11、先生の隣で……
「葛西先生の心臓もらって長生きしたって、先生が居ないなら生きている意味ないよ」
私は眠っている葛西先生の耳元でぼそっと呟いた。
「葛西先生……好きだよ。居なくならないで」
私は気がついたら、
先生の枕元に顔を伏せたまま眠ってしまっていた。
「風邪引くよ」
私は誰かに優しく頭を撫でられる感触で、目を覚ました。
「葛西先生……よかった」
「水城……いっぱい心配させたな。ごめんな」
私は久しぶりに聞いた葛西先生の優しい声に、涙が溢れて止まらなくなった。
「……なんで泣く?」
葛西先生は、私の腕を引っぱり抱き寄せた。
「葛西先生の声聞いたら、安心して……」
私は葛西先生の胸に顔を埋める。
トクントクン……
と、聞こえる葛西先生の鼓動。
やっぱり……心地いい。
「可愛い……水城ってこんな小さかったっけ?」
葛西先生が泣いてる私の頭を何度も撫でる。
「麗……」
「え?……葛西先生……?」
葛西先生に名前で呼ばれた気がして、
私は顔をあげた。
葛西先生の手がゆっくりと動き、私の頬の涙を拭った。
涙はあっという間に止まった。
ドキンっと、胸が高鳴る。
葛西先生とこのまま『キス』……したい……。
離したくない……離れたくない。
もっともっと近づきたい。
「私……葛西先生の特別な人になりたい……」
ずっと胸に秘めていた思いが溢れだしていた。
また先生を困らせると思った。
でも、
葛西先生はいつもみたいに、
困った顔をしていなかった。
「……俺の心臓……プレゼントしようかと思ったけど、やめた……」
葛西先生は私の頬を軽くつねった。
「そんなことしたら、ずっと泣いてるだろ?笑ってる顔……見ていたいからさ……麗の隣で」
葛西先生の顔が近づいてきて、
初めて先生とキスをした。
「好きだ」
優しい優しいあったかいキスだった。
「卒業したら、一緒に暮らさないか?ゆっくり、これからやりたい事、一緒に見つけて行けばいいよ。どんなんでも、俺がそばで支えるから」
私は嬉しすぎて、
止まった涙がまた溢れ出していた。
「これ、夢じゃないよね?!だって……私!絶対、無理だと思ってたから……叶わない恋だってっ……」
葛西先生が、私をぎゅっと抱きしめた。
「麗が俺を変えたんだよ」
葛西先生の温もりが私に夢じゃないことを教えてくれる。
「俺がどんなに気持ちに蓋をしても、麗はいつだって俺に真っ直ぐぶつかってくるから。俺も、もう教師だって言葉で誤魔化すのはやめるよ」
そう言って、いつものように頭をポンポンっと撫でてくれた。
「麗が好きだ。もう……おまえの前では、ただの先生ではいられないよ」




