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社会不適合者が凄腕のショコラティエになっていた件  作者: エスティ
第2章 模索編
37/70

37粒目「チョコデート」

 日曜日を迎え、将棋教室の前で浅尾君を待つ。


 荒井君は来なかった。私と浅尾君が一緒にいることを誰かに知ってもらう必要がある。


 声をかける必要はない。誰かに目撃してもらえばいい。


 アリバイ工作と言ってしまえばそれまでだが、これも私の自由のためだ。


 浅尾君が以前の件を報告してくれたこともあり、荒井君は天野さんから注意を受けた。だが注意は恐らく無駄に終わるだろう。問題は荒井君がどうやって私の御駄賃の件を知ったかだ。何かがおかしい。荒井君の裏に誰かがいる。途轍もない悪意の象徴が。


 私服姿で外に出たが、やはり胸が目立ってしまう。


 頭の後ろで水色のヘアゴムを結び、ポニーテールにした。私にはこの髪型が1番落ち着く。学校にいた時は、男子がうなじを見て興奮するからという、居酒屋で酔っ払いながら考えたとしか思えない理由で禁止されていたが、結局姫カットでも興奮剤にされてしまっていたことを考えれば、浅はかな妄想以外の何ものでもない。変な校則に従わされる必要もないのだ。


 中学にも変な校則はあった。黒髪以外は禁止というもの。


 静乃に来るなと言っている。彼女は中学には行かず、受験を受けて高校を目指すとのこと。最悪中津川珈琲を継がせる方法もある。逃げ道がある人は楽だが、静乃が受けた苦しみを考えれば、せめてもの保障と言える。私には退路がない。お兄ちゃんのカフェを成功させるか、私が大学まで進学して就職するしか、葉月家が救われる道はない。まずは経済的に安定しないと。


 正午を迎えたところで浅尾君の姿が見え、駆け足で段々と近づいてくる。


「おっ、早かったな」

「浅尾君が遅いの。約束は10分前集合が基本だよ」

「おじいちゃんみたいなこと言うなよ。それよりどこ行くんだ?」

「えっ、決めてないの?」

「デートをしたという既成事実があれば十分だからな」

「……はぁ~」


 早速ため息を吐いてしまった。計画性のないマイペースな性格は変わっていない。


 突発的に思ったことを言っただけのようだ。発想そのものは理に適っているが、場所くらいは決めてほしかった。滅茶苦茶ではあるけど、私を助けようとしてくれたのは素直に嬉しい。


 やはりここは人通りが多く、知り合いがいれば噂になりやすい場所にするべきか。


「ため息吐くことねえだろ」

「……とりあえず、あそこのショッピングモールにでも行く?」

「別にいいけどさ、あそこって確か、葉月商店街のライバル店だろ?」

「一度偵察に行くつもりだったから、丁度良いと思ったの」


 何を隠そう、葉月商店街が衰退した理由の1つが、あの忌々しいショッピングモールである。


 商店街から徒歩5分の距離にある『サイバーモール』岐阜支店がオープンしてからというもの、商店街に来ていたお客さんの多くが吸われていき、大樹のように成長を遂げている。


 5階まで連なっている大規模ショッピングモールなだけあり、スーパー、コンビニ、映画館、本屋、洋服店、飲食店などが豊富に揃い、地元でサイバーモールを知らない者はいない。インターネット上で商店街を開き、通信販売を主力とし始めたことからこの名がついた。


 葉月商店街とサイバーモールの間には、仲介するかのように公園がある。


 2人揃って公園を通り抜け、サイバーモールへと入っていく。


 中には多種多様な店舗が揃い、それぞれが自己主張するように私の視覚に入ってくる。


 親戚たちは度々ここに通っているためか、以前のように名古屋遠征をしなくなっている。出稼ぎを考えている人たちが次々と名古屋へと引っ越していくが、皮肉にもサイバーモールがあるからこそ、出稼ぎをせずに済んでいる者もいる。全国各地から必要な物資が届き、地域の巨大倉庫と呼ばれている。


