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社会不適合者が凄腕のショコラティエになっていた件  作者: エスティ
第4章 地方復興編
51/70

51粒目「アイドルユニット」

地方復興編の始まりとなります。

璃子が始めたアイドルの仕事が思わぬ事態を招くことに。

 7月を迎え、私は葉月珈琲の仕事に従事する。


 外国人観光客がたくさん来るようになり、以前よりも行列が増えた。


 うちの存在がばれないか心配になったが、日本人は看板を見ただけで去っていく。外国人観光客限定と書かれているだけで、実は日本人の入店を規制する法律はないが、彼ら自身が自分は外国人ではないと勘違いさせるという体で入店を阻止する格好だ。


 無論、有名店にでもならない限りは問題にならない。


 しかし、外国人観光客が増えれば増えるほど周囲の住民から認知され、やがて身内や身内の知り合いにまで認知されてしまう。葉月珈琲は親戚からの借金を不当に使っているため、隠れ家としてやり過ごしながら売り上げを伸ばさなければならない。


 せめて継続的に客足を伸ばせる土壌さえできれば……。


 サイバーモールからの誘いはなくなった。恐らく大手に就職できる最初で最後のチャンスだったと、後に確信することになるが、私にはタレントップの方がずっと合っている。凪が何故タレントップを選んだのかが分かる。ここはトップアイドルを育てる場ではなく、マルチタレントを育てる場所だ。


 私も何度か料理番組に出演し、いくつものチョコレート作品を作らせてもらった。


 シングル曲もチョコレートにまつわるワードが必ず入っているし、甘い夢と苦い現実のギャップを見事なまでに表している。チョコ作りの時間が取れないかと思っていたが、未熟ながらもしっかりと考える時間ができたばかりか、完成したチョコレート作品を葉月珈琲で発売することもできた。


 私にとっては『デザイナーズチョコレート』を作る貴重な機会となっている。


 洋菓子店で修業したいが、できればチョコ作りに特化したショコラトリーにしようと思ったが、そんな店は大都市でもなかなか見られないし、大手であれば就職していることが前提となり、私くらいの歳では修行すらさせてもらえないのが現実だ。つまり独学でやるしかない。


 タレントップの大広間に全員が集まった。


 所属タレントは全部で50人程度の精鋭部隊だが、ソロで活動している人はほとんどいない。2人以上を組ませる風潮になりつつある中、降谷社長の口から衝撃の発表が行われた。


「みんな知ってるとは思うけど、8月になったら、名古屋でユニフェスが開催される。毎年恒例の春夏秋冬イベントや。特にこのユニフェスは全国から大勢の客が来る。うちの名前を全国に轟かせるチャンスでもある。特に評価の高かったもんはCMに出る権利を得る。うまくいけば全国から引っ張りだこもあるし、あの武道館ライブも夢やない。1つの事務所につき3組まで参加できるから、うちからも3組が参加することになってるわけや。ここにいる全員が参加できるわけやあらへん。せやから今回はみんなでユニフェスへの出場権を競ってもらう。みんなそれぞれ予定があるやろうけど、今後1ヵ月程度は歌と舞踊の練習に時間を割いてもらうことになると思う」


 多くのローカルアイドルが参加する『ユニットフェスティバル』の季節が訪れた。


 通称ユニフェス、この大規模イベントは、ローカルアイドルが全国区のトップアイドルに出世するための登竜門とされ、文字通り2人以上で構成されたアイドルユニットでの出場が前提となり、ユニフェスには2人から5人まで構成されたユニットで出場できる。しかし、人数の関係上、3組までしか参加できず、タレントップに至っては全てのユニットが2人1組であるため、参加できるのは50人中6人となる。一応調べてみたが、参加者の平均年齢は18歳前後といったところ。


