表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/64

交換条件

 目が覚めた……。いつもの天井だ。


 探索をしないとき用の服装に着替えたあとに、宿屋の店主に挨拶をしてから教会へとでかけた。


 しばらく、徒歩で移動して教会に到着した。

 教会に入ると、シスターのライムさんがこちらに気づいてくれた。


「あれっ、ハジメさん。

 2〜3日探索に行くんじゃなかったんですか?」


「予定のものが、早く見つかったので一日で探索が終わったんですよ。

 心配をかけてすいません」


 ライムさんと話をしていたら、ダニエル神父もこちらに気づき近づいてきた。


「やぁ、ハジメ君。

 早いじゃないか?」


 ライムさんと同じ内容の話をダニエル神父にも、同様に伝えた。


「そうか、無事でよかったよ。

 今後は、危険のある行為は控えてくれないか?

 あと、3週間程度の辛抱なんだし……」


「いやいや、3週間もボーッとしてるのって退屈ですって絵を書いて、時間潰すのもいいんですけど……。

 買ってくれる相手がいなけりゃ、こちとら商売あがったりですよ」


「働きざかりの年齢の君に働くなってのは酷な話か……」


「ただ、神父が言われていた事は考えさせていただきますね。

 宿屋の代金払っていただいてますし、僕としても思うところはありますので」


「それはそうと、急に探索を始めたのはお金を稼ぎたい理由があるのかい?」と、ダニエル神父が聞いてきた。


「あー。ほしい装備があるんですよ。

 この前、武器屋さんで提案してもらったエルフの弓が3000ゴールドするらしくて、それが欲しいので金策してるんです。

 それと、今回はギルド長のティーゼさん直々の依頼だったんで、請け負うしかなかったんですよ」


「武器の為の金策か、ギルド長の直々の依頼とか報酬が凄そうだな……」


「いえ? 無報酬ですよ? そのかわり、ギルド長には絵のモデルになってもらう約束なんですよ。

 エルフなんて種族は、僕たちの住む世界にはいませんでしたから。

 絵師として、こんなにソソる被写体はいないですよ」


「つまり、金とかよりもギルド長をモデルにしたいから。

 危険な探索に出たって話なのかい?」


「まぁ、身も蓋もない言い方をするなら、そうですね。

 それに、魔光り草が生えていた洞窟の滝がある水辺も、絵を書くのには良さげな感じだったんで、また行きたいですね。

 それに、[魔法使い]のスキルもありますから……。次はもっと楽に攻略できますよ」


 ……と言って、敢えて[転送魔法]のことについては黙っておいた。



「あと3週間の間は、無理して怪我しないようにしてくれよ」


「はい、わかりました」


「あの!! ハジメさん。

 モデルっていうのは、私でも大丈夫でしょうか!!」と、ライムさんが聞いてきた。


「はい。ライムさんはお綺麗ですし。

 モデルになってもらえるんなら、喜んで描かせてもらいますよ」


 ライムさんが、神父に耳打ちをした。

 神父は、シスターの耳打ちの言葉に納得して、提案をだしてきた。


「なるほど、それはいい考えだ……。

 ハジメ君、3週間はこのライムをモデルに好きに絵のモデルに使っていいから狩りに行くのは禁止な」


「まぁ、モデルさんがいるのなら。

 3週間位は大丈夫ですけど、いいんです?

 僕は女神様を2〜3日位、絵のモデルに使ったような人間ですよ?」


 ライムは意を決した表情で言った。

「覚悟はできてるんで、大丈夫です。

 脱ぐんですよね……」


「いやいやいや、脱がなくていいから。

 被写体としての脱いでもらう事はあるかもしれないけど、最初から女性を脱がす前提で絵は描きませんよ」


 ……と言いつつ、裏でギルド長のティーゼさんは絶対に脱がすがなと考えていた。


「そうなんですか……」と、ライムさんは少し残念そうにしていた。


「わかりました。

 3週間の間、この村でおとなしくしてます。

 ライムさん、モデルの件はお願いしますね」と言って、この場を離れた。


 次にギルドへ移動した。いつものように受付の列に並び、ギルド長のティーゼさんの列に並んだ。

 しばらく列で待っていると、自分の順番がやってきた。


「次の方どーぞ」


 受付の席に座り「どーも」といった。


「えっ!? 昨日、南の森に探索にいきましたよね?」


「思ったより早く、魔光り草を見つけれたんで1日でかえって来れました」


 ……と言って、魔光り草をティーゼさんに手渡した。


「これは、魔光り草ですね。本当に持ってきたんですね」


「はい。モデルの件の了承を聞けたので、やる気を出してみました」


「あはは……。言ってしまった以上、断る事は出来ませんよねぇ。

 解りました。モデルをするのにどれくらい期間が必要ですか?」


「2日あれば、大丈夫ですよ」と、答えておいた。


「それでしたら、今週の週末に……。

 場所はどうしようかな、ギルドでは流石に拙いわよね」


「だったら、私が借りている宿屋の105号室でも大丈夫ですよ。

 絵を描く道具なんかも揃ってますし、色々と小道具なんかもありますから」


「解りました。

 週末に、宿屋105号室へ行きますね」


「はい。お待ちしてます」


「あの? 一つ質問していいですか?」と、ギルド長が聞いてきた。


「あの洞窟、ボスゴブリンがいたはずだけど?

