映画館
「まつり!こっち!!5分遅刻ー」
凛が立ち上がって手をふる。
「ごめんごめん。なかなか服決まんなくて…」
まつりが集合場所のカフェに着いたのは、集合時間よりも約5分すぎた頃だった。
「うちらさっき飲み物注文したけどなんか飲む?」
「うん。キャラメルマキアートにしようかな。…そういえば、栗山くんは?」
まつりが辺りを見回す。
「栗山、まだ来てねーんだよ。」
と言いながら佳那汰はメールをチェックした。
「そっか…」
「まつり、なんかあった?」
「ううん。何にも。注文するのは栗山くんが来てからにするよ。」
そう言ってまつりはイスに座った。
そのときだった。やっと秀が来たのだ。
「ごめん、遅れた。」
そう言いながら近づいてきた秀は、髪の毛が乱れていた。
「秀くん何があったの!!その髪型!!ぼっさぼっさだよ!?」
びっくりした凛が大きな声を出した。
「うん、ちょっといろいろあって」
そう言いながら髪を整える秀に
「どんなことがあるとそーなるの。」
とまつりがつっこみを入れた。
「あはは」
秀は笑ってごまかす。
カフェで約30分過ごした4人は、映画館に移動した。
映画館に入ると、すでに時遅し。ほぼ満席だった。
「うわぁ、ちょっと遅すぎたかな…」
まつりがつぶやく。
席を探していた凛と佳那汰がやっと見つけた席は、2席2席で、離れた場所にあった。
「どういう風に別れる?」
と聞いた凛の目は、期待に溢れていた。
「いいよ、凛ちゃんと佐藤で座って。俺とまつりちゃんで座るから。」
そう秀が言うと、待ってましたとばかりに、さっさと席に言ってしまった。
「ごめん、まつりちゃん。勝手に決めちゃって…。」
「ううん。私もそう言おうと思ってた。」
「そっか…」
まつりの頭ので、秀の家でのことがフラッシュバックのようによみがえった。
(ヤバい、なんか緊張するよ…。)
そう思ってたのはまつりだけではなかった。
秀も、まつりが近くにいることで、必要以上にドキドキしていた。