「ここはスポーツ用品もあるから何度も通ってる」

「今でもサッカーやってるの?」

「一応サッカー部にいるけど、最近はサボり気味だ。中島も江藤もテスト勉強ばっかりするようになっちまったし、主力はみんな引退しちまったからな。やる意味ないと思って、今じゃ幽霊部員だ」

「それって大丈夫なの?」

「誰かさんの兄貴が帰宅部という前例を作ったこともあって、部活への参加自体が事実上の任意になったんだよ。人知れず世の中を変えちまうなんてな、大したもんだ」

「そんなカッコ良いものじゃないよ。周りに合わせるのが苦手なだけ」

「でもさ、あの中学で自分を貫いて不登校なんて、やっぱ憧れるなー」


 ――お兄ちゃんのことなんて、何も知らないくせに。


 普通の人なら、抑圧に屈して、大過なく過ごしていたと言わんばかりだ。


 類稀な言動に憧れを抱く者もいるが、負の側面を見ていないことが多い。


 浅尾君にはお兄ちゃんの事情を話しているが、それでも憧れを抱くのは、本当は自分もお兄ちゃんみたいになりたいとか思ってる? いやいや、流石にそれはないよね? 浅尾君、割とまともだし。


「私が不登校になった後、どうなったの?」

「あー、結構騒ぎになってたけど、みんな葉月に同情してた。不登校にならなかったとしても、いじめを受けることはなかったと思うぞ。荒井も葉月に惚れ込んでいるみたいだしな」

「毎日あの顔を見るんだったら、やっぱり不登校でいいかも」

「……なんか変わったな」

「えっ?」

「だってさ、昔の葉月だったら、顔を見ないようにしながら通ってただろ。何だかんだでみんな気づいてるぜ。葉月が無理しながら合わせてるってこと」

「!」


 大きく目を見開いた。まさかばれているとは思わなかった。


 この時ばかりは動揺した。空気と一体化できていたはずなのに。


 何を間違ったのだろうか。私の迷彩戦略は完璧ではないが、平和に過ごしたいという利害はあらゆる組織と一致している。馴染もうとしたことはないが、空気を乱そうとしたこともない。何も間違ってなどいないはず……なのに何故か責められているように感じた。お前は何故組織の中にいるのかと。


「いつから知ってたの?」

「小学校高学年くらいかな。妙に人を避けようとするところがあったし、まるでそこにいないかのように振る舞ってた。葉月は誤魔化したつもりになってたみたいだけど、みんな空気を読んで気づかないふりをしてた。口には出してなくても、何となく分かるんだよ。対人関係は言葉じゃなく行動だからな」

「私がみんなに話しかけないことを強要してたってこと?」

「休み時間とか、常に忙しそうに本を読んだり、ノートをまとめたりしてただろ。最初は勉強熱心なのかなって思ってたけど、自習で遊び放題の時でもマイペースに読書してたからさ、もしかしたら人が苦手なのかなって……テストの点数が全員公開された時も、わざと平均点取ってたよな?」

「……誰から聞いたの?」

「見れば分かるって。あれだけ熱心に勉強や読書をする生徒が、全科目で平均点しか取らないのは不自然だ。答え合わせをする時も、誰よりも真っ先に終わっていた。本当は正解を知っていたからだ」


 そこまで見られていたなんて、思ってもみなかったけど、自然と言えば自然だ。


 私が他の生徒を観察していたように、他の生徒もまた、私を観察していたのだ。


 平和は1人では作れない。そのことを思い知らされた気がする。しかしながら、多くの人は良くも悪くも無関心なのが幸いだった。一方で私のような存在に気づく者もいる……か。


「そこまで分かるのに、テスト問題は解けないんだ」

「興味ねえよ。みんなつまんねえ授業をよく受けようと思えるよな」

「ふふっ、それ言えてる」

「昼飯でも食うか」

「お勧めの店とかあるの?」

「いや、これから探す」


 思わずこけそうになる。計画性がないことを忘れていた。


 行き当たりばったりだけど、どこかへと引っ張ってくれそうなところ、ますますお兄ちゃんのように見えてきた。何をやらかすか分からなくて放っておけない。


 1階から5階までを見て回る。あまり予算はないが、どこに何があるかは覚えておきたい。私は一度見れば十分だが、浅尾君はここに何度も来ているようで、自分の好きな商品がある場所だけは確実に覚えている。一通り見て回ると、エスカレーターで上の階に上がり、歩いているだけでお腹が空いてくるわけだが、5階には飲食店が建ち並び、有名な大手チェーン店が名を連ねている。