 それはどうしたの? それは別件でギルド依頼がかかってたと思うけど?」


「あー、弓で仕留めましたよ」


「貴方、盗賊よね? いや、盗賊も弓は扱えるのか、それでもレベル15以上必要だったハズ?

 適職以外の素人が弓を打っても弓は当たらないハズなのに……。

 ハジメさん、ギルド証の再提示をお願いできるかしら?」


 ……と言われたので、ギルド証を提示した。


「えっ!! レベル24!?

 この前、ギルド登録したばかりよね? 何なの、この異常な成長速度……。

 でも、それなら盗賊でも弓を扱えるのは納得出来るわね」とギルド長に言われて、ギルド証を返してもらった。


「それでしたら、5日後に宿屋でお待ちしてますね」


「その前に、この依頼書をもって裏の買い取り倉庫でボスゴブリンの討伐証明をだせば。

 依頼達成にしといてあげるわ」


「ありがとうございます」と言って、そのままギルド裏の買い取り倉庫に向かった。


 買い取り倉庫に到着し、コワモテの副ギルド長が担当する買い取りスペースへ移動した。


「どーも!! 副ギルド長。 先日はお世話になりました」


「おっ、ニーチャン。 南の森にいったんじゃなかったのか?」


 依頼が予定より早く終わった旨を、副ギルド長に伝えたら納得してもらえた。


「そんなに、急いで達成したかった。……ってことは、ギルド長をモデルにして早く描きたかったんだよな?」


「よくわかりましたね。それで、問題が一個あってモンスターを討伐したのは良いんですけど。

 討伐したままの姿で、マジックバック(仮)に放り込んでるんですよ」


「いや、ニーチャン。

 [マジックバック]じゃなくて、スキル的なものでアイテムだしてなかったか?」と、副ギルド長からツッコミがきた。


「マジックバックって事にしといて下さい。

 ギルド長のティーゼさんに、その件は注意されたんで……」


「あぁ、ギルド長がいうのなら、そういうことにしておいてやる」


「それで、さっきボスゴブリンの討伐の依頼書をギルド長に貰ったんで、次いでに出そうと思いまして」


 ギルドの依頼書を副ギルド長に手渡した。


「それじゃ、討伐したモンスターをこのスペースに置いていってくれ」


 一番最初に、討伐したボスゴブリンを置いて、その後に討伐したゴブリンを大量に置いていった。


「おいおい、ひよっこ冒険者が狩る量にしては、エグい数を狩ってきたな」


「前回の探索で、弓が扱えるようになったんですよ。

 それで、狩りの効率があがっちゃって」


「それで、こうなったとな」


「ただ、ボスゴブリンを倒してくれたのはありがたい。

 半年の周期で、あの洞窟にボスゴブリンが湧くんだよ。

 そうなると、森のゴブリン達が活発になるから薬草採集の効率が落ちるんだよ」


「もしかして、ボスゴブリンって結構厄介な存在なんです?

 あぁ、エルフの女が捕まろうものなら、ゴブリンハザード(・・・・・・・・)が起きかねないからな」


「人間の女の場合は?」


「それでも、十分に拙いことになるだろうよ」


「それを倒したということは、割と安全に薬草集めができるようになるってことですかね?」


「あぁ、そうなるよ。

 だから、依頼料はなかなかいいんだぜ。ボスゴブリン退治」


「それなら、依頼料と買取金額が楽しみですね」


「数が多いんで、代金の支払いは明日でいいか?」


「それで構いませんよ」と言って、この場をあとにした。


 ギルドの件も、教会の件も終わってしまい暇になってしまった。狩りに行くのは禁止されてしまったので、絵でも描こうかな。

 今日は、魔光り草のあった洞窟の奥の滝でも[転送魔法]を使って、絵を描きにいこう。

 狩りに行くわけではない、絵を描きに行っているのだ。なんの問題もないはずだ。


 そんな言い訳をしながら、[転送魔法]を使い魔光り草があった水辺へ移動して、風景画を描いて一日を過ごした……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