間話その三 断酒ってなに?
今回は、普通に暮らしている人がまず耳にする機会がない
「断酒」
という言葉について取り上げてみますね。
節酒とか禁酒じゃなくて、断酒。
どういうことかというと、一切アルコール類を飲まないこと。
期限は自分が死ぬまで。
ファッ? て思いますよね。お酒が好きな人には信じられない言葉だと思います。
節酒………………飲みに行っても酒量を控えたり、晩酌の本数を減らしたりすること。
これができる人は依存症の可能性は低い。
禁酒………………一定期間、お酒を飲まないこと。あるいは何者かに強制されるもの。
健康診断の数値を考えて二週間前から飲まなかったりするとか、
なにかの願掛けで成就するまでお酒を飲まなかったり。
昔のアメリカみたく法律で規制されてみたり。
タイムリーな話題だと、アメリカ海軍が日本国内での飲酒を禁じたり。
断酒………………お酒を飲むと破滅一直線の人がしなくてはいけないもの。
とにもかくにも飲んじゃダメ。飲んだら終わり、自分も終わる。
だけど、退院患者の断酒成功率は一割ともいわれている。
難しい。一ヶ月、三ヶ月、半年で退院同期がどんどん脱落していく。
気づけば自分も脱落している。
アルコール依存症の人がしなくちゃいけないこと。
断酒初期…………お酒を飲まないからといって誰から褒められるわけでもない。
頑張るぞと意気込んでも家族の目も周囲の目も冷ややかだ。
やらかしてしまったこと、今の自分を認めることが必要。
だけど、それができない。否認の病だから。
心が折れそうになる。折れる人もいる。
絶望のあまり、自らの命を絶ってしまう人もいる。
この、見えないなにかに試されているかのような状況。
お酒を飲まないからなにかいいことが起きるわけでもない。
アルコールによってめちゃくちゃにしてしまった現実が
見えてしまって、
事態が悪化したように感じたりもする。
でも現実と向かい合って、ひとつひとつなんとかしていけば、なんとかなる。はず。