 私の出番はなさそうだ――そう思ったのが間違いだった。


「社長、これってユニット専用のイベントでしょ。あたしみたいなソロの人間は出番ないと思うけど」

「確かに先月まではしばらくソロやった凪ちゃんやけど、今月からはちゃうで。凪ちゃんは璃子ちゃんとユニットを組んでもらうことが決定した」

「「「「「!」」」」」


 私を含め、周囲が一斉に黙り込む。だが凪だけは冷静だ。


 ――えっ、どういうこと? 私が凪とユニットを組むって……。


 予てから凪は何度かユニットを組んでいた。2人1組で組んだは良いが、相方となった人が凪の圧倒的な才能の前に劣等感を持ってしまい、アイドル自体を辞めてしまうと聞いた。


 1番になれないから辞めるという浅はかな考えで。


 同じ業界にもジャンルというものがある。数あるジャンルの中で自分が1番を目指せそうなものになるのがもっともらしい選び方だ。やるからには1番を目指すべきだが、1番人気になれずとも、誰かにとっての1番になることはできるのだ。結果を出すだけがモチベーションではいつか限界を迎える。


 1人の同僚がずかずかと前に出る。


「ちょっと待ってください! どうして新人デビューを果たしたばかりの人が凪さんとユニットを組むんですか!? そんなの納得できません! 考え直していただけませんか?」


 降谷社長に詰め寄った強気の女性は津田舞子(つだまいこ)である。


 タレントップの中でも一二を争う実力派であり、私と凪の1つ年下である。


 服装はパッとしないが、自分で編んだと思われる帽子をかぶっている。家は貧しいが人よりも教養はあるようで、アイドル活動の他、アイドル衣装まで手掛けている。タレントップ2期生で、ここでは既にベテランの1人だ。タレントップ創成期にして、以前の事務所を引き継いだ形であるために1期生扱いとなっている者を含め、それなりの人数が在籍していたが、大半は引退か移籍でいなくなっている。


 同僚たちから聞いた噂によれば、1期生の半数以上は凪が引退に追いやったとか。


 潰れるなら早い方がいい。そう考えてしまう私は残酷だろうか。


 2期生以降は新陳代謝目的で入ってきた曲者が多数を占めている。


「考え直すゆうても、既に決まったことや。それとも君が代わりに組みたいと?」

「資格は十分にあると思います。私の方が凪さんのことをよく知っています」

「あの、ユニット結成の発表はいつ頃なんですか?」

「7月15日、奇しくも凪ちゃんと璃子ちゃんの誕生日や」

「「「「「!」」」」」


 周囲が一斉に慄いた。舞子も口を閉ざしてしまった。


 私と凪の生年月日は全く同じ。世代間ギャップを最も感じにくい相手と言っていい。


 もう少しタレントップのことを調べた方がいいかもしれない。


 舞子は私を睨みつけると、鬱憤が溜まったまま引っ込んだが、このままただで済むとも思えない。私は凪とユニットを組むこととなったが、非常にまずいことになった。葉月珈琲の繁盛期とピッタリ重なってしまうのだ。お兄ちゃんがバリスタの世界大会で優勝した影響で外国人観光客が来るようになり、私まで店に営業に駆り出されていた。しかも将棋教室とアイドル活動まで続けている。


 予定が被ってしまえば、どれかを放棄する必要があるが……。


 気のせいだろうか。目の前がぼやけて見える。


「璃子、大丈夫?」

「えっ、何が?」

「何だか顔色が悪いけど、ちゃんと睡眠は取ってる?」

「うん……大丈夫――」

「璃子っ!?」


 一瞬天井が見えた後、全身の力が抜けてしまい、意識が遠のいてしまった。


 凪の叫ぶ声が聞こえる。だがそれも徐々に聞こえなくなる。私はどうなってしまったのだろうか。


 数時間後――。


 大広間ではない明るい部屋で目を覚ます。起き上がってみれば、すぐ近くで降谷社長がパソコンに向き合い、カタカタとキーボードを打ちながら作業をしている。


「おっ、目ぇ覚めたか」

「あの、私は一体?」

「さっき大広間で倒れたんや。急いで社長室まで運んで、医者に診てもらったんやけど、そしたら過労による貧血で、働き過ぎって言われて、危うく労基署に報告されるとこやった。今回は凪ちゃんのお陰でどうにか誤魔化せたけど、もうこんなことはごめんやで」

