表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/64

エルフを描くものたち2。

 前日は、モデルがいたこともあり興がのりにのって、真夜中まで下書きが済んだ絵を仕上げていた。

 そのおかげで軽く寝不足になるコースだったが、疲れを残さないように[ヒール][ヒーリング][スリープ]と、3つの魔法をかけて熟睡することにした。

 その成果もありぐっすりと睡眠をとる事ができた……。


 ◆◇◆◇


 チュンチュン……。

 小鳥たちのさえずりが聞こえて、目が覚めた。


 昨日は[クリア]の魔法も水浴びもしていなかったので、今から女性と会うことを考えると少しばかりヨロシクないなと思い。宿屋の裏の井戸水を使って体を洗う事にした。


 まずは、井戸水を冷たいまま手に救い顔を洗う。冷たい水が顔に触れ、まだまだ気だるさが残る朝のまどろみが消えていくのを実感していく……。


 冷たい井戸水のまま身体を洗うのは嫌なので、[アイテムボックス]からお湯を作るための寸胴鍋を取り出す。

 そして、魔法を使いお湯を作っていき最後に適温に調整してから身体を洗い始めた……。


 学生の頃に油絵をやってた時は、手が汚れてたりしてたがデジタルで仕事をするようになって身体が汚れなくなったからな……等と、小さくなった自分の手を見ながら学生時代を思い出していた。

 身体を洗い終わって、必要外の水は排水溝に流して部屋に戻ることにした。


 部屋に戻りティーゼさんが来るのを待つことにした。


 しばらく、部屋で待っていると扉がノックされた。


 コンコンコン……。


「サトウさん、おはようございます」と、ティーゼさんが扉越しに挨拶してきた。


「どうぞ空いてますよ。部屋に入ってください」


 ……と言うと、扉が開きティーゼさんが部屋に入ってきた。



「おはようございます。

 ティーゼさん、朝ご飯は食べられましたか?」


「いえ、普段は朝ご飯食べないので」と返答された。


「奢りますんで、この村のオススメのお店とか教えてもらえません?」


「絵を描く時間が減ってしまうんじゃ?」


「いいんですよ。

 良い絵を描く為に、ティーゼさんの色んな表情をみてみたいので……」


「それじゃ、オススメのお店がありますから案内しますね」


「はい、お願いします」と言って、ティーゼに道案内してもらい村の食堂へ移動した。


 食堂に入り、僕はその日のオススメ商品を選び、ティーゼさんはサラダ等の野菜類を主に選んでいた。

 へぇ……。エルフって、肉類食べないのかな? ……と考えてたら。


「どうしました?」と、ティーゼに質問されてしまった。


「ティーゼさんは、お肉とかそういったもの食べないんですね」


「エルフは、種族的にそういったものは取らないんですよ。

 ただし、食べれないというわけではないです」


「へぇ……。そうなんですねぇ」


 お店の店主が料理を持ってきて、「はい、おまちっ!!」と次々と料理をテーブルに置いていった。

 お腹が空いていたので黙々と食事をすませることにした。その結果、空腹も治まりホッとした。


 自分が早く食事を済ませてしまったので、食事をするティーゼさんを見ていた。


「あの、見られると恥ずかしいです」と、言われてしまった。


「あっ、すいません」と言って、しばらく待つことにした。


 食事を終えて、二人分の食事代10ゴールドを食堂の店主に支払い宿屋に戻ることにした。


「奢ってもらって、ありがとうございます」と、ティーゼさんに言われた。


「いえいえ。

 僕もお腹が空いてたんで、それにこれから絵を描くので食べとかないと身体が持ちませんし」


 二人で会話をしながら宿屋へ徒歩で移動していく。


「そうだ、昨日描いた絵が一部ですけど完成してるんですよ。

 宿屋に着いたらお見せしますね」


「えっ、早くないですか?

 昨日、描いてた絵ですよね?」


「ティーゼさんがお綺麗なんで、ついつい興が乗ってね、深夜まで作業しちゃいましたよ」と言うと、ティーゼは赤くなっていた。


「そ、そんな……」


 褒めると毎回、赤くなってるけど、容姿を褒められ慣れてないのかな?

