表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

恂哀

作者: 焼畑 大豆

ジュンアイ

中村 創太郎は18時ごろ教室に忘れ物を取りに足を運んでいた。教室に着くと、田山先生とクラスの人気者であり、中村の幼馴染みの木原 咲楽さんの喋り声とそれをかき消すような工具の音が聞こえた。

(こんな時間まで文化祭の準備をしているのか?)

教室に入ると、工具を持った木原さんがこっちを振り向くのが目に入った。

木原「あら中村くんじゃないですか。どうしたんですか?こんな時間に。」

中村「わっ忘れ物しちゃって…」

木原「そうですか。災難でしたねぇ。」

話しながら忘れ物を取る。筆箱と参考書だ。

中村「それじゃあまた。」

木原「気をつけて帰ってくださいね。」

田山先生は集中して作業をしているようだった。

次の日

今日は田山先生が遅れてきた。

田山先生「…済まない。遅れた。文化祭の準備中、少し手を怪我してな。病院に行っていたんだ…」

田山先生に覇気が感じられない。何かあったんだろうか。

ホームルーム終了後

中村はもう一人の幼馴染みであり、ヲタク友達の宮川 紗千子と話していた。

中村「今日の先生、なんかおかしいよねぇ?全然うるさくない。」

宮川「それもそうだよ。昨18時半頃…かな?自主室の鍵を返しに職員室に行く途中、先生に会って知ったんだけど、右手中指が根元からなくなってるらしいから。」

中村「それ少しじゃなくない!?」

宮川「まぁね…けど人によるんじゃない?それでも可哀想だよね。」

それから一つの違和感を持ったまま、中村は午前の授業を終えるのだった。

昼休憩、委員の仕事で、宮川と一緒に田山先生のもとに呼び出されていた。

田山「すっ済まない。急に呼び出して。」

先生は何かに怯えているようだった。

中村「いえ、仕事ですから。それより様子がおかしいですよ?どうしたんですか?」

田山「いっいや、いいんだ気にするな。ちょっと痛いだけだから。じっじゃあ俺はあっちに指示出してくるからいつも通りにやってくれ。」

そう行って先生は逃げるようにその場を去っていった。

夕方、靴箱にて一通の手紙を見つけた。白い手紙。中を見てみると、『好き。』と中央に書いてある。おもむろに裏を見ると、『屋上に来て。』と書いてある。中村はこの手紙が誰のものなのか気になり、指示通り屋上へ向かった。

屋上に着くと、見覚えのある影がる。

「今日はタイミングが悪かったよね。ちょっといいのかなって感じだけど今日やらないともうできない気がして。」

そこには、頬を赤らめた宮川の姿があった。

宮川「手紙にも書いちゃったけど、今ちゃんと言うね?」

中村「…ッ」

鼓動が早くなる。身体が熱くなる。

宮川「創太郎、好き…です。」

今にも泣き出しそうな宮川を見つめ、固まる。

(てっきり宮川のことだから悪ふざけでやってるかと思ったが…)