「すみませんでした」


 私は音もなく立ち上がり、潔く頭を下げた。


 降谷社長は私を咎める様子はなく、社長専用の回転椅子に座ったまま片足を膝に乗せた。


 心配そうにため息を吐く。私が色んな仕事を同時進行したせいだ。仕事をしている最中は気づかなかったものの、体に思った以上の負担がかかっていたようだ。


 どうしよう……今後はアクティブな活動がしにくくなった。


「まあ無事やったからええけど、凪ちゃんが言うには、璃子ちゃんが副業している可能性が非常に高いっちゅうことや。なんか別の仕事してるんか?」

「副業禁止の条項がなかったので黙ってましたけど、将棋教室で特別講師をしたり、葉月商店街の店を手伝ったりしています。うちはバブルが崩壊してからずっと貧しかったので」

「そりゃ倒れるわけや。2週間後にはデビューやし、しばらくは他の仕事を中止してくれへんか?」

「……どうしても……今まで通りじゃ駄目ですか?」

「無理にとは言わんけど、他の仕事を中止にできないとなると、凪ちゃんの相方を考え直さなあかん。実を言うと、あんたとユニットを組みたいって言い出したのは凪ちゃんなんや」

「――どうりで発表の時、凪だけは驚かなかったんですね」


 私はどうあるべきなのか、また悩むところにまで引き摺り戻された気がする。


 体力の都合上、どれかに絞らなければならない日がいつか来るとは思っていた。


 それが今だとしたら、私は苦渋の決断をしなければならない。女流棋士はとっくに諦めている。だが将棋教室は同級生たちと会える数少ない交流の場だ。同級生と同じ経験をしていないのは大きなディスアドバンテージと言えるが、私は不登校であることを悔いていたのかもしれない。


 他の人と同じように、普通の生き方に憧れていた。


 凪はそのことに気づいて、背中を押してくれたかのようだ……いや、考えすぎか。


「あの、少しだけ考えさせてください」

「じゃあ3日やる。3日後に答えを聞かせてくれや」

「分かりました……」


 社長室から去ろうと、扉に手をかけた時だった――。


「あっ、そうや、凪ちゃんが6時に中津川珈琲で待ってるゆうてたわ」

「は、はい……行ってきます」

「いってらっしゃい」


 ノリの良い声で降谷社長が言った。


 ここまで全てが凪の計算通りであるとすれば――。


 私は問われている。本当の意味でここに残るべきなのかを。サイバーモールからの誘いを断ってからは凪の機嫌が良い。やはり親子の仲が悪いのは本当のようだ。勧めてくれたのは私の将来を思ってのことだろう。彼女の優しさをようやく噛みしめられた気がする。


 午後6時、中津川珈琲に入ると、あえて明かりを薄暗くした雰囲気の店内は、バーにでもいるかのようなのんびりとした空間だ。ドアベルの音に反応した凪がカウンター席から笑顔で手を振った。


 静乃はおらず、2回で夕食を食べている頃だろう。不登校とはいえ、子供を長時間働かせることはできない。タレントップも労働時間を守っているが故に起きたアクシデントだった。私は危うくタレントップの信用を失墜させてしまうところだったのだ。


 黙って隣に腰かけると、凪は既に注文していたジェズヴェコーヒーのカップをソーサーに置く。


「ジェズヴェコーヒーを1つ」

「畏まりました。ゆっくりしていってね」


 中津川社長が笑顔で声をかける。何度か通っている内に分かった。


 お客さんとスタッフがよく会話する店では、1人でのんびり過ごしたい時、2人きりで話したい時は端の席に座れば、スタッフが必要以上に話しかけてくることはない。


 静乃も中津川社長もそのことを知っているあたり、アクティブな飲食店では暗黙の了解らしい。


「怒られなかったみたいで何より」

「副業してるの知ってたんだ。他に何か知ったことはある?」

「そうねぇ~、あたしの知る限りだと……璃子は貧しい家庭の生まれで、両親は共働き、兄は対人関係が不器用で仕事のできない在宅勤務者。身内に仕事のできるファッションデザイナーがいる。極度に繊細な性格で普通の人に擬態して生きている。そのことを悟られたくなくて、友達とも距離を置きがちで、モテるのに恋人がいないってところかな」

