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僕たちが見た、幻想のソラ  作者: 蒼葉蒼樹
現実から幻想へ
4/22

現実修行

一週間の修行回です

とはいえ、一部ブッ飛ばしてますが・・・まぁ、これでやっと幻想郷に入れると思うと気は楽には成りますね・・・やっと既存キャラが描けるのかw

では



翌日―


朝はいつも通りの早起きで、境内の掃除から始まった

久しぶりというのもあってさすがに少し、体が鈍っている

高校を卒業して以来だから5年くらいは経っているかな

それでもスピードでは普通の人に比べたら負けてはいないと思うけど


爺「翔季よ、少し遅くはないか?

前のお前はもっと早くかけて行っていたはずじゃが」


そんな、凪 翔季の爺、凪 玄朗 が、朝食前から凪を見て若干落胆していた


翔季「(それは仕方ない気はするけど・・・家でもあまり武器を振るっては居られなかったし

・・・まぁ、境内の掃除も、修行の一環なのは、昔からだけどね

そろそろ終わるし・・・もうじきかな)」


などと思っていると、呼び声がかかった


秋穂「玄朗お爺様、翔季様、朝食の準備が出来ました」


と、丁度いいところに秋穂の呼び声がかかった


翔季「ふぅ、さて 朝飯前はこんなところにして

ご飯にするかな」

玄朗「・・・ふむ、まぁ修練を積むにしてもまずは腹ごしらえじゃからの」

翔季「・・・そんなこといって朝から掃除させてなんだろうな・・・

この人」


と、聞こえないようにつぶやきつつ、その場を後にした



この時は、まだ修行という工程を終わらせることに集中していたけど

後になって気付いてみたら・・・あぁ、なるほどって思わず納得してしまった自分が情けなく思えたぐらいだった

ただ、そう思うのはもう少し先の話


朝食を終え、いつも通りの修練を続ける

やることは前やっていた時とほぼ同じだ

ランニングに始まり、山を上り下りし、武器の素振り、精神統一など、その種は様々

だけど、どれをとってもほぼ毎日やっていることだ

翔季にとって、それは楽でも、日ごろの行いが一番表に出てくるところだった


翔季「(流石に、最近料理の方に気を向けていたから・・・

いざ本気の修練ともなると・・・きつくもなるか)」


そうは思っても、少し体が重くなったような感覚を感じつつも

修練で勘を取り戻しつつはあった


翔季「(よし、これなら数日で前みたいにできそうだ)」


精神を研ぎ澄まし、武器を振るう、いつも携帯しているトンファーを思い切り振るう

突き出し、回し、叩きつける、それを舞うように行う

それを数ループほど続け、終わる頃合いに呼び声がかかった


玄朗「ふむ、そろそろ相手が欲しいところではないか?」

翔季「相手って・・・まだはじめてから3時間もたってないですよ

まだ修練して、しっかり感覚をつかんでからでも・・・」


と、言っているうちに、木偶人形が降ってきた・・・というか落ちた?

けど、吊るされているみたいだ・・・上を見てみると


玄朗「じゃがもう遅いわ、秋穂」


はい、という合図で人形たちが意思を宿したかのように動き出す


翔季「って、あぶなっ!

一体どうやってこんなのを・・・普通に考えたら無理ですよ、しかも五体」


と、言いながら囲いから抜け出す翔季、そして再度木偶人形たちを見つめる

上からワイヤーみたいなもので吊るされているのは分かるけど・・・上にはいないよね

当然だけど

でも、秋穂さんどこにいるんだろ


翔季「・・・考えている場合じゃないよね

仕方ない、行くよ!」


不規則に動く木偶人形に突っこむ


翔季「(ワイヤーを切ればおそらくそれで行ける・・・人形自体殴りつけてもこちらの方が手傷を負う、見えているだけでも切れれば)」


そうこうしていると、自分の周りに人形が三体囲むように来ていた、そして前方に三体

左右後方に一体ずつ

距離はあるものの正直厄介なことに変わりない


翔季「でも、弱点が見えているなら

斬る!」


人形をそれぞれ殴りつけ、仕込みナイフ(調理用)で、切っていく

ワイヤーが切れ落ち、人形はへたり込んだ・・・はずが


翔季「! まだ起き上がる!

