5-3
いつも『華奢なる王と奉仕のミコ』をお読みいただき、ありがとうございます!
前回、食器を割ってしまったミコ。ついに主様への報告の時が来ました。
気を取り直し、わたしは夕飯のためのおしぼりを作ります。
不思議な機械のようなもので、おしぼりを温めます。それをお皿の上に乗せると何故か冷めないそうです。この機械を見るたびに、主様の不思議な力を感じずにはいられません。
主様は暖かいおしぼりがお好みで、主様曰く「気合いで作った」のだそう。
こんな不思議な力がある主様は、一体どれほどすごい方なのでしょうか、、、わたしのような者には、想像もつきません。
そして、夕飯直前。おしぼりをお持ちするため長い廊下を歩いて、主様の自室の前に到着しました。
おしぼりは持ってきましたが、、、ドアを叩けません。逃げたいです。食器を割ってしまったことを報告しなければならないのに、足がすくんでしまいます。
そしたら、ギギっとドアが開きました。
「何をしてる?さっさと入らんか。」
まさかの主様!?どうして、わたしがここにいることがわかったのでしょうか、、、
その場でおしぼりそっちのけで、土下座し謝罪をするべく、自分でも信じられない声で
「も、、、、申し訳ありません!!!片付けを指示され!!!持って廊下を歩いてる時!!!食器を落としてしまい、、、、その、、、あの、、、落としてしまい、、、ひ、、、ヒグッウグッ」
「割って落とした?」
「ひゃ、、、、ひゃい!!!」
「お前はいつでも怯えてるのか?ハハハ」
「で、、、ですが!!!」
「お前殺されなくてよかったな。」
「、、、え?」頭の中が大混乱です。殺される、、、やはりそんなに重大なことだったのでしょうか、、、
「お前それも大事かもしれんが、おしぼりセット投げるなよ。ははははは!」
「ま、入れ。」
自室で必ず食事をとる主様は、特に咎めもせず中に招き入れるのでした。
「はぁっはぁっ、、、」
「なんだ息を切らして。ミコ走っては来てないだろ?」
「、、、え?そういえば、、、主様は、歩いてる音も???」
「あぁ。そうだよ聞こえる。」
「、、、、。」わたし、は言葉になりませんでした
「だから入ってくる瞬間を普通に気がついてただろ?」
「そういえば、、、。」
「なんなら、お前ここに来るかどうか迷ってただろ?アハハハ、歩き方ひとつで、お前の機微は分かってしまうんだよ。逃げ出したら、そうだな。とりあえず罰として、、、まぁ、何か考えたところかなー。アハハハ!」
主様の洞察力は、わたしには理解できないほど鋭いのですね、、、
「は、、、はい!?申し訳ございませんでした!!」
再び土下座し謝罪を、めいいっぱいの声を出して、願い届いて!としか思ってませんでした。
「いや、お前オレの前でおしぼり投げる方が罪が重いと思うけど?」
「ハッ!?」冷や汗が首筋を伝います。
「いやお前今気がついたのか?アハハハ!普通そっちの方が罪重くないか?ククク、、、あはははは!」
お読みいただき、ありがとうございました!
ついに主様への報告の時!でも主様は既にミコがそこにいることをご存知で...さすがの洞察力です。
次回は8/12(火)午前3時です