1-2 謁見
皆様、おはようございます。
金曜日の朝3:00、予定通りの更新でございます。
前回はミコが主様への恐怖を抱きながらも、側仕えという重責を受け入れるまでを描きました。
今回は前任者の処刑という恐ろしい話と、いよいよ謁見の場での緊張が高まってまいります。
ミコの純粋な心境と、宮廷の厳格な雰囲気をお楽しみください。
その方は、目の前で見ていたそうでございます。主様は普段、大きな太刀のような武器を鞘には収めず傍らに置いているそうでございますが、処刑の瞬間、目にも止まらぬ早さで、その方を一刀両断されたとか。
主様の不思議な力はすごいと聞いておりましたが、それとは全く違うものでございました。
更に、処刑されたその女性は、主様の足先に触れる時「失礼します」と言っただけのようでございます。主様は普段、粗相や失敗などには全く怒りもせず、そんなことを気にしない方なのに、一体何にお怒りになったのか、想像すらできません。
失敗をほとんどしない方でも処刑されてしまうのに、わたしに何ができるのでしょうか。
身体検査が始まりました。危険なものはないか、魔力はどの程度か。隅々まで調べられ、謁見の場へと案内されました。
わたしは巫女でございますが、魔力など不思議な力はなく、拝殿で神に平和と五穀豊穣を祈るだけの存在でございました。主様に危害を加えるなど考えたこともございません。ですが、過去にそういったことが幾度となくあったようで、今では謁見の場に入れるのは極わずかな人だけのようでございます。
謁見の場はとても広く、正面に大きな椅子がございます。まだ主様は座っておられないようでございますが、前を向いてはいけないため、下を向いて歩かなければなりません。そのため、はっきりとは分かりません。。。
下を向いたまま前に進むと、近衛兵と思われる方達の剣を抜く音が聞こえます。わたしが何かしようとしたら即座に斬るのでございましょうか?
わたしは何をするつもりもございませんが、背中に冷たいものが流れるのが明確に分かります。
屈辱はありません。ただ、恐怖感が凄まじいのです。心臓の鼓動が激しく、息遣いも乱れそうになります。
**第1章1-2 完**
謁見の場での緊張感、いかがでしたでしょうか。
ミコの恐怖が伝わってきたでしょうか。剣を抜く音、背中に流れる冷たいもの......読んでいる皆様にも、その場の空気を感じていただけたなら幸いです。
次回はいよいよ主様のご登場となります。
6/24火曜日の朝3:00、次回もお楽しみに。
それでは、良い週末をお過ごしください。