一体何の仕掛けで」

玄朗「ワイヤーはおとりでな、機械で動かさせてもらっとるぞ

実質ワイヤーはいらぬのじゃが、それだけでは味気ないからの」

翔季「(なんて偏屈な・・・)

機械・・・ということは、どこかで電源を操作しているはず」


そう思いつつも、相手が五体では分が悪い

それに三体ほどワイヤーを切ったことにより、相手の動きがより速くなっている


翔季「くっ、このままじゃ・・・打ち付けても埒が明かない

・・・仕方ない、関節部を狙う!」


木偶人形とはいえ、所々細いところがある、そう、動かす関節部はその分強度がもろくなっているはず、狙えば行動できなくさせることはできるだろう

不規則な行動とはいえ所詮は機械


翔季「このまま打ち付けていけば・・・いける!」


その通りに木偶の関節部が砕けていく

一体、二体と砕けていき


翔季「これで、終わりだ!」


木偶人形の脚部を破壊し、上半身だけとなり、行動不能となった木偶人形は動きを止めた

どうやらこんなところらしい


秋穂「的確に弱点を突いていきますね・・・ある程度の事は分かるのでしょうか

それか、力任せか」

翔季「そういう言い方は無いと思うけど・・・

でも、しばらくは自主練ばかりだったから、こういうのもいいかもしれない

修練を全力で取り組まないと・・・いざどこかに出たとき困るからね」


何事にも全力で・・・それがいつもだ

何をやるにしても出来ないと辛い、だからこそ全力で取り組み、覚え、そしてそこから得られるもの、自分なりに変えられるもの、その他様々なやり方をしてこそ

それが翔季の考え方だ


秋穂「だから料理の方も精通してるんですね」

翔季「いや、まぁ、こればっかりは必要に迫られてというか

必要ではあるんだけど・・・」

秋穂「いいのではないでしょうか

料理ができる殿方も素敵だと思いますよ?」


そんな言葉を苦笑いで返す翔季

玄朗も少し席を外しているみたいだが、まだ修練は続いていると考えていいと思う

そう容易くは無い、これはどこでもいえることだ


翔季「さて、まだまだやらないと

ホントに熊とかに襲われてもいい様に、自分を鍛えないと」


そういい、一息吐き、次の修練へと向かっていった

しばらくのやったことの繰り返しをし

武器を振るい、ボールを投げ飛ばし、落ちる前に取ったり

修練は終わりを見せない

当然ではあるがこれは


翔季「限界を突き抜けてこその修練・・・か

なら、とことん上り詰めるまで!」


己の限界を超える、簡単なことではないが、この青年はやり遂げようとしている

使命を帯びるかのように、何かに憑かれたかのように

だが、突き進むように

繰り返しの果てに何が見えるかはわからない

だが彼は見続ける、分からないが、よき未来を夢見て


リューシェ「異端者も夢を見続ける、自分の世界を愛するかのように

・・・翔季君、君は世界を動かすモノになるかもね」


森の中、暗くなった夜の刻、かすかに動く白い衣をまとった少女が道場の脇から翔季を見つめる

まるで愛するかのように、けれど、また別のものを見るかのように


リューシェ「未来を見て・・・か

まったく、私には大役すぎないかなって思うんだけど

あの人達はあんまり後先考えてないよね・・・

まぁいいや、考えたって始まんないし

私は私なりに動かさせてもらおっと」


気軽に動き闇夜に消えていく白猫

その後は白雪に消え、夏も近いというのにその周りは凍えていた





その後、朝から晩まで新たに取り入られた修練をこなし

それを五日・・・つまり、出発前日まで続けた

結果、体力はかなりついた・・・と思う

ただ、終わりごろにお爺さんが言っていたことが気になるが

今は心に留めておくだけにしておこう

今日はその幻想郷という場所に向かうための準備をしているところ・・・だけど

もう時刻は昼過ぎ、朝は朝でバタバタしててそれどころじゃなかったから

ちなみに秋穂さんは、実家に戻って準備をしてまた来るって言っていた

・・・そろそろ来るころだと思うけど


持ってきた軽めのバッグに色々詰め込む

一応軽装に努めるようにはするが、何もないところに放られたりしたらたまったものではない

だからこそではあるが、調理道具一式を別のバッグに入れ込み、調味料もパックに入れ込んでいつでも野宿などができるようにしておいた

・・・とはいえ、そこまで行くとやはり荷物が多くなってしまう


