65粒目「聳える壁」
4月上旬、トラサワホテル@カフェがオープンする。
人通りが多くなったにもかかわらず、人々は葉月珈琲の存在に気づきもしない。
表からの外出が困難になった私は、裏口からこっそり外に出る生活に入った。
トラサワホテル@カフェは5階建てのようで、1階部分のカフェが強調されていて、ホテルとしての側面は控えめだ。決して高いとは言えないビルだが、私たちには聳える壁の如く、立ち塞がっているように思える。葉月珈琲にとっては現実の厳しさを象徴していた。
葉月珈琲の存在感を押し殺すように日差しが途絶えた。目の前のカフェが文字通り邪魔だ。これじゃ洗濯物が乾かない可能性さえある。誰もが納得する手段で、合法的に何かを潰したくなったのはこの時が初めてだ。私は平和主義だが、平和を乱す者が身近にいるなら、討伐する以外ありえない。
唯ちゃんがコーヒーを口に含むと、ため息を吐きながら後ろを振り返る。
「お客さん、来なくなりましたね」
「外国人観光客で稼いでたってのに、あのクソカフェ、ごっそり持っていきやがった」
「一度偵察に行きましょうか?」
「ミイラ取りがミイラになりそうだけど、頼めるか?」
「はい、任せてください」
お兄ちゃんに忖度するように、唯ちゃんが率先してパシリになった。
お小遣いとして1000円札を唯ちゃんに渡し、トラサワホテル@カフェの商品を買ってくることとなったわけだが、営業時間でも圧倒されている。人がそこそこ並んでいるのは、開放的な空間が外から見えるからだろう。それに引き換え、うちはよく観察しないと分からない。
トラサワホテル@カフェが荒野を闊歩するライオンなら、葉月珈琲は森に隠れたカメレオンだ。
調べてみれば、飲食業界へと参入するにあたり、周囲に個人店が立ち並ぶ場所に優先的に建てることで辺りの市場を独占していると、凪の調査資料に記されていた。凪もこの店の存在には気づいていたようだが、どうもこれは葉月商店街を潰すためにできた店らしい。
国道沿いに歩いていけば葉月商店街がある。
目的は周囲の商店街や個人店から固定客を引き摺り出し、地域社会を干上がらせるつもりだ。ただ商売をして利益を上げるだけであれば、あんな立地条件にはならないはず。
偵察を続けていた唯ちゃんが複雑な表情を浮かべながら戻ってくる。
袋詰めにされたコーヒーセットを手に持ち、カウンターテーブルの上に置く。早速私とお兄ちゃんでコーヒーを飲んでみる。味はうちよりも劣化したもので、所謂コモディティコーヒーと呼ばれる普及しきったコーヒーだ。入れないとはいえ、向こうよりも遥かに優良なコーヒーを淹れているうちに気づきもしない人々に対して、私は落胆を隠せなかった。
人が買っているのは情報だ。何を売っているかではなく、どこが売っているかだ。
世界一美味いコーヒーを淹れている人よりも、世界一有名なコーヒーブランドの方が売れる。
無論、これはチョコレートにも言える話で、より多くの人に宣伝できれば勝ちとなる。葉月珈琲に人が多く訪れていた時期は、お兄ちゃんが優勝して間もない頃。つまりヴェネツィア一帯で有名になったからこそ、旅行する余裕のある人々が訪れてくれたのだ。
「あんまり美味くないな。フレーバーも洗練されてないし、大手チェーンにありがちな雑味と苦味だ。コーヒーが泣いてるよ。洗練されたロースターの腕じゃない」
「それでも人が並んでいるのは、虎沢グループだからかな」
「地元岐阜では最も大きなグループ企業ですし、学校や警察にも多額の投資をしているみたいですよ」
「だから悪いことをしても、綺麗さっぱり揉み消してもらえるってわけだ。今の岐阜市は虎沢グループの狩場みたいなもんだ。市民も虎沢グループに養われている格好で逆らえない。この状況を覆すには、やっぱり世界大会に出て、うちの店を宣伝するしかねえな。あのクソカフェは絶対に撤退させてやる」
