萌え豚、再出荷される。
僕は教会で、先日から絵を描き始めている……。
これといった代わりのない教会の日常、神父やシスターの仕事風景等を絵に描いていった。
良くも悪くも、いつもの日常ってヤツを絵に描いていた。それが5日も続けば、飽きも来る……。
日中に教会を題材に絵を描き始めていたが、あまりにも代わり映えが無かった為、その日は気分を変えて夜間の教会の絵を描いてみる事にした。
神父に許可をもらい教会の一室を借りて仮眠を取り、夜間に教会内の絵を描くことにした。
夜間に起きる為に、教会の一室に備え付けのベッドで仮眠をとることにした。
……
…………
あれっ?
僕は、教会のベッドで仮眠をとったはずなんだけど?
寝起きのまどろみもなく、やけに明るい場所に立っていた。
空は青空、太陽は見えないが何故か明るいという不思議な空間だ……。
えっ!? これって、若奥様……いや女神様と初めて会った時と同じ場所じゃ?
そんなことを考えていると、視界の端から少しずつ人影が近づいていることに気づいた。
僕の予想は概ね当たっていた。
「あら、佐藤さん。
お久しぶりですね。今日は何の用ですか?」と、女神ノルンが言ってきた。
「女神様。
何故、僕はここにいるんですかね?」
「あぁ、そこからですか?
転生者は、女神の影響の強い建物で睡眠を取ったりすると、啓示を受けやすい状態に入るんですよ」
「僕は、死んだわけじゃないんですね?」
「はい。
佐藤さんは今、教会の一室で眠っていますね」と、女神に言われて、ホッとした。
「それなら、女神様が僕を呼び出した感じなんですか?」
「いいえ、完全に偶然ですよ」
偶然かぁ……。
それでも、こんな美人さんを目の当たりにできてラッキーだったな。
「そ、そんな美人だなんて」と、女神は顔を赤くしていた。
「やっぱり、この場所だと考えとか筒抜けなんですよね?」
「はい。
なので、変な事とかそういった事は考えないようにして下さいね。
女神にセクハラを働く不敬者がたまにいますんで、そういう人には天罰を与えますよ」
「あははは、恐ろしいですね。
それはそうと、前回お会いした時に書かせてもらった絵をいくつか完成させましたよ」
……と言うと、女神は顔を赤くしていた。
表情からみると、女神は察していたようだったので堂々と言った。
「服を着た版もありますけど、脱いでもらった絵も仕上げ終わった分がありますよ」
[アイテムボックス]から、下書き状態だったものを仕上げた2枚の絵をノルン様に手渡した。
「ありがとう。
それじゃ、拝見させてもらうわね」と言って、女神は2枚の絵を見始めた。
女神様は、一枚目の絵を見ているときは割と普通の表情をしていたが、二枚目の絵を見るときは次第に表情を赤くしていった。
「なんというか、絵に愛情がこもってるというか。
本当に良い絵を描くわね、貴方……」
「ありがとうございます。
僕はある意味[ノルン様]のファン第一号と言ってもいい位に一目ぼれしましたから」
「佐藤さんは、転生直後から私の敬虔な教徒なのね。
嬉しいわね」
続けて、ノルン様が質問をしてきた。
「日本で、私の裸の絵を描いてる連中が多数いるらしいけど。
佐藤さんはすでに亡くなってるのに、何故? 私を見たこともない他の人達がそういう絵を描けるわけ?」
「あー、ノルン様。
お詳しいですね。僕もその件があったので、死ぬ間際まで若奥様のキャストオフバージョンを仕上げてたんですよ」
「その件はどうでもいいですけど、質問に答えて下さい」と、女神様に睨まれながら言われた。
「元をただせば、僕が若奥様に一目ぼれして有名なお絵かきサイトに健全な絵を投稿したんですよ。
一応、僕はそこそこ知名度のある絵描きだったこともあり。
そこから派生に派生を重ねて、いつの間にか若奥様のエロ絵が描かれるまでの存在になってました。
事の発端は間違いなく僕ですね」
「へぇ……。
貴方が火付け役ですか」と言いながら、ノルン様の表情が険しくなった。
「佐藤さんのせいで……。
他の転生者から、これだけのエロ絵を私に押し付けられたんですよ」
ノルン様は色んな作者が描いたと思われる絵を僕に見せてきた。
「へぇ〜〜。
女神様エロいですね」と、口を滑らせてしまった。
し、しまった!!思ったままの事を言ってしまった。
こんなトラップをしかけやがって!? 誰だよ、こんな余計な事したやつは!!