中村「…」

宮川「…これからはパートナーとして…一緒に…いてください…!」

震えていて、でも力強く発せられた声に。答えることは一つ。

中村「もちろん、こんな僕で良ければ。」

と、負けないくらいはっきりと答えた。その言葉を聞いた途端、宮川は安堵なのか、その場にへたり込み、泣いてしまった。

宮川「うぅ…よがっだ〜!中村ぁ〜!ありがとぉ〜!」

中村「大丈夫か!?」

宮川「だって失敗して関係が崩れるかもしれないじざぁ〜!他にもクラスに可愛い子とか優しい子とかいるからさぁ〜!」

中村「そっか。でも俺が話しやすいのは木原とお前だけだし、その、話してて楽しくて一緒に居たいって思えるのはお前だけだからさ。」

宮川「ホント…?」

中村「ここで嘘つく必要ないだろ?」

宮川「えへへ…嬉しい。私は幸せものだなぁ。」

二人がそんな事を話していると、木原がやってきて。

木原「あら、あなた達こんな所に居たんだ。何してたの?」

中村「まぁ色々と…」

中村が言いよどんでいると。

宮川「二人で夕日を眺めてただけだよ。」

木原「…ふーん。まぁいいや。そろそろ戸締まりするから早く帰ってね。あ、宮川さんは用事があるから、後で二階の空き教室に来てね。」

少々高圧的な言葉に、中村は従い帰っていった。

中村は家について、鍵が空いていることに気がついた。

(うわぁー!やっちまったなぁ…何もなければいいけど。)

