エルフを描くものたち1。
朝だな……。
昨日は、午後から絵を描いて過ごした……。
ギルドから、ボスゴブリンの討伐依頼の代金と討伐分の代金をもらいに行くのが本日の予定だ。
戦闘をするつもりがないので軽装で、朝いちばんにギルドの買い取り倉庫に向かった。
買い取り倉庫に徒歩で移動し、オープン直後に副ギルド長がいる買い取りスペースへ向かう。
副ギルド長が僕に気づき挨拶をしてきた。
「よっ!! ニーチャン早いじゃねーか!!
金にでも困ってるのか?」
「いや、欲しい装備があるんだけど。
けど、教会から3週間狩りに行くの禁止っていわれてさ」
「なるほどね。今回の代金で、もしかすると装備を新調できるってわけだ」
「絵をもっと買ってもらえる状態が作れたら。
狩りに行かなくても済むんだけどねぇ」
「それなら、ギルドで絵を描く依頼を受ければいいじゃないか。
ギルド長に言えば仕事を作ってくれるだろ?」
「いけますかね?」
「大丈夫だろ?
ニーチャンが描いてくれた絵は、既にギルドに飾ってあるしな」
「へぇ、そうなんですね。
それなら、ギルド長の所にもこの後、寄ってみます」
「それで今回の討伐の買い取り金額は、ゴブリン80匹でボスゴブリンが1匹だ。
ゴブリンが魔石と武器を合わせて1匹3ゴールド買い取り、ボスゴブリンは160ゴールドで買い取る」
「……ということは、400ゴールドですかね?」
「あぁ。
それに、ボスゴブリンの討伐依頼が加わって計1500ゴールド支払うよ」
「結構、割がいい気がしますね?」
「ゴブリンの巣に潜ったんだ、大量にゴブリンに襲われなかったか?」
「いえ、盗賊スキルの[潜伏]で隠れて弓矢で殲滅していったので、これといって特に……。
むしろ、ボスゴブリンに関してはデカいゴブリンがいるなぁ程度で倒したので実感があまりないです」
「それでもボスゴブリンが討伐されれば、ゴブリンの動きが鈍るので薬草の採集が捗るんだよ。
だから、それが妥当な金額なのさ……」と言われて、1500ゴールドを手渡された。
「あっ、どうも」と言って、お金を受け取った。
「そしたら、ギルドに寄ってから帰ってみますね」
1000ゴールドはすでに持ってるので、今回の利益分を合わせるとあと500ゴールドでエルフの弓を購入できる。
あと、500ゴールド稼げる依頼をつくらなきゃな……。
食事に関しては道具屋で買った非常食も残ってるし、宿屋の食事があるので問題ない。
ギルドの受付へ移動して、ギルド長のいる受付へ並んだ。
買い取り倉庫で時間がかかっていた為、受付には人が並んでいた。
自分の順番が来たので3週間暇になるので絵を描くお仕事を下さいと、ギルド長に依頼を出しておいた。
ギルド長はそれを了承してくれた。
ただし、条件としてどれくらいの絵がかけるのかわかる材料が欲しいということで、参考になりそうな絵が欲しいと条件を出された。
丁度書き終わったばかりの水辺の絵があったでソレを提出した。
「えっ!? これって魔光り草の生えてる場所よね?」と、ギルド長が驚いた。
「あー。いい風景だったんで絵を描いたんですよ。
買い取り倉庫と、この絵の二枚あれば大丈夫ですか?」と、聞いてみた。
「それで、十分よ。仕事が来たらギルドからに宿屋に連絡行かせるから。
それまで好きにしてもらって構わないわ……」
「わかりました。それじゃ、仕事の件よろしくお願いします。
あっ、あとモデルの件もよろしくお願いしますね」
「解ってる」とだけ、ギルド長に言葉を返された。
ギルドでの用事も済んだので、今日は宿屋へ戻り下書きだけ済ませている絵を着色して完成させることにした。
[若奥様]もとい、女神様の絵を一枚位は完成させれるだろうと思っていたが……。
そこから週末まで、ギルドからの依頼が来なかった為、下書きだけ済ませていた絵を週末までに次々と完成させていった。
◆◇◆◇
その週の週末の朝。
コンコンコン……。扉をノックする音が聞こえる。
「ハジメさん、いらっしゃいますか?」と、ギルド長のティーゼさんが扉越しに話かけてきた。
「はい、どうぞ」と言って、扉を開けた。
ティーゼが部屋に入ってきた。
「モデルの件、引き受けにきましたよ」
「ありがとうございます。
