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人生に絶望していたら異世界のデスゲームに巻き込まれました~ヤンデレ悪魔を召還したので、最期まで楽しもうと思います!~  作者: 雨宮 叶月


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影踏む迷宮のプレリュード

大聖堂の床に這いつくばっていたクラスメイトたちが、ファーストの宣言に息を呑んだ。第一ゲーム「アサルト・スクール」の勝者として、私とディーが手にした「すべての願いを叶える」という特権。その余韻に浸る間もなく、非情なシステムの声が響き渡る。


ファーストが楽しげに指を鳴らした。


「想定より早く終わってしまいましたからね。このまま次のメインゲームへ行くのも味気ない。そこで、皆さんの『本質』をより深く知るためのエキシビションを用意しました!」


ファーストの背後の空間が歪み、巨大なホログラムの時計と、見慣れぬルールが浮かび上がる。


『第1.5ゲーム:影踏む迷宮のプレリュード

制限時間: 24時間(1日)


役割:

逃走者ハイド】:出席番号が奇数の人

追跡者シーカー】:出席番号が偶数の人


勝利条件:

逃走者:24時間生き残る、または追跡者を全滅させる。

追跡者:逃走者を全滅させる。


特別ルール:


連鎖の呪い:パートナーのうち一方が死亡した場合、生存しているもう一方は1時間後に自動的に死亡(消滅)する。


追跡者の武装:追跡専用銃を支給。


「……私たち、追いかけられる側みたい」


思わず笑みがこぼれた。さっきまで私たちを憎しみや困惑の目で見つめていたクラスメイトたちの顔に、じわじわと「希望」が灯るのが分かったからだ。自分を殺したあの 二人さえ殺せば、あるいはどちらか一人さえ仕留めれば、そんな浅ましい期待。


「伊澄、顔が怖いよ」


ディーが私の髪をくるくると触る。彼の微笑みは相変わらず穏やかで、けれどその奥には鋭い刃のような冷徹さがあった。


「ねえ、伊澄。パートナーが死んだら1時間後に後を追うんだって。心中みたいで素敵じゃない?」

「そうだね。でも物騒なこと言わないで」


ファーストが華やかに手を広げた。

「では、ルール説明は以上です!追跡者の皆さんには、特製の銃を差し上げましょう。弾数は無限。ただし、威力は『アサルト・スクール』のものより強化されています。かすっただけでも致命傷になり得ますよ。あ、それから、逃走者の位置は、残り十分で追跡者に通知されます」


ただのかくれんぼじゃない。一方的な狩りだ。

胸の鼓動が速くなる。注目される快感、そして強者として追われる高揚感。クラスメイトを仕留めたあの感覚が、指先に残っている。


「さあ、転移の時間です。舞台は、光と影が交差する学校。先ほどとはまた少し変わった造りになっています。それでは皆さん、良い絶望を!」


ファーストが指を弾くと、大聖堂の白い床が突如として底が抜けたかのように消失した。


「わっ……!」


重力から解放され、視界が激しく回転する。

隣にいたディーの手を、私は強く握りしめた。彼もまた、私の手を離さないよう、ものすごい力で握り返してくる。


「伊澄、どこへ行っても俺が守るから」


風の音に混じって、彼の低い声が鼓膜に届く。

真っ白な光が視界を埋め尽くし、私たちは新たなステージへと投げ出された。


次に目を開けたとき、そこには崩れかけた学校と、不気味に静まり返ったコンクリートの街並みが広がっていた。空は、血のような夕焼けと夜の闇が混ざり合った、どろりとした色をしている。


「始まったね、ゲーム」


私は冷たいコンクリートの壁に身を寄せた。

遠くで、誰かの叫び声と、複数が走る足音が聞こえ始める。


逃げるだけじゃつまらない。たとえ手ぶらでも、こっちが銃を奪ってやるのはどうだろうか。


「さて、誰から『キル』しようかなあ」


私は、自分でも驚くほど冷酷で、そして輝かしい笑みを浮かべていた。

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