえないかな?」
「私が紹介できるのは、サトウさんだけですが、サトウさんは凄腕の画家さんですよ。
教会にも認められている画家さんです」
「へぇ……。画家なんだねサトウ君は、私はモルドだ。
今後ともよろしく頼むよ。それはそうと、そこのエルフの女性は犯罪者奴隷じゃないのかい?」
「はじめまして、モルドさん。
この子はセリナっていいます。この街の入り口のお店で見かけたので気になったので買いました」
「ん? エルフのセリナ……か? もしかして、『皆殺しのセリナ』か?」
ファッ!?
「えっ!? なんですその異名」
「あぁ、そこの子の異名だよ。
エルフで、魔法の抵抗力も高い子だから。
高度の誓約紋でしか縛れない挙句、いつ殺されるかわからない。
相手を奴隷になんかできないだろ? そんな子を買うなんてサトウ君は変わり者だな」
「いやいや、聞きたいのは異名が付いた理由です」
「この子一人で、エルフ狩りを行おうとした貴族がやとった連中を一人で蹴散らしてるんだ。
その中に貴族の息子もいてな、関係なしに皆殺しにしてるんだよ」
フェッ!?
驚きのあまり、セリナの方を見た。
「あのぉ……。
お言葉ですけど、その話はかなり盛られていますよ。
あの時の集団の大半は、森のモンスター達にやられていましたし……。
私達が彼らを助けてあげて、村で介抱してあげていたら。
彼らが暴れ始めたんです。村の掟で仕方なしに何人かは仕留めましたけど」
とんでもない新事実が出てきたぞ、オイ……。
「ちょっと、待ってセリナ。
その件、僕にもっと詳しく聞かせて」
「その後、貴族の使者って方が村に来て手打ちをしたいからと言って、貴族の屋敷に招待された時に男衆はその場で殺され、私は捕らえられました」
「父と母に売られたって話は?」
「貴族の嘘ですよ……」
あまりにも酷い話に、頭を抱えてしまった。
「あぁ、エルフのねーちゃん。
すまなかったな、嫌な事を思い出させて。
君の事で、怒りをあらわにする主人で良かったじゃないか」
「あっ、スイマセン。
あまりにもひどい仕打ちに、はらわたが煮えくり返るような思いです」
「おいおい、そうだとしても貴族相手に何か事を構えるのは止めとけよ。
ロクな事にならんからな……」
「とまぁ、女性に対して物凄く優しい人なのこの子。
そちらのギルドでも重用してあげてくれないかしら?」と、ティーゼさんがモルドさんに頼んだ。
「あぁ、サトウ君がいい奴なのは何となくわかったよ。
ティーゼさんの頼みだ、コチラでもできることがあったら協力させてもらうよ」
「あ、ありがとうございます。
それと、ティーゼさんもわざわざ、僕の為にありがとう」
「なんだい、サトウ君はティーゼさんに気に入られてるみたいだな。
『鉄の女』もサトウ君の前に陥落したのかい?」
「ちょっ!! その件は黙ってていてください!!」と、ティーゼさんが慌てながら言った。
「鉄の女?」と、言うと。
「サトウさんは、何も聞かなかった。
いいですね?」と、ティーゼさんからにらまれた。
「あっ、はい。
何も聞いていません……」
「あはははは、コイツは傑作だ!!」と、モルドさんは盛大に笑っていた。
「私は、このギルドにもう少し用事がありますんで、二人で帰っていてください。
夕方頃には、教会に行きますのでそこで落ち合いましょう」
「わかりました」と言って、スゴロクの街のギルドをあとにした。