 そんなこんなで、会話をしながら徒歩で移動していたら宿屋へ到着した。

 そのまま、宿屋へ入り宿屋の店主に挨拶だけして、105号室(自室)へ二人で戻ってきた。


 ティーゼには昨日と同様椅子に座ってもらった。


「はいっ、これが昨日描いた絵を仕上げたヤツね」と言って、[アイテムボックス]から昨日、仕上げた絵を一つ取り出してティーゼに手渡した。


「これ私なんですか?まるで別人みたいに綺麗ですね」


「モデルがいいからねぇ〜」と言って、褒めておいた。


「この右下に縦書きで書いてあるのが、サトウさんのサインなんですか?」


「そそ、個人で描いた分で自信作には、そうやってサイン入れてるのよ」


「へぇ〜。本当に画家さんなんですね」と言って、ティーゼは感心していた。


「その絵あげるよ。

 モデルになってくれたお礼に……」


「えっ、いいんですか?」


「いいのいいの、ティーゼさんたちにはお世話になってるからね。

 絵描きの僕は、これ位しかお礼できないからね」


「そんなことないですよ。

 そうだ、何でもいいですよ。何か私にできる事ありませんか?」


「なんでも……か」と、僕は意味ありげにつぶやいた。


「それなら、一枚だけでいいから。

 ティーゼさんのすべてを描いてみたいな」


「えっと、それって」


「脱いでくれませんか? 描いてみたいんで……。

 販売は一切しませんし、完成した絵はティーゼさんにお渡ししますので、モデルになってくれませんか?」


「元々から、そのつもりでしたし綺麗に描いてくれますか?」


「はい、喜んで描かせてもらいますよ。

 それじゃ、準備をしていきますね」と言った。


 まだ日中だが、魔道具の灯りを付けて窓にカーテンかける。

 部屋の扉にカギをかけて、誰も入ってこれないように準備をした。


「それじゃ、絵を描き始めるまでは服を脱いだら、このタオルケットを羽織っておいてください。

 僕は後ろ向いたままにしますから、準備出来たら教えて下さい」と言って、宿屋の替え用のタオルケットをティーゼさんに手渡して後ろを向いておいた。


 閉め切っている部屋に、衣が脱げる音だけが小さく聞こえている。

 衣服がベッドの上に置かれているのだろう。

しばらく、衣服が脱げる音に聴き耳を立てていたら、「お待たせしました」と、ティーゼさんが言ってきた。


 後ろを振り向くと、タオルケットを羽織った状態の女性の後ろ姿が見えた。

 金髪の長い後ろ髪で布と身体のラインを隠れた状態で、彼女は椅子に座っていた。


 彼女の正面へと移動し、布で隠されたボディラインを見て思わずゴクリと喉を鳴らしてしまった。


「それでは、お願いします」と言って、モデルの開始してもらった。


 身体を隠していた布を取り外し、すべてを晒す状態になっていた。

 スレンダーな身体……と、それほど大きい方ではないが、あるとわかる程度の幼い双丘。

 そして、人間とは違うエルフを象徴する金髪の長い髪から出ている種族を主張する長い耳。


「やっぱり、想像した通りだ。

 綺麗ですよ、ティーゼさん」


 言葉に反応して、白い肌に赤みが出てすごく解りやすい状態だ。


「……」と、ティーゼさんは黙っていた。


「それじゃ、絵を描き始めますね」


 ……。

 …………。


 それから、複数のポーズを取ってもらい複数の絵を描き上げていった。

 2時間程下書きのみを行い、最後の一枚は下書きを行い、そのまま着色に入ることにした。


 ……。

 …………。


 そして、着色が終わった。


「お疲れ様です。

 絵が描き終わりましたので、服を着ていただいて結構ですよ」と言った。


 ティーゼさんは、ベッドに置いていた服を着始めていた。


 最初の一枚目は、緊張のあまり表情がいまいちだったが、2枚目〜3枚目と下書きをする際に会話をしながら絵を描いていったので緊張が解け、最後の一枚を仕上げるときには、別人のように良い表情をしてくれていた。

 ポーズ違いの下書き5枚と最後の着色まで終わっている一枚を[アイテムボックス]から取り出し、着替えの終わったティーゼさんに手渡した。


「お疲れ様です。

 最初は緊張されてたけど、最後の方はすごくいい表情してくれてたので最高のモデルさんでしたよ」


「私、こんなポーズをしてたんですね」


「いやぁ、綺麗なモデルさんだったんで興がのりました。

 最初に言ったように、今回描いた絵は販売しません」


「それだと、私がこの絵を貰って終わりってことですか?」


「まぁ、そうだね。

 これは、ティーゼさんを描いた記念みたいなものだからね。

 個人的には描けることが一番大事なんで、これが絵描きにとっての財産になるからね」


 実際は複製できるのだが売る予定もないので、それを伝える必要はないと考えてそこは伏せておいた。


「どうでした?」


「最高でしたよ」と言って、色々と講釈をたれながら、ティーゼさんをほめていった。


 いやぁ、世辞抜きに良い身体をしていたと思う。

 その一瞬の記憶を絵画として、僕が切り抜いたのだ……。


「あの、私の身体をみて襲いたくなったりとかはしなかったんですか?」


「あー、それですか?

 ティーゼさんは凄く綺麗ですし、そういう感情もありはするんですけど。

 いざ動こうとしても萎えちゃうんですよ。これは、昔からの僕の病気みたいなもんで……」


 続けて、こういった。


「だから、その女性の一番きれいな瞬間を絵画として切り抜いてます。

 僕は、それで満足できています」


「本当に、変わった人なんですね」と、ティーゼさんに言われてしまった。


「あははは、そんなこともあって転生前も現在も女性経験ありませんから」


「そうなんだ。

 お姉さんが色々と教えてあげようか?」と言われた。


「いえ、凄く魅力的な話ですけど。

 レベルが低い間に女性関係を持ってしまうと、僕は魔王になると教会から神の贈り物(ギフト)の鑑定をしたときに出てしまったんですよ。

 なので、そこまでは昔と同様に絵を描いて、楽しんでいこうと思ってます」


「そうなんだ〜。

 残念ね。でも私にはまた会いに来てくれるよね?」


「はい、ギルドにはお世話になりますからね」


 そんな会話を続けながら、今日のティーゼさんをモデルに使った絵描き作業は終了した。

本日の投稿は3話投稿になります。


14話 7:00

15話 12:00~13:00 の間 ※イマココ

16話 17:00~18:00 の間


の3話投稿です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