並々ならぬ私怨を燃やし、トラサワホテル@カフェの撤退を誓うお兄ちゃん。
またどこかに遠征しそうで寂しくなる。葉月珈琲に私しかいない時、仕事がなかったら耐えられなかっただろう。いつか手の届かない場所にまで行ってしまうのではないかと、つい考えてしまう。
仕事終わりにヤナセスイーツへと赴くと、莉央さんがモンブランを仕上げている。
黄色い素麺のような絞りがケーキを覆っていく。和栗を使っているようだ。
「あっ、璃子ちゃん。いらっしゃい。いつものスフレチーズ、取っておいたよ」
「ありがとうございます。莉央さん、4月のイベント、何作るか決まったんですか?」
「一応ね。優子ちゃんも葉月商店街を盛り立てようと頑張ってる。これから入る企業のことを悪く言うのは良くないかもしれないけど、つい最近、トラサワホテル@カフェとかいうセンスの欠片も感じないカフェが出てきて、お客さんみんな吸われちゃったの。だから盛り返さないと。私、虎沢グループに入ったら、内側から変えてやろうと思ってる。まあ基本的には生活のためだけど」
「私も協力します。どこまで貢献できるか分かりませんけど」
「じゃあ璃子ちゃんも新しい商品を考えてみたら?」
優子さんが私の後ろからサラッと告げる。
今まで商品の開発の関わったことなんてなかった。
私にできることと言えば、精々模倣することくらい。チョコレートが入った商品なら、どうにか新しいアイデアを思いつけるが、私が開発してもいいのだろうか。
「いいんですか?」
「イベント期間中だけね。本来学生が学校サボって新商品の開発をするなんて、下手をすれば顰蹙を買うことなんだから、商品を作るのは裏でやってね」
「あー、そういや璃子ちゃんって不登校だっけ。受験勉強とか大丈夫なの?」
「大丈夫です。高校には行かないんで」
「ええっ!? 中卒っ!?」
莉央さんがのけ反りながら口を大きく開けた。
無理もない。余程の事情がなければ、高校くらいは行くのが常識であり、多数派の生き方だ。
しかし、この国での多数派の生き方は、私にはいかんせん脂っこ過ぎる。
耐えられない。耐えられる気がしない。何も言われてないけど、外界から確かな敵意を感じてしまう自分が憎らしい。平和主義者にとって、この世の理は生き辛さそのものだ。
「義務教育の内容なら、お兄ちゃんが持っている教科書を見て一通り把握しました。最初は受験勉強もしてたんですけど、それで得た知識が将来の私を助けることはないと確信しました。学校は無難にやり過ごすことは教えてくれても、正面から戦い抜くことは教えてくれませんでした。平和主義が通用するのは学生までだということを……嫌というほど思い知らされましたから」
大学まで行って、無難にOLを目指しているつもりだった。
でもそれは大人たちに無意識な忖度して選ばされた道、自分で選んだ道じゃない。
高校なんて行ったら、またあの時の……非常事態にも拘らず、ビビって何もできない自分に戻ってしまいそうな気がしてならない。立ち向かう覚悟を決めるなら早い方がいい。選択肢なんてどうでもいい。私はただ、平和に過ごしたいだけなのだ。平和主義が社会で通用しないなら、一生分稼いで、とっとと社会という名の地獄から脱出したい。社会とはいかにやり過ごすかじゃなく、いかに早く卒業できるかが問われている。勝ち組とか負け組とか、そんなくだらないことを考えなくていい場所で過ごしたい。
タレントップにまた脅迫状が届いた。
これ以上凪と一緒に活動すれば命はないと通告を受けた。
幸いにもショコラブリーの活動は、お互いのソロ活動によって休止となっていた。以前と同じく下手な字で、私でも難読と思えるほどに歪んでいた。写したような書き方だが、ちゃんと見えていない。
