序
この物語はフィクションです。実在の人物、企業、歴史とはまったく無関係です。
序
ある時代のある地域では戦争が勃発していた。
戦争とはいっても、第二次世界大戦や太平洋戦争のように大規模で、民間人を巻き込むような大きな戦争ではなかった。
戦争ゲーム。あるいは国主の喧嘩、もしくは小競り合い。とでも言おうか。
大層な理由もないのだから、戦争の規模はどうしたって小さいわけだ。
これを『限定戦争』と呼ぶ。
定められたルールの中で、ルールに従い、戦う。
彼らは、その舞台を彩る鳥達。元々はどこも、工業に長けた会社達が、傭兵を雇い入れ、自社の兵器を使い、戦争を国の変わりに肩代わりしたのが始まりだったのだろう。『戦争屋』と呼ばれた彼らは、資本主義の最先端となって戦争をビジネスに変え始めた。
セレベス紛争、セラム海問題、地中海大戦。数々の戦争により数々の戦争屋が生まれた。闘功機構、TTTセキュリティ、URワークス。彼らの功績により、地図は大きく書き換えられることもなく、国境だけが、国名だけが、徐々にだがやがて大きく変わっていった。
世界は今麻痺している。幾度と無い戦争が、心を奪っていった。
国家同士は手を取り合うことを止め、隣人は疑心暗鬼にかられ、人々はそれを止めることはおろか、自らの利益のために煽る始末。
もはや滅びの道行を止めることは、誰にも出来ないのかもしれない。
気が遠くなるほどの年月を、死合いに費やして、傭兵達はぎらぎらと飢えた獣の目を光らせる。
ここはもはや生き物の土地ではない。死に物の土地だ。
この世に終戦を。この世に、完全平和とまで望まない。でもささやかな幸せを。愛を。友情を。信頼を。
雲行きの怪しくなるこの歴史の中で、若者達よ。どうか生気を取り戻して。
誰かの小さな願い呟きは、やがて大きくなり、合唱となる。
この物語は、そんな凍てついた限定戦争を舞台に描かれた世界観、それにフィクションを足した、あり得るかも知れないファンタジーである。




