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人生に絶望していたら異世界のデスゲームに巻き込まれました~ヤンデレ悪魔を召還したので、最期まで楽しもうと思います!~  作者: 雨宮 叶月


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気付いちゃった!

「あー、意外と楽しかったかも。それに、森が大変身してるじゃん。私はこっちのほうが好きだけど。」


森が、ディーの氷で大部分が凍らされていた。しかし感じるのは涼しさと、謎の高揚感。


「この氷は俺が溶かそうと思わない限り溶けないからね。」

「それは面白い。」


そこでディーがあっ、と思い出したように声を上げた。


「ついでにこの森に隠れていた人達のことも凍らせといたからキルしておこう。」

「え、ずっと凍らせたままだったってこと?ふふっ…ふふ」


想像するとなんだか笑えてきた。



「ちょうどこの先に……2人と2匹くらいいたような気がする。」

「おぉ……微妙な数……」


私たちは歩き出した。


「あっ……いるいる。…………変な姿勢…。」



……一人ピラティスをしている体勢の男子がいた。



「…なんか撃ちたくないな……ずっとピラティスしてて欲しい。」


ディーが口元を押さえて肩を震わせた。



「…ふっ……ふふ………ふ…じゃあこのままにしておくか。」


ディーが、その隣に凍らせたパートナーを撃った。曇っていて何だったのかは分からない。消えた。



「…あ、生命刻印(タイマーペナルティ―)あるんだった。じゃあ殺しておくか。」


ディーは再度銃を構えた。


ピラティスの姿勢が崩れた。


そして消える。



「えーっと……あとはこっちだったような。」


私もディーについていく。



「あ、ここだ。」


ディーが木の裏にしゃがんでいた女子に気付く。


パートナーも隣にいるようだ。



「ん?…この人、江南さんの取り巻きの子じゃん。」


私はそう言うと、躊躇なく撃った。



「やっぱり銃声には慣れないな…音がそんなに大きくないのが助かるかも、でも驚いちゃう。」

「下の階は結構響くからねー。」



水に濡れた葉を踏みながら歩く。

不思議な光景で、雨のあとの湿った森を想像する。


もっとも、今は氷に葉が閉じ込められているような感じだが。



「階段のほうに戻ろう」


そう言って手を差し出すディーの手を握り、絡めた。





私たちは階段に戻ってきた。



私はぼんやりと下を眺める。



「あー、一気に人が集まる方法はないかなぁ……」

「んー、難しいねぇ」


ディーが私のほうを見ながら、手すりにのせている腕に顔をうずめた。




「やっぱり放送…放送か……私たちが怪我をしない…たくさんキルする…5階…見下ろす…」


ひとりごとを呟いて思考を整理する。



「………あ。」


一つの方法に、辿り着いた。


「……ふふっ、気付いちゃった。」

「あ、気付いた?」



私は階段から離れて、壁に背を預ける。おっと、銃が壁にぶつかった。



「……まず、私が放送でみんなを5階に寄せ付ける。みんなが階段を上がってくるから、それを私たちで撃つ。どう?私天才かも。」

「天才。」


ディーが口角を上げた。


「…放送の内容は?内容次第では寄ってこないかもしれないけど。」

「へへっ、任せて。今から放送してくるから、よく聞いててね?」


噛んだら嫌だな…。



「分かった。気を付けてね?」


ディーがひらひらと手を振る。


「うん。」


私も軽く手を振り返すと、3階まで階段を降りて行った。



(…よし、人はいない。)


足音を立てずに、素早く直線の廊下を走る。


そして、姿勢を低くして2年生の教室に入った。



目当ては、黒板の横にある、先生たちが連絡を取り合うための電話機…みたいなもの。これで放送ができるはず。



「えっと…放送は2081…2、0、8、1っと。」


数字を押して、決定ボタンに指を近付ける。



ピンポンパンポーン




「わっ、えっ?放送かかるの早っ!」




少し慌ててしまった。気持ちを落ち着かせよう。

ディーの笑いを堪えている、でも愛しいものを見る目を思い出した。



受話器…のようなものを口に近付け、息を大きく吸う。




「放送します。今から、皆さんが日本に帰れるかもしれない方法を提示します。戦闘をやめて、静かに聞いてください。」



…意外と良い始まり方ではないだろうか。


銃声が聞こえなくなった。



私は再度息を吸う。



「先ほど、5階でファーストさんが説明をしていました。今から20分以内に、5階の奥にあるゲートを通ったら日本に帰ることができる、と。そこに銃を3発撃つと、日本に転移します。

生命刻印(タイマーペナルティ―)が出ている人も、そうでない人も、5階に来たら安全です!痛みなく帰ることができます!」



私は必死に笑いを堪えた。そして、高らかに言う。



「……ただし、先着20名まで!」



……これが、一番の爆弾だ。



「お急ぎくださいね!現在数名がゲートを通り終えています!……これで放送を終わります。」




私はそっと受話器をもとの位置に戻した。



…そして次の瞬間、そっと置いたとは思えないほど必死に走った。



5階まで。


(…間に合え!)



2段飛ばしで階段を駆け上がる。少し息が切れてきた。



(……着いた!)


現在、5階。


ディーは目を閉じていた。しかし私の気配に気付くと、口元を緩めた。



「ディー」


私はディーの名前を呼ぶ。



「伊澄、最高だった…。放送、良かった。すごく面白い予感がする。」

「えへ、でしょ?」


私たちは少し後ろに下がった。壁が仕切りになって、移動しようと思えばすぐに隠れることができる。


…そして、銃口を階段に向ける。

バタバタと足音が聞こえた。



私は体から力を抜く。



「……ここからが、本当のデスゲームの始まりだ。」











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