手始めに簡単な所から書いていきましょうか」と言って、椅子を用意した。
「ティーゼさん、モデルといっても気楽にしてもらっていいですよ。
まずは、その椅子にでも座ってください」と、言って椅子に座らせた。
「あの、モデルってことは脱ぐんですかね?」
「いやいや、そんな気はありませんよ。
どうしても脱ぎたいんなら、止めませんけどね」
最初に、ヌードモデルではないと説明するところから始まった。
その後、椅子に座ってもらったティーゼを正面や側面等の色々な角度からスケッチして絵を描いていった。
エルフの女性が僕の部屋にいる。
気になるのはエルフ特有の長い耳とスラっとした身体。
筆を止め、ティーゼさんの近くに移動して、長い耳を観察することにした……。
エルフ特有の白い肌、金髪の長い髪から出ている長い耳が、この女性をエルフであることを象徴している。
興味深く観察していると、恥ずかしさの為か白い肌が少しずつ紅潮していった。
「私の耳を見て楽しいのですか?」と、ティーゼさんが言ってきた。
「おっと、失礼しました。
金髪から出ている、その長い耳がすごく気になりましてね」
「そういえば、転生者でしたね。
サトウさんの住んでいたところには、エルフはいませんでしたか?」
「いなかったですねぇ……。
ティーゼさんのように、エルフの女性が美人ばかりなら毎日絵を描いてても飽きなかっただろうなぁ」
「そうですか、美人……ですか」と言って、ティーゼさんは顔を赤面させていた。
下書き状態であるが、椅子に座ったティーゼさんを描いた絵を[アイテムボックス]から取り出して、ティーゼさんに渡した。
「はい、これが座ってもらった状態で描いた絵ですね」
「あっ、凄い。
色がついてないけど、綺麗な絵なのはわかりますね……」
「まぁ、モデルがいいですからねぇ」と、言って更におだてておいた。
案の定、ティーゼさんは赤くなって俯いていた。
「それじゃ、次は立った状態を描いていきましょう」
そんな調子で朝から夕方まで、エルフの女性をモデルに1日中スケッチを行った。
◇◆◇◆
ティーゼさんが来たのは朝方だったが、すでに夕方になり辺りが少しずつ暗くなろうとしていた。
このまま、絵を描き続けるのは難易度が上がるので、今日の作業はこの辺で終了することにした。
「モデルの仕事お疲れ様です〜」と言って、ティーゼさんを労った。
「ふぅ〜〜。
モデルって動けないから大変なんですね……」
「あはは、おかげさまでいい絵がたくさん描けましたよ。
また、明日もよろしくお願いしますね」
「はいっ!!」
「そういえば、話しは変わるんですけど魔光り草って何に使うんです?」
「えっと、それは……」と、ティーゼさんは言いにくそうにしていた。
「言いにくいモノなんですかね?」
「いえ、そういうわけでは……。
魔光り草はエルフ族に伝わる化粧品の材料なんですよ。
夜中にならないと光を発さない特殊な草なので、採集するのはなかなか大変なんですよ。
魔光り草って……」
「へぇ……。
魔光り草を5つ程確保してきてるんで、お礼として差し上げますね」
……と言って、[アイテムボックス]から取り出して残りの魔光り草をティーゼさんに手渡した。
「えっ!! いいんですか?
このアイテム、結構いい値段しますよ?」
「あぁ、いいのいいの。
明日も、いい絵が描けると考えればこれ位安いものですよ」
「それはそうと、私の前で平気にスキル使ってアイテム取り出してましたね」
「あっ!! そうでした。
転生者としてバレるから、マジックバッグを使ってる風に誤魔化せって教えてもらってましたね。
以後気を付けます……」
「私は既に知っているんで大丈夫ですよ。
ただ、今後は気を付けてくださいね。
それと、ありがとうございます」と言って、魔光り草を受け取ってもらった。
「それじゃ、明日もよろしくお願いしますね」と言って、ティーゼさんは部屋を出て行った。
その後、部屋の魔道具で灯りを付けて下書きをしていた絵を着色していき、次々と完成させていった。
本日の投稿は3話投稿になります。
14話 7:00 ※イマココ
15話 12:00~13:00 の間
16話 17:00~18:00 の間
の3話投稿です。