しかも平塚さんや舞子から度々弾劾を受けた。なのに凪は反撃に出ようとすらせず、相手の動向を窺ってばかりだ。証拠は既に揃っているとのことだが、何かを待っているかのようだ。
「そ……そう……璃子ちゃんも大変だったんだ」
「莉央ちゃんは就職レールの上しか知らないもんねぇ~」
「はいはい。どうせ私は普通の凡人ですよー」
口を膨らませながら莉央さんが言った。
諦め気味な表情からは、変人と呼ばれる者たちへの羨望が窺える。
本物の変人は、なりたくてなったわけではないのだ。
1人の親子連れが入ってくる。小学生くらいの女子が目を輝かせながらショーケースに入っているケーキを見て、体をぴょんぴょんと跳ねさせている。
「ねえお母さん、これ食べたい」
「だーめ、あんたは小麦アレルギーでしょ」
「えー、どうしても駄目ー」
「あのねー、ケーキは小麦粉を使って作るものなんだから、我が儘言っちゃ駄目」
「はーい」
楽しみを奪われたかのように女子が拗ねた。しょんぼりと顔を俯かせ、ヘアゴムでまとめたツインテールが持ち上げられた。生まれ持った体質とはいえ、しっかりと阻止しているあたり流石だ。
アレルギーを持つ子供は昔からいるが、昔は理解が進んでいなかったために事故が多発し、今になってようやく考慮されるに至るが、根本的な解決には至っていない。
特にケーキが好きな年頃の女の子がケーキを食べられないのは重大な問題だ。
女子の前に立ち、膝を折り曲げ、目線を合わせた。
「ねえ、ケーキが食べたいなら、3日後にまた来てくれない?」
「でもアレルギーだから、ケーキは食べられないの」
「そうですよ。この子の体に何かあったら、責任取ってくれるんですか?」
「大丈夫です。小麦粉を一切使わずにケーキを作ります」
「「えっ?」」
何を言っているんだと、親子が同時に首を傾げた。
自費で買い出しを済ませると、早速裏でケーキ作りを始めた。
小麦アレルギーの女子はチョコレートケーキに目が釘づけだった。小麦粉を使っていないチョコレート菓子を日頃から食べているはずだ。無類のチョコ好きならば、チョコレートケーキを食べずに一生を終えるのは、不覚以外の何ものでもない。生まれ持った体質が原因で希望まで失うなど、あってはならないのだと、久しぶりにショコラティエとしての使命感に燃えた。
3日後――。
葉月商店街恒例のマンスイベントが始まった。
月に一度、葉月商店街主催で季節に合ったイベントを開催するのだが、今回は地元のアイドルや音楽家に参加してもらい、前年とは違う形でカラオケ大会が行われた。
私はショコラブリーの一員として凪と共に参加する。
今回は私が演奏し、凪が歌う変則的な方針であるため、私が見尾谷楽器店で買ったバイオリンを弾きながら音色を凪の声に合わせていく。今月発売したばかりの新曲で、聳える壁があっても諦めなければ乗り越えられるというテーマである。奇しくも3日前の私にはうってつけの曲だ。
曲が終わると、真っ先に拍手を受けたのは凪だった。
やはり歌手が最も目立つ位置にいる。一般の人にとって、演奏家は縁の下の力持ちのような存在なんだろう。実際、歌手の名前は知っていても、いつも後ろで楽器を弾いている人の名前は知らない人の方が多い。まさに私が目指している存在だ。背景くらいにしか思われないのが幸いだ。
「凪ちゃんって可愛いし、歌もダンスもうまいよねー」
「俺は相方の璃子ちゃんの方が好きかなー。慎ましやかで主張しないのがいいよねー」
「えー、アイドルは目立ってなんぼだと思うけどなー」
「お前はまだ子供だから分からないと思うけど、立派な大人は背中で語るんだ」
ライブを見に来ていたお客さんがショコラブリーを口々に語る。
ファンは思っていた以上に私たちのことをよく見ている。
規模は小さいが、古参のファンは大切にしていきたい。私の生き方は、今の段階では理解されないかもしれないが、いつか引きこもりも選択肢の1つに入れたい。