ドアを開け、家の中を見て回る。特に荒らされた形跡もないようだ。

中村「良かった〜。まぁ特にお金になるようなものもないし、盗まれても買い直せばいいしな。」

中村は課題を済ませ眠りについた。

次の日

中村は登校中にとある一人の女生徒に声をかけられていた。

???「中村くんってさ、彼女とかいたりするの?」

中村「えっと、あの…」

???「かっこいいしやっぱいるのかなぁ?」

中村「どなたですか?」

中村は見覚えのない女生徒に名前を聞いた。

小林「えっ…同じクラスなんだけど…まぁいいや。私の名前はこばやし よりこ、小さい林に、従う子で小林 従子。」

中村「あーあのいつもさわ…活発な。同じクラスなのに、覚えてなくてごめんなさい。で、何のようでしたっけ。」

小林「だーかーらー!好きな人とか彼女とかいるのって聞いてるの!」

中村「うーん…今のところ答えるつもりはありません。いつかまた聞いてくれたら言うかも。」

中村は宮川の性格なども踏まえて何も答えず、逃げたい気持ちもあって走って進んでしまった。

「いるくせに。」

教室について、中村は宮川と話していた。

宮川「昨日はごめんね。委員の仕事急に頼まれちゃって…」

中村「いいよ。忙しいときは誰にでもあるもんな。」

宮川「ありがとう!中村は優しいなぁ。でも他の誰にもそんなに優しくしちゃだめだよ。」

中村は少し低い声を珍しがりながら続きを聞いた。

宮川「中村のことが好きだけど先客がいて彼女になれない悲しいモンスターが量産されちゃうよ」

そこに木原も来て話に加わった。

木原「ふたりともおはよう。」

中村&宮川「おはよう。」

木原「そういえばさっき中村くんは誰と話していたの?」

中村「さっき?」

木原「えぇ、通学路で走り始める前。話してたでしょ?今日は眼鏡が壊れていてないからちょっと後ろにいた中村くんしか見えなくて。」

中村「あぁその時のはえっとてん小林さん…だったはず。」

宮川「…」

木原「なんて内容?」

中村「彼女はいるのか?みたいな内容だった。」

宮川「なんて答えたの?」

中村は小林や小林の友達がいないことを確認して言った。

中村「答えないって言った。いるってバレてもめんどくさいしね。」

木原「いるの!?」

中村「シッー!大きい大きい。」

宮川「もー!中村なんで言うの!咲楽ちゃん以外に聞かれたらどうするの!」

中村「あっごめん!けど宮川が言わなきゃバレなかったよ?」

木原「あっ二人だったんですか。」

中村&宮川「うん。」

宮川「私ちょっと席外すね。」

木原「いつの間に付き合ったんですか?」

中村「…昨日。」

木原「あーあのときの。なるほど。でも意外だね。あんまり変わりないから。」

中村「うん。」

木原「じゃあそろそろ戻るね。荷物とか片付けないと。」

中村「わかった。」

しばらくして宮川が帰ってきた。

中村「どうしたの!?ビショビショじゃん!」

宮川「うん。ちょっと蛇口の水がはねちゃって。」

それからまたしばらくしてホームルームが始まり授業が始まった。

今日から小林は学校を休んだ。

帰り道

中村の家の近く。

宮川「やっぱ文化祭一緒に回りたいよね。」

中村「うん。でも出し物の仕事で回りにくいかもね。」

宮川「そうだよね。」

中村「うん。でも少しでも回ろう。じゃあ家についたし。またね。あっそうだ、明日か明後日遊びに行かない?」

宮川「うーん…予定見てみる。また後でメール送るね。じゃあまたね。」

それから中村はすぐに色々済ませ眠った。明日は休日ということで、宮川とデートの約束をして。

次の日

中村「おはよう宮川。」

宮川「おはよう。今日はよろしくね。」


それから二人は色々なところを回り遊んだ。夜遅くまで遊んだ。

宮川「今日は楽しかったね。」

中村「うん。今日はいいことに気づけたよ。」

宮川「なに?」

中村「あまり念入りに準備してもうまくいかないってことだよ。」

それからしばらくベンチで休んだ二人は帰ることにした。

宮川「じゃあ私そろそろ帰るね。」

中村「うん。送ろうか?」

宮川「いいよ。あなたも一日疲れたでしょ?」

中村「うん、わかった。じゃあね。」

中村は宮川を見送り帰路についた。そこへ一人の人物がやってきた。

田山「中村くん!」

中村「どうしたんですか先生?」

田山「この近くにお前の彼女さんはいないのか?」

中村「今帰りましたよ?どうしたんですか?」

田山「急いで帰りたまえ。時間がどうとかじゃないんだ。あと今まで悪かった。嫌みのような注意をしてしまった。私にも原因がある。許してくれ。私はこれで失礼するよ。」

中村「どういうことだ…?まぁ先生に従ってみるかな?」

宮川はひとり帰っていた。

宮川「あぁ〜!緊張したけど楽しかったぁ〜!ほんとに私は幸せだなぁ。」

すると前方から誰かが来た。

宮川「あれ?咲楽ちゃんじゃん!こんばんは。」

木原「こんばんは。どうしたんですか?こんな時間に。」

宮川「中村くんとちょっとお出かけをしてたんだ。その帰りだよ。」

木原「ちょっと家で温かいスープでも飲んでいかないかしら。試しに飲んでほしくて。」

田山は恐怖していた。放置すればいいものをつついてしまったから。

田山「それでも私の生徒のためだ。」

(しかし今いるこの通りは通り魔も多いしヤツの家がある。)

そんな事を考えていると後ろから何かが刺さった音がした。

(年老いた体では自分が刺されたことにも気づきにくいのか。中村くんだけでも助かってくれ。)

そうして倒れた。

そうして中村は帰り始めたが家に着く直前、頭に衝撃が走った。


目が覚めると中村は見知らぬ所にいた。そこは薄暗く見渡す限りなにもない。特に目につくのは映画でよく見る拷問道具と鉄格子だけである。

中村「ここはどこなんだ?」

動こうとしても動けない。椅子に固定されて足は鎖に繋がれている。すると木原が降りて来て。

木原「お目覚めですか?創太郎くん。気分はどう?」

中村「木原さん!何が目的なんだ!」

木原はしばらく考え口を開けた。

木原「最初はここまでする気はなかったけど、ねぇ〜?」

(さっぱり意味がわからない。)

そう考えていると。

木原「それより、お腹すいたでしょう?特製のおかゆを作ってきたわ。食べる?」

中村「今、こんな状況で食べられるわけがないだろ!そんな事はいい!何でもする!ここから出してくれ!」

悲痛な叫びがこだまし、消えていく。木原は怒ったような顔で、言った。

木原「あなた、本当に何もわかってないのね。あまりしたくないけど教育しなきゃね。」

そう言うと木原は、拷問道具の中から鞭のようなものを取り出した。

木原「あなたが正しい答えを出すまで私はこれであなたを打つわ。私もしたくないけど…でも頑張ったらご飯をあげるわ。新しいご飯を。」

(木原さんは何がしたいんだ?さっぱりわからない。でも今は耐えるしか…)

