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2012.1.14 【敗戦処理開始】その一 《入院して初めての一時帰宅》

一時帰宅して、いろいろ考えます。

 五時〇〇分

 今日は土曜日。外出してアパートの清掃だ。

 自分のご褒美は近所のラーメン屋でレバニラ定食ご飯大盛りと餃子にしよう。

 自分へのご褒美にアルコールなんて論外だ。

 あの甘い佐々結愛期はおれのことを地獄へと引きずり込む悪魔の囁きなんだ。

 今度という今度は絶対に負けない。

 しつっこいようだけどあらためて言おう。


 アルコールは敵だ。



 さて、昨夜の睡眠状況

 二〇時三〇分  眠剤服用

 二一時〇〇分  ちょい過ぎに寝る。

  〇時〇〇分  同室のO氏の着替えの音で目覚めてしまい、追加の眠剤をもらう。

         もっと静かに着替えろよ!って思ったけど、明らかにアルコールで

         脳まで破壊されてるからいろいろ調節が効かないのかもと思う

         ことにして自分を納得させて感情の波が出ることを防いだ。

  二時四五分  中途覚醒。すぐ寝る。

  三時三〇分  同上

  四時〇〇分  中途覚醒。起きようかと思ったが、

         眠剤がまだ残ってるのがわかったので寝る。

  四時三〇分  足下がふらつかなくなったので起きる。今日も寒い。


 五時一五分

 起き出してから四五分。書き物をしていると時間が紛れて良い。今朝は書き物をする前に断酒会に通っていた頃の頁を読んでいた。例会に毎週参加していたことや、当時の自分のアルコールに対する認識を振り返ることができた。


 例会の出席者の座席表を毎回書き留めていたので、名前を見て、そのメンバーの顔を思い出したり、皆に優しくしてもらったり、励ましてもらったりしたことを思い出して胸がいっぱいになった。

 やっぱり退院したらE支部に戻ろう。何回も何回も試したけど、一人で闘うには限界があるんだ。不眠がどうしても治らないから精神科の世話にはならなければいけないし、くじけそうな時はぶっちゃける場が必要なんだ。


 自分はストレスをため込んでしまうタイプであると今回の入院で実感できたので、発散の方法を考えて用意しておかなければいけない。いま現在のようにノートに書き散らかすという方法もその一つではあるが、断酒例会の自由意志の交換はかなり効き目がある。

「断酒会」といっても「自由意志」の交換なので何を話してもいいのだ。アルコールの体験談がやはりメインだが、そのとき良かったこと、頭にきたことを話しても良い。何でもいいんだ。


 ストレスや怒りは心の中にためちゃ駄目だ。自分では我慢できているつもりでも、心の中のダムの水位はどんどん上がっていき、ついにはダムはいっぱいとなって越流が始まる。機会飲酒だ。

 越流が始まったらダムが決壊するのは時間の問題だ。決壊したら、連続飲酒だ。下流に大洪水を引き起こして全てのものを破壊する。

 ダムの水が全て流れ去ったあとは何も残らない。運が良ければ命だけは残る。


 やはり、ストレスと疲れはためてはいけない。疲れならきちんと癒やしてやり、ストレスや精神的な疲れは断酒会でぶちまけてスッキリさせなくてはいけない。

 なに、九〇あったストレスが例会でぶっちゃけることによって四〇とか六〇に下がれば儲けものじゃないか。



 六時五〇分

 さて



 七時一〇分

 上の文章を書こうとしたら朝食のアナウンスがなってしまった。相変わらず行列を作って、食事が乗ったトレイを奪い合って、まるで動物だな。

 見物を決め込むに限る。



 一三時三五分

 病院からの外出で家にいて考えたことを書いておく。

 いまのこのアパートは人間が住む部屋じゃない。ゴミためか豚小屋だ。

 やはりアルコールは破壊者だ。闘うしかない。


 一四時二〇分

 ペットボトルとガラス瓶の片付け終了。

 今日は流し台と選択だけのつもりでいたからうれしい誤算だ。

 布団も干せた。明日も干そう。

 片付けていて思ったのが

「いやまあ、よくもこんなに飲んだものだ」

「本当にアルコールってのは破壊者でしかないな」

 の二点だ。


 今回は築き始めたばかりの社会的信用をけっとばして懲りたつもりでいたが、いったん整備して快適になった生活も生活環境もガッタガタに崩して壊されていた。片付けていて本当に感じた、アルコールは本当に破壊者であり敵でしかない。



 一六時〇〇分

 外出終了。残留組に挨拶して、少し世間話をして自室に戻る。人員確認アリ。

 いやあ、今回の外出は思いの外はかどった。最初は流し台の清掃と洗濯だけでいいや。なんて考えていたのだが、食器込みであっさりと終わってしまい、布団カバーをはがして布団も干せた。

 ラーメン屋に行ってレバニラ定食プラス餃子を注文。大盛りライスをおかわり。久方ぶりに満腹になった。

 不思議なもので、満腹になったら戦闘意欲がわいてきてペットボトルとガラス瓶の片付けを始める気になった。戦闘服(作業服)に着替え、手袋をはめたら、さらに気合いが入った。三〇分もかからずあっさり終わる。自分でも進捗具合にビックリ。

 燃えるゴミと空き缶が残っていたが、日曜日の作業予定を前倒しで行えたので、本日の作業は終了。

 一服しながら流れゆく雲を眺めてお気に入りの音楽を聴いてた。


「僕はいつも思うんだ いくらつらいことがあったって」

「これでいいのだ。そうだ、これでいいのだ」

「だがしかし、だがしかし!」


「これからはどこへだって歩いて行ける。

 この二本の足があれば地の果てだっていける」


『陽の当たる大通り』


 筋肉少女帯もい勇気づけられ、ピチカートファイブに前向きにしてもらった。

『陽の当たる大通り』を聞いてから家を出て、歩きながら考えた。


「陽の当たる大通りのすみっこでいいから笑って歩きたい」

 アルコールを飲んでいた時には思いもしなかったことを考えた。

 病院のルールを破ってズルをして自転車で来ないで歩いてきてよかった。われながらいいことを考えられた。

アル中の部屋は、ゴミ屋敷。

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