表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

学園

何も言うことない。それでは本編をどうぞ。

教室に入ると、各々会話していた。リリィは既に打ち解けているようだった。だが、よくよく考えると、俺は前世でも友人なんてものは居なかったため、作り方すら知らない。だから、一人でポツンと席へ座る。前世でいう大学に近い場所だな。扉がノックされ、教諭らしき人物が入ってくる。

「お前ら、静粛に。私はこのクラスを担当する、カルマ=ブレインという。カルマ教諭とでも呼んでくれ。今日は、魔術の基本体系や種類について解説する。」

授業が始まる。昨日は徹夜して本を読み漁ったため、大方この世界については理解した。殆ど全て頭に入れておいたからな。

「…という具合だ。後は種類だが…」

教諭の言葉は聞き流す。分かっているからな。全ての授業が終わり、寮へ行く。お風呂にも入り、夕飯を済ませる。ふとノックが聞こえた。扉へ向かい、開けると、リリィが居た。

「リリィ…?もう9時だから門限的に…いや話したいことでもあるのか?」

「うん。」

バレないようにリリィを招き入れる。

「紅茶でいいか?」

「うん、いいよ。ありがと。」

紅茶が入ったティーカップを二つ机に置き、向かい合って座る。

「で、どうしたんだ?」

「えっとね…、今日の授業、暇そうじゃなかった?」

「あぁ、昨日徹夜で本を読み漁ったからな。大体分かるんだよ。」

「すごいわね…。」

「まぁな。で、本題は?それだけじゃないんだろ?」

リリィは驚いたように目を見開き、紅茶を啜る。

「流石ね。ねぇ、あなた、術力が無いんじゃないの?」

術力とは空気中に存在するマナ、所謂魔術の元となるものを操る力のことを指す。

「…どうしてそう思う?」

勿論俺にはない。だが、リリィは何故気づいたのだろうか。

「あのさ、固有魔術って知ってる?」

「あぁ、確か才能ね恵まれた強者しか持つことのできない、属性外の概念の魔術のことだろう?まさか…。」

「そう、私も持ってるの、固有魔術。越俎之罪っていうんだけどね。」

「成程、意味通りに捉えるならば、他人に干渉する魔術か。」

「少し違うかな。この魔術は無生命物体にしか使えないの。」

「成程、それで?」

「あなたに一切のマナが反応しなかった。」

沈黙する。

「ふむ。マナは無生命物体だからな。」

お手上げと言ったように両手を挙げる。

「それ以上は勘弁してくれ。分かった、それは認めよう。」

もうリリィは信用できる。何故ならこの事実を知っても尚、誰にも言わなかったからだ。

「なら、あの実技試験での魔術は何なの?」

魔術は本来特定の属性のマナを操作して、発するものだ。マナが操れないならば、魔術は使えない。

「あれは実は魔術ではない。今まで隠していて悪かった。」

誠実に向き合う。これが大切だ。本来誰にも知られずに過ごすつもりだった。前世のような存在になるつもりはなかった。だが、これも天命だろう。

「ただ、このことを知りたいなら一つ約束して欲しい。誰にも口外しないでくれ。」

「…分かったわ。」

「俺は…そうだな。転生した身なんだよ。」

「え?」

「要は別世界から来たんだ。だから、魔術ではないものを使う。」

「あ、あの…それって本気で言ってる?」

「信じられないか?」

「まだ…う~ん…。」

「因みに実技で出したのは本気の1割にも満たない。」

驚いたように目を見開く。

「俺は元々召喚術師なんだよ。」

「つまり…モンスターとかを召喚するってこと?」

「ああ。まぁこの世界のモンスターよりかは数倍は強いが。ま、そういうことだ。理解できたか?」

「うん…。ごめんね、なんか無理押して聞いちゃって。」

「良いさ、どうせリリィには話すつもりでいた。」

これは嘘だが仕方ない。嘘も方便だ。

「よかった…。あの…これからも友人としてよろしくね。」

「あぁこちらこそ。」

リリィが帰っていく。俺は溜息を吐く。

「ふぅ、まあ仕方ないな。」

翌朝、学校に行き、いつも通りの席にただ一人で座った。相変わらずリリィは友人と話している。教諭が入ってきた。

「よし、今日は実技試験だ。来い。」

全員でぞろぞろと着いていく。

「この森を抜けて、逆側へ行け。私は別ルートで行き、待っている。モンスターも居るから精々がんばれ。それと、森に入るとき、必ず一人、あるいはペアを組め。それでは健闘を祈る。それと制限時間は今日の講義が終わるまで、つまり7時間だ。」

そう言って去っていく。俺は一人で森に行こうとするが、途中で呼び止められる。

「ねぇ。一緒に行こ?」

「あぁ、いいぞ。」

見ると、リリィだった。女子の友達も多いだろうに、何故そこまでして俺に近づくのは不明だが、一応幼馴染ということらしいし、拒否する理由もない。そのまま二人で森の中を進んでいく。突如そこにはモンスターが現れた。

「え、ナーガ⁉」

「ん?こいつ、そんなに強いのか?」

気になって聞いてみる。

「強いも何も一応モンスターではとても強いわ。」

「そうか。そうだな、今生でまだ召喚術を使っていなかったし、試してみるか。」

「え?」

「<召喚>プロトデーモン」

魔法陣が形成され、銀色の翼を持った悪魔が現れる。

「さて、プロトデーモンよ。やれ。」

その一言でその悪魔は飛び立ち、次の瞬間にはナーガの背後に居た。拳に魔法を込めて殴る。たかが物理攻撃、されど物理攻撃。それだけで、ナーガは彼方へと飛んで行った。

「ま、こんなものか。<戻れ>。」

魔力を込めて言う。プロトデーモンは地に潜り、消えていく。

「え、ええええ!!!!????」

「ど、どうした?」

叫ぶリリィを見て、こっちが驚く。

「え、えっと、え?ナーガを瞬殺できるの?レオンの召喚獣ってどんだけ強いの?」

「そうだな、プロトデーモンは強さでは中の上くらいだぞ。」

「強すぎじゃない?」

「そうか?どれも俺より弱いが。」

「…もう、言葉もでないわ。」

その後もモンスターを狩っていく。

「そろそろいいかな。もう召喚獣も結構試したし。アレより強い奴らはそうそう使わないだろうしな。」

「ん?なんかするの?」

「手、握って。」

「え?えっと…こう?」

握手するように手を握り合う。

「情報反転」

位置が変わり、そこは森の出口付近だった。

「え、え?」

「出口付近の虫と位置情報を入れ替えただけだ。それじゃ、行くよ。」

そして無事俺たちは僅か3時間でクリアしたのだった。

次回から、登場キャラが増えます。心してください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