幻想前の準備
・・・はい、タイトルのまんまの章です
今回はあまり進展なしです・・・次回から一週間丸々飛ばして書いていきたいとは思いますが・・・如何せん幻想入りに入っていない気しかしない・・・では
今朝方から妻は帰ってきていない
凪はいろいろ考えつつも自分の実家であり通い詰めた道場へと足を運んでいた
時刻は午後七時になろうとしていたところだ
今は黄色い半そでにジーパンというラフなスタイルで山を駆け上っている
今日は仕事を早上がりして、すぐ家に帰り着替えて自転車を少し走らせ今は山道をかけている最中だ
そんな中、リュックから猫が顔を出している
凪の動きに全く動じておらず、まるで楽しんでいるかのようだ
凪「あと少しで着くな
あとは、この階段を登れば・・・見えた」
目の前にはいかにも古そうな道場が立っているが、いまだ使われている形跡があり
まだ辺りはそれなり綺麗だ
電気もまだついており、どこか農村を思わせる出で立ちもある
そんな所、家の中からは気配も全く感じない、まるで誰もいないような静けさがある
凪「こういう時は何かある、という通例はあるけど・・・
そういえばこの時間は座禅を組んでたっけ?」
そのままの状態で、警戒することなく門をくぐる
呆気ないほど何もなくそのまま道場の中へ入る凪と猫
そこには少女と老人が隣り合って座禅を組んでいた
少女は巫女服という出で立ち、対する爺さんは何とも言えない格好をしていた
シャツに甚平を羽織り、縞のズボンはいていて、その辺の爺さんという格好だった
凪「・・・・・・」
凪は黙り込み、そのまま横に座り、少し座禅を組む
こういう時は平静を保って、物音を立てない方がいい
そうやっていつも育ってきた・・・一種の断食状態だ
とは言っても、少し我慢するだけで
爺「さて、飯にするかの」
凪「・・・お爺・・・相変わらずですね」
爺「お主は固すぎるんじゃよ、少しは気を抜いて帰ってきたらどうじゃ?
のう、翔季?」
目の前で立ち腕組みする爺さん、そしてその隣では少女がご飯の支度をしていた
凪「お久しぶりです、師匠」
爺「そうじゃな・・・とはいえ其処まででもないじゃろ?
ところでどうした? 嫁に怒られて帰ってきたか? それともいじめにでもあったか?」
凪「違いますよ、というよりいじめられたという記憶なんて師匠以外にないですよ」
爺「カッカッカ、それもそうか!
じゃ、なんのようじゃ、改まって」
凪「それは―」
?「私が呼びました、玄朗爺様」
と、ふすまが開き、先ほどの少女が入ってきた
凪「(そういえば、彼女どこかで見た覚えがあるような・・・
どっかであったっけ?」
少し物思いに耽っていると少女が口を開いた
?「久しぶりですね、翔季様
陽菜架多秋穂です・・・覚えていますか?」
巫女服の少女が伺うように首を傾げこちらを伺う
・・・陽菜架多・・・どこかで聞いたような
秋穂「ほら、小学のころ一緒に遊んだじゃないですか
確かに少しは年の差はありましたがそれでも中学くらいまでは一緒に居てくれたじゃないですか?」
凪「えーっと・・・たしか僕の一つ下の・・・だったっけ
・・・だめだ、うまく思い出せない、ごめん」
秋穂「あ、いえいいんです、そんな無理に思い出していただかなくても
・・・そうですよね、中学の時までといっても、長くはありませんでしたもんね
大丈夫ですよ、順に思い出してもらえばそれで充分です」
少女は残念そうな顔をするがすぐに笑顔になって呼びかけてくる
秋穂「さ、晩御飯にしましょう
話すことも多いですからね」
ほら、こっちです と合図され、いつも通りの居間に移る
居間に移り、ご飯を食べる僕たち、相変わらずの和食ではあるものの味がしっかりしていておいしいのもまた良い
そして、食べ終わり片づけをし終わったあたりで話を繰り出された
秋穂「さて、では・・・どこから話していきましょうかね・・・
まず、神隠しについてですかね・・・知ってますよね?」
問うようにこちらに語りかけてくる
ちなみに今叔父は仏の前で何かしている・・・何をしてるのだか
ひとまず問いには答えよう
凪「知っている・・・といえばまぁ、ニュースで最近よく見ますからね
とはいえ、ほんとかどうかと言われると結構怪しいと思うんですけど
実際有ったんですか?」
秋穂「・・・有りましたよ
そして、それは私たちにも起こりそうです」
凪「え、それは・・・どういう」
彼女の言ったことの意図が理解できない
それはまるで未来予知しているような言い方だったから
秋穂「順を追って説明していきましょうか、まず、妖怪って信じてますか?」
凪「(知っているではなく、信じているか・・・か)
分かるけど、でも現存はしないんじゃないかな、幽霊というのがあってもさすがに化け物じみたのはいないと思う」
秋穂「つまり信じないと?」
凪「そうじゃないけど、唐突で少しね・・・
君らしくない気がして、確かに御子としては、そういうのが見えるっていうのがあるらしいけど・・・
でも僕は現実を信じているからね・・・とはいえ僕の家系は武闘の家系・・・君たち御子の家系とは流派も何も違うわけだし
これだと言って信じようにも・・・何もなしに信じようにも僕にはちょっと・・・」
秋穂「そうですか・・・ですが、もう遅かったんでしょうね
あの人に、八雲紫に目を付けられてしまった以上逃げることはできないですから」
凪「八雲・・・?
