ドキドキ
「凛ちゃんに連絡して来てもらう?」
秀がまつりに問いかける。しかしまつりは首をふる。
「凛にはこのこと、内緒にして欲しい。」
「了解。温かいもの飲む?」
「平気。……ねぇ、何にも聞かないの?」
まつりは起き上がりながら秀に問いかけた。
「聞いてほしいんか」
「いや…」
別に、と答えようとしたが、まつりは正直に
「聞いて欲しい」
と言った。
すると秀はベットに座ったまつりの横に座った。
「話してみて。」
千晴が亡くなってしまったこと。自分が病気なこと。今日感じた恐怖のこと。
しかし、余命のことは話さなかった。
「私、心臓が弱いの。
栗山くん、私死にたくない。死ぬなんて怖いよ。やだよ。」
まつりは泣き出してしまった。
「泣くな。」
と言うと同時に、秀はまつりを抱き締めた。
「く、栗山くん…?」
「こうしたら気にせず泣けるだろ。」
ドキ、ドキ、ドキ――
確かに心臓がそうなったが、これは発作とは違った。
しかしそれを認めたくないまつりは、秀を突き飛ばした。
と、同時にまつりには罪悪感がこみ上げて来た。
「ご、ごめん栗山くん。でも、余計心拍数上がっちゃうんだもん…」
「ごめん。もうそろそろ、お家帰る?」
「だね。そうする」
「送ってくよ」
「お言葉に甘えます」
まつりと秀は、電車を降りえから並んであるった。無言が続いた。
10分くらいでまつりの家に着いた。
「ありがとう、栗山くん」
「ううん。気を付けてね。」
「うん、ばいばい」
そういったまつりは家に入ろうとした。
「まつりちゃん!!あの…日曜日、俺が一緒にいたらやだ?」
思わずまつりは吹き出してしまう。
「全然。逆にいてくれないと、あの二人のなかには入れないよ。」
「そっか…ソーダよね。ありがとう。」
「おやすみ」
まつりがそう言うと秀も
「おやすみ」
と言った。
部屋に入ったまつりは、床に座って考え込んでいた。
――――この気持ちはなんなんだろう…。モヤモヤして、ドキドキして…。
私、変だ…。