秋穂「なら、せめてこっちの荷物を減らして・・・

中華鍋があればある程度はできると思いますが」


と、そこで帰ってきていたらしい秋穂が横から声を掛ける

準備ができたらしいが

確かにそうだ

深さのある中華鍋ならスープなども作れなくもない

実際そういう料理経験はあるわけだが


秋穂「そんなに重い荷物持って行っても邪魔になりますよ?」


その通りである

調理器具だけでもキャンプテントをはるかに超える量がある

それに調味料や食材も合わせると持ち歩けるほどの重さではない


翔季「仕方ないか・・・まぁ、自由に動けないといざって言うとき困るし・・・とすると」


そこで考えがまとまったのか、荷物を少量にし、少し大きめのバッグに入れ込む

背負いバッグだし、これならいけるだろうという判断だ


翔季「いよいよ明日か・・・」

秋穂「実感わかないって顔ですね」

翔季「そりゃ・・・ね

いきなりあんなこと言われて信じろって言う方がムリだよ

第一、世界がもう一つあるなんて誰が信じるのか・・・

まぁ、でも君は嘘なんてつかないことは知っているし、信じているよ、君を」


というと、秋穂が少しうつむき気味に小声でいった


秋穂「そういうの、面と向かって言わないで下さいよ、恥ずかしい」

翔季「? 何か言ったかな」

秋穂「な、何でもないです!

そ、それより、準備はできましたか?」


そこで翔季は、バッグを背負い、最後に自分の相方でもあるトンファーを腰につけたホルダーに入れ込む、他にもいろいろ入れられそうだが、今はこれだけだ


翔季「そうだね、これで十分かな

まぁ、無人じゃないって聞いたから安心はできるかな

でも注意だけはしていくことにはするよ

・・・妖怪なんていないことを祈るけどね」


自嘲気味に笑み、安心を誘うが

それは単に不安を拭い去ろうという笑みだった

でも不安は変わらない、何せ相手はあの神隠しだ

何があっても対抗できる手段があるに越したことはない

そう、翌日に迫っているだけに、その思いは日に日に強くなっていく

だが


玄朗「相手が何でも叩き伏せるのみじゃろ?

無駄に不安を抱くよりも楽しむことを考えたほうが良いじゃろう

のう? そこの・・・なんじゃろうか? 猫?」

?「猫でもいいけど、同じ人型なんだからお嬢さんってぐらいに呼んでほしいけどね

ま、構わないけど」

玄朗「泥棒猫みたいなもんじゃろうが、人の食糧食べおってからに!」

?「アレ単に余ってただけじゃんか、別に食べても差し支えないでしょ!」


何か言い争いが始まってしまった

と、猫と呼ばれた彼女に見覚えがあることに気が付くが


翔季「えーっと・・・とりあえず落ち着こうか」


怒り出した二人をとりあえずなだめ

猫と呼ばれた彼女の事を聞くことにした


?「とりあえず、翔季君と・・・そこの子と合うのはこれで二回目だよね

私はリューシェ、貴方達を護衛するためにこちらに来ました」


リューシェと名乗る少女は、こちらに向かって一礼した

背格好共に公園で会った少女と同じだった、ただ暗くて顔立ちがわからなかったが

今見てみるとホントに14,5歳ぐらいの少女だって実感できる

白く切りそろえた髪、深く蒼い瞳、成長途上な身体だが、そこからにじみ出てる気は計り知れない感じがする

ただ、今は白いワンピース姿ではなく、指先まで隠してしまいそうなほど袖の長い黒い上着に赤地のスカートとスパッツという、いかにもという風貌だった

だから聞いてみることにした


翔季「護衛・・・ということは君も行くっていう事だよね

でも、そんな恰好で向かうつもりなのかい?

良くわからないけど未知である以上危険なことに変わりはないんだろう?

だったら」


と、そこでセリフが切られた


リューシェ「じゃ、重武装でもしていく?

それじゃあ、あっちでは余計に命取りだよ、動けなきゃ意味ないもの

それと、ちゃんと名前で呼んでよね? ちゃん付けならなおいいけどね」


だが、それを遮るように翔季の隣の少女が言葉を続ける


秋穂「では、リューシェさん、あなたの力についてですが・・・

どこまで本気なのですか?」

翔季「力・・・?

一体何かあるって言うのかい? こんな女の子が」


すると少し悩んだように言葉を告いだ


リューシェ「うーん・・・まぁ、氷を扱うという事実はほんとだけど・・・

それ以外はあっちについてからでいいんじゃないかな?