まずは1日中家にいても生活が成立する基盤を作らなくては。
生活費を稼ぐだけじゃなく、自分への投資をしなければと思い、材料費の割合を増やした。その結果が今日の朝作ったチョコレートケーキである。
午後3時、ヤナセスイーツで店の手伝いをし始めると、さっきのライブイベントを見に来てくれたお客さんが次々に声をかけてくる。必要最低限の受け答えで済ませるが、HSPにとっては見知らぬ人に声をかけられるだけで気力がゴリゴリ削られる。
無意識に迷彩戦略を用いていた理由の1つかもしれない。
この日のヤナセスイーツは売れに売れた。私が宣伝広告塔となる格好でお客さんのラッシュが続く。
しかし、しばらくの時間が経っても、小麦アレルギーの女子は一向に姿を現さない。休日なら予定が空いていると考えたが、友達と一緒に遊んでいるのだろうか。子供故に3日前のことなど、すっかり忘れているのだろうかと心配になる。心配は期待の裏返しとは言うが、私が期待しているのは約束を守ってくれるかどうかではない。自らが持つハンデを乗り越えるかもしれない期待だ。
「約束……忘れちゃったんですかね」
「別にいいじゃん。一度来てくれるだけでも、あたしは十分嬉しいよ」
「ていうか何であたしまで駆り出されるの?」
凪は男装しながらも着慣れない調理服を着用し、珍しくラッシュの続くヤナセスイーツでキビキビと接客をこなしながら手を動かしている。接客経験がないのか、最初こそあたふたしていたが、1時間も接客をしているとすぐに慣れたのか、涼しい顔でプロ顔負けの接客ができるようになっていた。
接客は私でも慣れるのに数ヵ月を要したが、凪はたったの1時間だ。
もし受験勉強をしているなら、余裕で東大に受かるだろう。
何をやってもすぐプロの腕に追いつきかねないスピードで成長する。末恐ろしい才能だ。きっと処理速度が速いのだろう。早々とコツを掴み、ほとんど教えることがなかった。偏差値の高い子供は自習ができるのだ……と感心していると、見覚えのある親子の姿が近づいてくる。
「いらっしゃい。約束憶えててくれたんだね」
「うん。だって私でも食べられるケーキがあるんだもん」
「あのー、本当にこの子でも食べられるケーキってあるんですか?」
「はい。この『米粉』で作ったケーキなら、安心して食べられますよ」
女子の目の前に1本の『チョコレートパウンドケーキ』を置いた。
私は小麦アレルギーを持つ女子のために、米粉を使ったケーキを考案した。
アレルギーに引っ掛かるのであれば、原因となる食材を取り除き、その上で作れるものを提供すればいいのだ。私にとってここに行きつくのは簡単だった。
かつてのお兄ちゃんの言葉が大きなヒントになった。
『外に出るのが駄目なら、引きこもっていてもできる仕事をすればいい』
私にとっては革命的と思えるほど強く響いた。
引きこもりが駄目なんじゃなく、引きこもっていても生活が成り立つ人間になれば、コミュ障のデメリットも邪魔にならないし、誰も文句を言わないのではないかと、私に気づかせてくれた。
自作のチョコレートパウンドケーキを無償で提供する旨を伝え、1切れを皿に盛った。
フォークと一緒に提供すると、女子はチョコレートを喜んで口にする。
「――これ美味しい! チョコレートケーキってこんなに美味しかったんだー!」
初めて食べるケーキに酔い痴れるように食いつく。
強く目を瞑りながら咀嚼する様子からも、ケーキに恋い焦がれていたことが見て取れる。
チョコレートの美味しさを伝えられる喜びを噛みしめると、私は女子の目の前まで歩み寄り、膝を曲げながら目線を合わせた。女子が顔を上げると、にっこりと微笑みながら皿を手渡してくれた。
「私は葉月璃子。君の名前は?」