「――何で内職じゃないと思ったの?」


 私が聞いた途端、凪は意外な反応を示した。


 あまりにも見透かされるため、ストーカー扱いを受けたり、反発されてしまったりして、普段は自分の才能を悟られないようにしている。アイドル活動は代償行為かもしれない。


 不覚にも分かってしまった。彼女には理解者がいない。


「璃子が中学にいた時、同じ中学で璃子のお兄ちゃんが問題を起こして、それで一緒に不登校になったわけだから、年はそこまで離れてないし、中学生だと内職はできない。それに両親共働きだったら内職をする必要はないから除外したの。璃子はタレントップだけじゃなく、将棋教室で御駄賃と称して小遣い稼ぎをして、しかも葉月商店街のお手伝いまでして、余った商品を貰ったりしているって近所の人が言ってたから、子供の身分で倒れるまで働かないといけない事情があるってことは貧しい家庭。でも外出している時の服装は比較的豪華、身内にかなり仕事のできるファッションデザイナーか、裁縫のうまい人がいる。璃子の服はどこのお店にも売ってないみたいだし、首の後ろにネームタグもないから身内のオーダーメイドってとこね。将棋の腕前は女流棋士初のタイトル獲得まであるって言われているのにテストの成績は平均的で、学校じゃ目立たない存在って近所の人が言ってたから、いじめられないよう普通の人に擬態していたと考えるのが自然。最近羽振りがいいのは貯金する余裕ができたから」

「確かにほとんど合ってるけど、お兄ちゃんが仕事できないのは訂正してほしいかな」

「在宅勤務で稼いでるなら、璃子が働く必要はないと思うけど」

「……お兄ちゃんが仕事できないんじゃなくて、時代がお兄ちゃんに追いついてないだけ」


 何でこんなこと言っちゃったんだろう。いつもの私じゃない。


 遠回しにお兄ちゃんのことを侮辱されているような気がした。


 人と仲良くする仕事ができないと言えばその通りだが、お兄ちゃんは大会優勝で人気を集め、自らをブランド化することで売り上げに貢献している。高級コーヒーを売りにしているが、お客さんにとっては高級かどうかはどうでもいいように感じる。むしろお兄ちゃん目当てで外国からお客さんが集まっている印象だ。バリスタとしての腕前は分からないが、お客さんを呼び込む営業努力には光るものがある。


 モノ消費よりもコト消費に結びつける才能があるようだ。


 仕事ができないわけじゃない。人から誤解されやすく、夢中になったこと以外に興味がないだけだ。


「じゃあ時代が追いついたら、璃子のお兄ちゃんも稼げるようになるんだ」

「時代を変えるくらいの奇跡でも起きればだけどね」

「仕事してるのは否定しないんだ」

「引きこもっていてもできる仕事だけどね」

「ふーん、まあいいや。璃子、あたしと一緒に時代を進めない?」


 にっこりと歯を見せながら凪が耳元で尋ねた。


「どういう意味?」

「璃子も気づいてるでしょ。今の世の中が物凄く窮屈なことに。あたしはこんな窮屈な世の中を変えたいの。奇跡を待っていたら、いつまで経っても変わらない。世の中が全然変わらないのは、みんなして指示待ちの人生を歩んでるせいでもあるんだから」


 言ってることが完全にお兄ちゃんだ。それこそ仕事中はまず言わないような台詞だし。


 ……でも面白いかも。世の中を変えるなんて大それたことを言うけど、本当に世の中を変えてしまいそうなオーラを発している。現にサイバーモールは世の中を便利なものに変えてしまった。