その人が何で?」
秋穂「そうですね、私たちの家系、「陽菜架多」家と妖怪との関わり・・・わかりますよね」
凪は、分かってるかのように問い返す、自分の知る現実の知識の中で
凪「代々、妖から人々を守る御子の家系の一つだよね
でも、それは昔の話で今は神社の守じゃなかったっけ?」
秋穂「それは表向きです、確かに神社の行事を怠るような事は致しませんが
それとは別に除霊や妖怪退治なども行っています・・・とはいえ、妖怪と言える存在は現世においていませんけどね」
凪「じゃぁ、なんで君がそんな話を?」
秋穂「それは―」
そこまで話し合ったところで、伯父から呼び止められた
爺「話し合うのはそれぐらいでええじゃろ?
後は来てからでもなんでも話し合えばよいのではないか?
現に、あと一週間もないぐらいで来るのであろう?」
先ほどまで仏の間で何かをしていた叔父が入り込んできた
―・・・一週間後? 何が・・・
爺「まぁ、それはええ、翔季、今晩は泊まるんじゃろう?
なら早く支度を整えた方がええじゃろう?
それに、丁度GWじゃし、帰省にもいい頃合いじゃ
恐らくその八雲という者もそれを分かった上でこちらに準備期間を設けたんじゃろうし
何より・・・翔季、最近腕前鈍っておらんか?」
凪「え~っと・・・確かにそうなんですけど
状況が呑み込めないんですけど・・・つまり、一週間後にどこかに行くっていう事でいいんですか?」
翔季がポカンとした表情で秋穂に問う、と秋穂は
秋穂「そうですね、私もまだ鍛錬をしなければ成らない身ですので、この一週間は本当に丁度いい期間です。
荷の準備期間といい、あの猫娘には一応感謝をしておくべきですね
・・・と、翔季様もしっかりお支度なさってくださいね
熊とかに襲われてもいい様に・・・ですね」
―熊・・・? 何かの冗談・・・かな
などと、まだ混乱はあるものの、稽古と準備の期間があるらしく一先ずは此処で何かとすることになった
凪「まぁ、なるようになりますかね・・・
一先ず妻には連絡を置いておかないと・・・何かと心配性だからね」
懐から携帯を取り出しメールを書く
最初は慣れなかったけど、今はだいぶと手慣れたものだ
と、伯父から一言
爺「明日からキツイ修行を用意しておくからな
・・・覚悟をしておくがよい」
と、不気味な笑い声と共に去っていく叔父の姿
それと同時にメールの返信が届いたようだ
凪「あ、来たみたいだね・・・っと
うん、よかった、良いみたいだ」
ほっと安堵の息を吐く、そうして落ち着いた表情で
凪「修行なんていつぶりかな・・・と言っても最近結構やってたからそんなにでもないかな・・・まぁ、爺さんのだからただでは済まないだろうけどね」
と、自嘲気味につぶやき、その場を後にし、床に就くことにした
この時の彼は、まだ何も分からない・・・いや、分かりようもなかった
その現実が過酷だったということに気付いたのは・・・翌日だったという
次回投稿は・・・早くなるかどうかは分かりません、3DS買って遊んでいるのでどうなることか・・・では