「鞠鵜翠。翠って呼んで」
「翠ちゃん。よろしくね」
「よろしく。璃子さん、これからも遊びに来ていい?」
「いいよ。また米粉のケーキ作ってあげるね」
「やったー!」
健気にも両腕を強く握りながら燥いでいる翠ちゃん。
米粉のチョコレートパウンドケーキのレシピを翠ちゃんの母親に渡した。
残りは全て無償提供し、翠ちゃんの母親は頭をペコペコ下げながら終始謙虚な態度を変えることはなかった。最初こそ子供の心配をしていたが、アレルギー反応を起こさないことを確認してからは様子が変わり、翠ちゃんがケーキを食べたことを自分のことのように喜んでいる。
スイートチョコレートを俎板の上に乗せ、包丁で刻む。無塩バターに砂糖、塩、振るったココアパウダーを加えて混ぜ、全卵を溶いて3回に分けて加えながら混ぜる。米粉、アーモンドプードル、ベーキングパウダーを振るって加え、刻んだスイートチョコレートも加えて混ぜる。パウンド型に生地を入れて170度に予熱したオーブンで40分焼く。焼き上がったら型から取り出し、熱い内にラップで包んで粗熱を取る。お好みで盛り上がった部分を切り落とし、ココアパウダーとピスタチオで飾る。
小麦粉を省いただけではあるが、卓越した味覚がない限り、味の変化を感じることはない。
これが、後に小麦アレルギー持ちとして初めてのショコラティエ、鞠鵜翠との出会いだった。
「翠ちゃん、ケーキ食べられて良かったね」
「うん。チョコレートが好きなのは分かっていたので、食べやすいパウンドケーキにしてみたの」
「でもよく米粉を使うことを思いついたねー」
「この前イマセベーカリーに行った時、米粉を使ったパンがあったことを思い出したんです。カロリーを抑える目的で作られたパンなんですけど、小麦粉を一切使ってないので、米粉だったら小麦アレルギーを持っている人も食べられると思ったんです」
「璃子ちゃんは立派なショコラティエになれるかもね。あっ、もうショコラティエかも」
「チョコレートで稼げるようになったら、名乗れるかもしれません」
「何言ってんの。ショコラティエには定義も資格もないんだから、好きに名乗っていいんだよ。あたしだってヤナセスイーツに就職する前からパティシエ名乗ってたし」
茶化すように垂れ目を見せつける優子さん。
ショコラティエになりたいと志した時から、私は既にショコラティエなのかもしれない。
お兄ちゃんも最初にコーヒーを飲んだ時からバリスタを名乗っていた。自らの存在を定義できる者こそが価値のある自分自身を生きているのだと、優子さんは暗に伝えてくれている。
――なら私は、ショコラティエを名乗ろうじゃないか。
いや、きっと私も初めてチョコレートを食べて感動してからショコラティエの卵だ。
「璃子はやっぱり凄い。こんなにもあっさりアイデアを思いついちゃうなんて」
ボソッと凪が低い声で小さく呟いた。
凪の弱みが分かってしまった。それは創造ができないこと。
要領は良いが、自分で新しいアイデアを思いつけず、誰かが思いついたアイデアを取り入れることでしかアイドル活動ができない。新曲のアイデアは全て私から事務所専属の作曲家に話したが、凪はまるで丸投げしたい様子だった。いつも通りと言ってしまえばそれまでだが、凪にとっては問題らしい。
凪は他人の気持ちには良くも悪くも鈍感だ。私とは対照的だが、必要以上に感じやすいからこそ分かる領域がある。人の気持ちに寄り添えばすぐに分かることもあると、自分にまた自信がついた。
米粉のケーキを使うアイデアは、多くのアレルギー持ちにとって大きな突破口となった。
しかし、これが一波乱を巻き起こすことを……私はまだ知らなかった。
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鞠鵜翠(CV:種崎敦美)