 誰でも娯楽を楽しみながら好きな物を買えるようになった。一方で多くの犠牲が出た。誰かにとっての良い変革は、別の誰かにとっての悪い変革でもある。今こうしている間にも、気づかないだけで世の中は徐々に変わっている。いつの間にか変わったものなんてない。


 世の中を変えたいのは私も同じだが、いつしか諦め、平穏な生活だけを望むようになった。


 特に何もなければ、事なかれ主義なその他大勢の1人になっていたかもしれない。


 私と波長が合う理由が分かった。凪は私の潜在意識そのものだ。


 こんなにもトキメキを感じたのはチョコレート以来だろうか。


 ショコラアイドルの仕事、本気でやってみようかな。


「凪、本当に私でいいの?」

「愚問だなー。璃子はあたしの話についてこれた最初の人だよ。普通の人はあたしの考察を聞いても、ストーカーするなって逆ギレしたり、作り話をするなとか、妄想も大概にしろとか言ってくるし。でも璃子は違った。実を言うとね、あたしとユニットを組んでいた相方はみんなあたしに嫉妬して、不祥事をでっちあげてあたしを排除しようとしていたから、逆に不祥事をでっちあげた証拠を提示して、除籍処分になったのが真相なの。噂を真に受けなかったのも璃子だけだったし」

「私は誰かに嫉妬するほど、人に興味を持ったことはないかな。毎日のんびりチョコレートを食べられるくらいの平穏な生活ができればそれで充分だし、ましてやアイドルは凄く目立つ」

「……そう……やっぱり――」

「でも今は、平穏な生活すらできない世の中だし、正直私も今の世の中はどうかと思ってた」

「えっ……じゃあ……」

「但し、あくまでも最終目標は引きこもりのショコラティエだからね」

「ふふっ、璃子らしいね」


 またコーヒーを口に含む凪。私も同じものを注文する。不思議とコーヒーが甘く感じた。お勧めに表記されていたコーヒーを注文したが、昼のコーヒーとは異なり、ミルクチョコレートのフレーバーだ。


 チョコレートと牛乳が融合することで、更なる味のハーモニーを奏でる合唱団となり、本来の持ち味を保ちながらも、より深みのある味わいを生み出す。チョコレートが言っている。人生は別の誰かの人生と交わることで、ショコラティエとしても、また一歩成長するものだと、私に教えてくれている。


 凪とは気の置けない話をする。久々に趣味の話までした。


 彼女もまた、チョコレートが大好物だった。バレンタインデーの時は同性からチョコレートが届くという。親譲りのカリスマ性に溢れ、女性人気も高い凪が滅多に見せない側面だ。


 お兄ちゃんが仕事をしていることはバレたが、幸いなのはお兄ちゃんが引きこもりとして通っているところだ。カフェを経営していると言ったら驚くだろうが、今は誰にもバレるわけにはいかない。


 後日、降谷社長に他の仕事をしばらく中止する旨を伝えた。


「将棋教室と葉月商店街には伝えておきました。凪とユニットを組むことに支障はありません」

「そうか、よう決めてくれた。結構迷ったやろ」

「はい。私なんかでも世の中を変えられるかどうかを見届けたくなったんです」

「世の中を変えるか――ええ目標や。そう簡単なことやないけど、凪ちゃんと璃子ちゃんやったらできる気がするわ。璃子ちゃんは世界初のショコラアイドルや。もっと自信持ちや」


 降谷社長が大広間から立ち去っていく。しばらくは戻らないとのこと。


 つまり出張ということだが、まさか私が凪とユニットを組むとは思わなかった。


 凪がユニットを組んでいた相手を除籍処分に追いやっていたのは悪意からではなく、あくまでも自分を守るために仕方なくしたこと。それが分かっただけでも収穫だ。凪の洞察力には驚きを隠せないが、凪についていけず、嫉妬する気持ちも分からなくはない。


 私と凪はユニフェス出場に向けたレッスンに明け暮れるのだった。

読んでいただきありがとうございます。

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津田舞子(CV:橘田いずみ)

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