表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/27

3

3


私は躊躇いがちに車に乗り込む。

これでいいのか。

本当に無事帰れるのか。

そんなことをふと思ったが仕方ない。

否定できない空気があったのだ。

黒いシートに身を沈め、短く息を吐く。運転席へと座り込んだ坂本さんの頭を見つめ、小さな声で話しかけてみる。

「あの......坂本さん。」

「はい。なんでしょう。」

彼は優しい声でそう言った。私は続けて、

「話というのはなんですか?」

と、切り出した。彼は静かに咳払いすると話し始める。笑いを含まない、真剣な声だ。

「橘さん。貴方のご両親の事なんです。お二人は仕事が長続きせず、収入が安定していない。それにもかかわらず、ギャンブル、酒、浮気をお互い繰り返しているご様子ですね。」

私はなぜそんなことがばれているのかに驚き、返事を忘れた。坂本さんはそれでも続ける。

「私は先程とある会社の社長秘書と言いましたが、それは表の顔。裏では、まぁ、一応許可を得た金融屋の副社長なんです。まぁ、またその裏があるんですが、それは社長から話がありますので。」

坂本さんはクスリと笑い、

「信じられないでしょう。」

と言った。私は、

「いえ、理解しようとしているだけです。」

そう言って窓に目を向けた。

親がそう言う事をしているのは薄々気付いていたから、そういう話をしてくる大人が居ても可笑しくないと思ったのだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