そうして拷問は始まった。中村は必死に答えたが、混乱しているうえ、体に来る鞭のダメージやノーヒントであることから、なかなか正しい答えを答えられなかった。その時。

木原「ハァハァ…流石に疲れたわ。じゃあヒントをあげる。あの日あの時あなたは誰にも相談せず答えてしまった。その時それほどの愛があなた達にあることを私は悟ったわ。それから私の行動を強めたのよ。けど効果はなかった。ちゃんと情報はあったのに。それだけよ。」

そういうと木原はその檻をあとにした。

中村「…ハァ……ハァ」

中村は考える。

(あの日?いつだ?俺がなにかに答えなければいけないとき…あの告白のときか?誰に相談すべきだった?クラスの人とは話せないから一旦省くとして、先生方に言うことじゃない。なら話せる人間は…)

そこで中村の意識は途絶えてしまった。

木原の家に来て宮川はスープを飲んだ。

そして今日はもう遅いので泊まって行けという木原の誘いに乗った宮川はベッドを借りて眠った。

中村は目を覚ました。全身の痛みから拷問されていたことを思い出し、身構える。が、木原はいない。

中村「なんだいないのか…正直この部屋だと木原さんがいないと本当に何もないから気が狂いそうになるんだよなぁ…」

すると。

木原「あら、起きてたんですか?」

さっと身構える。

木原「まぁまぁ、そんな身構えないでください。実は謝りたいことがあるんです。私も手探りでこんなことをしてるので…もう尋問はしないつもりです。」

中村は思った。

(反省したのか…?さらにこのまま逃がしてくれないだろうか?)

しかし。

木原「けど私はあなたに私を知って欲しいの。だから一緒にお話しながらご飯を食べませんか?」

(まだ逃げられそうにないな。)

それから食事が始まった。

木原「はいこれ、肉団子スープ。温かくて美味しいよ。あなたは今手が使えないし、私が食べさせてあげる。」

それから次々とご飯が口に運ばれていった。その数三品。そしてその後相談会が始まった。

木原「私は惨めに前のものに固執する人は良くないと思うんだけど、どう思う?やっぱ諦められるようにしてあげるべきかしら?」

中村「いいんじゃない?その人の性格によるし。でもあまりしつこかったら諦めるよう言ってもいいかもしれないね。」

木原「あなたは優しいんだね。じゃあ欲しいものが目の前にあったらあなたはすぐに手に入れる?」

中村「うーん…物によるかな。それが維持できるならすぐ手に入れるよ。」

中村は焦っていた。

(いつになったら帰れるんだ?まるで帰らせるつもりがない。)

すると。

木原「…そうよね。」

中村は豹変した木原の顔に恐怖していた。

木原「あなたは気づいてるかしら?私があなたが変わることができないと諦めていることに。だから今の食事はあなたにとっての最後の晩餐だったのよ。」

中村「な…何が言いたい。」

木原「あなたの助言通り、諦めさせて手に入れる。さっきのご飯はどうだった?やっぱりあなたの愛しているものは美味しかったかしら?」

中村「なに…?」

木原「あの中に入っていた肉は私が初めて捌いたお肉。その肉の名前は[宮川紗千子]よ。」

眠りについた宮川を逃げられないよう足を切断してから解体した。意識のあるまま。

木原「流石に庭に三人は多いなぁ…」

中村「嘘だ…なんでそんなことを!」

木原「諦められるでしょ?それからもう時間がないし感想は聞かないわ。」

すると木原はある道具を取り出し、中村の頭に使った。木原はそれの使用後なにかに気づいた。

木原「あら?忘れ物しちゃったわ。あなたはお留守番しててね♪」

そういうと木原はそれを残して部屋を、出ていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