私は貴方たちの敵になるつもりはないんだし」


と、笑った口調で言った

確かに、人数は多いに越したことはない分はあるけど

まだ・・・


リューシェ「信用無いな~

ま、仕方ないか・・・いきなり出てきて訳わからない事言う人信じろっていう方がムリだよね

いいけどね、今は信頼されてなくても・・・私は行けるから」


そっぽを向く彼女、でもその背に暗い印象がある

明るい彼女らしくない雰囲気・・・まだあって間もないが、それに違和感に近いものを感じた


翔季「(このままじゃだめだ)

僕は・・・信頼するよ、君の事、リューシェさんの事」

秋穂「ちょっ、翔季さん!

良いんですか!? そんな簡単に言って」

翔季「いいよ、それに秋穂さんも僕のために色々してくれたじゃないですか

なら、初対面の相手でも、普通に接したいんだ・・・僕は

・・・ダメかな」


秋穂がリューシェと翔季を交互に見る

そして、呆れたように告いだ


秋穂「はぁ~、まぁ、止めてもダメってわかってたけどね

全く、翔季さんはお人よしすぎるのが問題だと思います

そんなんじゃ―」

翔季「ま、まぁまぁ、そんな言わなくても

大丈夫、僕や君が異端と呼ばれた・・・ということは、これ以上に成長できる

そう思うと、ちょっとワクワクするよね」

リューシェ「それでこそだよね!」


一瞬で振り返り、一気にこっちに笑顔で近寄るリューシェ

それに対して呆れている秋穂に対して、翔季は至って笑顔で振舞う

が、それとともに不安を漏らす、小声で


翔季「ただ・・・それが一番怖いところだけどね」

秋穂「不安ですよね・・・自分の力が危険だったらって思うと・・・

正直、普通に生きていけなかったのかって・・・そう思います」


翔季の小声が聞こえたのかどうかは分からないが、言葉を続ける秋穂

だが悩んでいる時間ほど、無駄であった


玄朗「ふぬ、じゃが、ついてから考えればよかろう?

なるようになるじゃ、ほれ、とっとと行った行った」

翔季「お爺さん・・・?」

玄朗「お主に教えた技・・・忘れるでないぞ

あと、ほれ」


と、玄朗爺が床から何かをつまんで翔季に渡す


翔季「って、僕の拾ってきた猫じゃないですか!

預けるからって言ったはずなのになんで・・・」

玄朗「それはの・・・まぁ、連れて行けばわかるじゃろ

さぁ行け、老いぼれの出番は此処までじゃ

まぁ、土産には期待するかの」


そういい、奥の方に行く爺を見つめ、不思議がったが

今更考えても始まらない

もう行くと決めた以上、後には引き返せない

引き返させてはくれないんだ

なら、この二人と一緒に・・・


翔季「・・・さて、じゃ、明日に備えて休むかな」


二人に呆れられたけど、僕はそれでもいいと思う

気軽に行ければそれで、それが僕という人間だから

明日は幻想郷、そんなことを悩んでも始まらない

だから僕は明るく行って元気に帰ってこれるように頑張るだけ

帰れる保証なんてないけど、この二人といると、不思議と出来そうな気がする

希望にあふれた幻想郷、だけど絶望とも隣り合わせでもある

そんな世界で生きていく・・・でも今は不安より期待が高まっていた


秋穂「翔季さん」


秋穂が話しかけてくる

様、というのは様式の間柄で、普通はさん付けでよんでくれるようだ


翔季「大丈夫、心配しなくても何とかなるって」

秋穂「いえ、猫とリューシェさんが野に駈け出して行ってしまって

収集つかなくなってしまいまして・・・」


だい・・・じょうぶ?


リューシェ「あー! やったなこいつー!」 「フシャー」

翔季「ちょっ、二人とも止まれー!」

秋穂「不安です・・・大丈夫なんでしょうかこのチーム・・・」


やっぱり不安の様です

だけど、悪い方の不安ではなくなった、それだけでも成果は十分あった


物語は、やっと動き始めるようだ

長くなるであろう物語の始まりは・・・少々質素だけど

でも、充実したところからでも・・・良いではないだろうか

数多のものを飲み込んだ神隠し、それに立ち向かうかのようでも構わない

今はただ、この胸の鼓動を感じて生きていく

向こうで交わるであろう人々に思いを馳せながら

決して楽ではない道のりがこれから始まる


リューシェ「えーい、凍らせてやるー!」

翔季「だからやめろー!」



・・・はじまるったら始まる・・・たぶん



次回、やっと幻想郷に入れます・・・少し長かったなと思いつつも

まぁ、まだ時間はかかりそうですが、なにとぞよろしくお願いします


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