女神の表情が少しずつ険しくなってき、女神様がご立腹になってしまった……。
前回同様に女神が、羽衣の一部を切り取り巻き付けてきた。
「ちょっ、まって!! 僕は無実だ!!」
「問答無用です」と、女神様は嬉しそうに言った。
グルグルグル。(女神は羽衣をひたすら巻いている)
覚えてろよ!! 僕の前にエロ絵を女神に渡した転生者!! うぐっ……。
「できあがりー。
大戦犯は、異世界に出荷よー」
「(´・ω・`)そんなー!」という、お約束の言葉を僕は言った。
こうして僕は、異世界に再び出荷されていった。
◆◇◆◇
「うわぁあああああ〜〜〜〜!!」
……
…………
叫びと共に起床したが、誰も集まらなかった。
あぁ、仮眠を取っていたので、時間は夜なのだろう。だから、教会内に誰もいないと。
夜の教会を描こうと思って、教会で仮眠を取ったが痛い目にあったわ。
灯りを付けて周りを確認した結果、周りには異常はなかったが、身体中に何かを巻き付けられたような跡が残っていた。
身体に残った跡をみながら、夢じゃなかったんだな……。
このまま何もせずにいるのは無駄だと思ったので、夜の教会の聖堂をスケッチを済ませていく。
真正面にある女神の像が、コチラを見て笑っているような幻覚を見ながら聖堂のスケッチを終えた。
せっかくの好意で泊まらせていただいてるので、宿屋に帰らず教会の一室に戻り朝方まで女神様シリーズの新作を大量に描き上げた。
「ふぅ……。我ながら、いい仕事ができたな」と言って、絵を描き終えた頃には外が明るくなっていた。
コンコンコンと、ドアがノックされる。
「はい、空いてますよ」
「やぁ、ハジメ君。
仮眠後の夜間のスケッチは捗ったかい?」
「捗るどころか、女神様の姿を再び見る事が出来ましたよ」と言って、羽衣を巻き付けられた腕の部分を神父に見せた。
「ハジメ君。この跡は?」
「女神様に羽衣を巻き付けられて、再びこの世界に送り返されましたよ」
「となるとだ、君は女神にあったというのかい?」
「まぁ、そこで軽く理不尽を感じたので、女神様の絵を大量に描いてました」
「絵を描くことが、当てつけなのかい……あはははは」と、乾いた笑いを神父は返してくれた。
「一応、夜間の聖堂の絵もかきましたよ」と言って、絵を渡した。
「へぇ、夜間の雰囲気だとこういう感じになるんだねぇ。
女神の像がいつも以上に笑顔に見えるのは何故かな?」
「うがぁあああ〜〜〜〜!!」
「ど、どうしたんだい」と、神父に心配されてしまった。
女神との出来事を神父に一部始終話をした。
「あぁ、女神にセクハラして出禁を食らった[神の使い]がいるらしいね。
ハジメ君は、そのとばっちりを食らったわけだ」
「そんな、不敬者がいるんですねぇ」
「いや、君も大概だからな」と、ツッコミを入れられた。
「とりあえず、今日から一週間はライム君には、お休みを取らせているから。
モデルとして使ってくれて構わないよ」
「あっ、はい。
モデルさんがいてくれた方が絵を描くのも捗りますからね」
「そろそろ、彼女が迎えにくるんじゃないのかい?」と神父が言った。
コンコンコンとドアがノックされた。
「ライムです。
ハジメさん、起きてますか?」
「ドア空いてるんで、入ってきてください」
ドアを開けて、私服姿のライムさんが部屋に入ってきた。
「神父も来てたんですね」
「ライム君、今日は私服なんだねぇ。
いつもより気合いが入ってるようだけど?」
「もう、神父。そんなんじゃないですよ。
モデルって聞いてるんで、少し気合い入っちゃいましたけど」
「あははは、ライムさん。
そこまで緊張しなくていいですよ。
いつものライムさんの姿を描きたいので……ただ、今のライムさんも凄く素敵ですよ」
ライムが赤くなって照れていた。
「あぁ、こうやってハジメ君は女性を……」と、神父は何かを察したみたいだった。
「今週一週間は、ライム君はお休みを与えてるから。
ハジメ君は、紳士なエスコートしてあげてくれよ」
「あははは、善処しますね」
「神父!! そんなんじゃないですから!!」と、ライムさんはむくれていた。
「そしたら、今週一週間モデルの件。
よろしくお願いします」とライムさんに向けて言った。
「はい、よろしくお願いします」
教会側から注意が入っていたので差し支えのないように、1週間の期間を使ってライムさんをモデルにして色んな絵を描き上げた。




