第陸章
1週間で2件も死亡報告
するなんて事は異常だった
こんな人数が少ない小学校で
先生や生徒が亡くなったことを
報告したことなど
過去、事例が無い
学校帰りに起こった
事故だったので
全校生徒を集め緊急朝礼が行われた
校長先生から昨日の事故について説明される
大島大介と柏木蓮は多少動揺はしたが
渡辺義男のことは
イジメ仲間という認識であり
友達とか親友とは思っていなかったので
悲しいという感情は無かった
その日も普通に授業をし
前田明の代わりの生徒をイジメ
いつもと変わらない1日を過ごした
次週の火曜日・・・
柏木蓮は学校を休んだ
親戚に不幸があり
父親の運転する自動車で
近県の親戚宅へ向かっていた
柏木は学校を休め
ドライブが出来
料理が食べられるので
葬式は好きだった
運転はハゲの父親
助手席はブスの母親
後部座席はバカの弟と柏木蓮
全員デブなので
車内は湿気で曇り
不快指数200%だった・・・
柏木の車は高速道路を西へと向かう
その日は平日のため
交通量も少なく順調に進んでいた
「おしっこ!」
車内でスナック菓子と
炭酸飲料を飲んでいた
バカの弟が叫ぶ
「仕方ないな、わかった。」
暑くもないのに、汗をかいている
ハゲの父親が答える
バカ弟「漏れちゃうよ!!!」
ハゲの父親はアクセルを踏み速度を上げた
車は通称「魔のカーブ」と
呼ばれる事故が多発している
緩いカーブに差し掛かった
父親はアクセルを全開に踏み込み
更にスピードを上げる
母親は「スピード出し過ぎよ」と言ったが
父親は聞いていなかった。
父親は何かに取り憑かれているかのようだった
そして進行方向とは逆の
方向へ向けてハンドルを切る
車は側壁へと突っ込んで行く!
「キャー!!!」
母親の悲鳴が車内に響き渡る
自動車は側壁に衝突
その衝撃で柏木蓮は
開いていた窓から飛び出し
側壁に頭から激突
シートベルトは装着していたし
窓は閉まっていた、はずだった・・・
柏木蓮は側壁に激突した後
植え込みに落下
側壁には血がベッタリと付いていた
車の中の3人は放心状態で
側壁に付いた流れ落ちる血を
ただ眺めていた
この事故で死んだのは
柏木蓮1人だけ
他の家族は全員無事で
傷1つ負っていなかった
柏木蓮の死因は
衝突により全身を強打したことによる
全身打撲、頭蓋骨骨折、頸椎骨折、左腕骨折
この事故後
柏木蓮の父親は、こう言っている
「自分の意志とは逆に身体が勝手に動いていたんです。
子供の様な声が聞こえて来て、
その声に導かれるように・・・」
父親は蚊の鳴くような小さな声で
ボソボソと話していた・・・