1通のメール
「栗山くん、昨日はありがとうね。送ってくれて…。」
まつりは昨日、家まで送り届けてくれた秀にお礼を言った。
「いいっていいって!!まつりちゃんと長くいれたから嬉しいもん!!」
そう言って秀は笑顔でウィンクした。
そこへラブラブの二人、凛と佳那汰がやってきた。今日もいつもと変わらずラブラブだ。
「おー!!お二人さん仲良くなっちゃったの!?」
凛がそう言うと佳那汰も
「お似合いだね」
とかせかしてくる。
「別に仲良くないから!!」
あわてて言うまつりとは逆に、秀はふざけて
「光栄です!! まつりちゃん」
と言った
「もう。」
まつりは秀を睨み付ける。
そこへ凛が入ってきて
「まつりは照れないの~!!」
と言う。
「照れてないから!!」
まつりはすかさず返した。
それを止めるように、今度は佳那汰が入ってくる。
「次の週末、四人で遊びに行かね?」
佳那汰の提案にまつり以外の二人は賛成する。
それをみて、まつりもしぶしぶ賛成した。
その日の帰り道。まつりは秀を避けていつもより一本遅い電車に乗った。
「はぁ…。」
ため息がもれた、そのときだった。
ケータイがなった。凛からのメールだった。
『まつり今日機嫌悪かったね。
うち、余計なこといっちゃったから…。
ごめんね
週末のことなんだけど、
みんなで映画に行きたいな。
お家着いたら返信ください。』
そのメールを読み終わったときだった。
まつりが降りる2つ前の駅で見覚えのある人が乗ってきた。それは確かに、綾瀬千晴の彼氏だった。
(ちはるん…)
不意に千晴のことを思い出してしまった。
(完治したって言ってたちはるんが亡くなたってことは、私だってわかんないんだよね。もしかしたら、今すぐ死ぬかも知んないんだよね)
そう思ったまつりは、なんだか発作が起きそうな気がした。
こうなると、死にたくないと不安をになる。
誰かに会いたい。誰でもいいから今すぐ会って、私を安心させて欲しい。そう思ったときだった。
再びケータイがなった。知らないアドレスからだった。
(誰だろ…。迷惑メールかな?)
そんなことを考えながら見てみると、件名には『秀です』の文字。
『秀です。凛ちゃんからメアド聞いちゃった。
まつりちゃん、ラインはしてないらしいね。
俺のメアドよかったら登録しといてね
電話番号も乗せときます。
090-・・・・-・・・・
今すぐかけてもいいよ(笑)』
まつりの手は、無意識に動き始めていた―――