 どれに入るか迷うことはあれど、やはり値が張る店は避けたい。


 以前は中華だったこともあり、某格安のイタリアンチェーンに入った。


 値段は思ったよりも安い。お客さんはたくさんいた。お兄ちゃんの目論見は正解だったようだ。カフェを経営するにあたり、気をつけたいのは競合するライバルの存在。値段を安くしてしまえば、たちまちこういった大手チェーン店に競り負けてしまう。そう思ったお兄ちゃんは、あえて値段を上げ、商品の質で勝負する一手を打った。これが吉と出るか凶と出るかは運次第。


 あまり食べなかった。これにはちゃんとした理由がある。


 1階の総菜が並ぶ場所にチョコレート専門店があったのだ。


 私としては行かない手はない。ここに行くためと言っても過言ではない。


 目の前に燦々と輝くチョコレートは、私を一瞬にして一目惚れさせた。


「――凄い。こんなに揃ってるんだ」

「葉月はチョコ好きだったな。毎年自由研究のテーマも必ずチョコだったよな?」

「うん。私にとってチョコは幸せの一時を提供してくれるの。このホローチョコなんて、中身が凄く楽しみだもん。とりあえず全部1個ずつ買おうかな」

「なんか以前の葉月と全然違うな。ていうかホローチョコって何?」

「えっ、チョコの種類知らないの?」

「……まあ、そうだな」


 私は1つ1つのチョコレートを浅尾君に説明する。


 チョコレートには種類があり、有名なものからチョコレート通しか知らないものまである。


『ソリッドチョコレート』はチョコレート生地だけで作られており、いわゆる板チョコと呼ばれるものである。厚みによっても味の印象が変わるとされる。


『ホローチョコレート』は中が空洞になったもの。イースター・エッグを模したものや、動物などを模ったものなどがあり、多種多様で中に小さなおもちゃが入ったものもある。


『シェルチョコレート』はチョコレートで殻を作ってから、中にクリームなどのふんわりとした中身を詰め込んだもの。ウイスキーボンボンが有名である。


『パンワークチョコレート』は中身としたいものにチョコレートを吹き付けて作ったもの。アーモンドチョコレート、ピーナッツチョコレート、マーブルチョコレート、麦チョコなどがお馴染みである。


『エンローバーチョコレート』はウエハースやキャンディーバーを滝状に流すチョコレートに潜らせて作ったもの。某カットできる細長いチョコ、某黒い雷と呼ばれるチョコレートがこれにあたる。


『スプレーチョコ』は様々に色付けされたチョコレートを小さな棒状に加工したもので、お菓子作りやスイーツのトッピングに使用される。他にはトッピング用には球状や四角、ハートなどがある。


 私は時間を忘れ、勢いに任せてペラペラと早口で細かく解説していた。


 意外なことに、一度夢中になり始めた私が止まることはなかった。


「特にこのクーベルチュールは――」

「あー、葉月、ここのチョコが凄いのはよく分かったから、一旦落ち着け」

「……えっ? ――ハッ! ご、ごめん……迷惑だった?」


 しまった。これじゃただのオタクだ。こんな側面を晒してしまうとは。


 私としたことが……どうして自分を抑えられないんだろう。普段は大人しくしているのに……。


 早く切り上げた方がいいかもしれないが、夕方までは一緒にいないとかえって怪しまれる。だが浅尾君は至って冷静だ。慌ててキョロキョロと周囲を見渡す。他の人には聞かれていないようだ。


「いや、葉月って、チョコにめっちゃ詳しいんだな。どっかで修業したのか?」

「修業ってほどじゃないけど、友達の家でチョコを作ったことが何回かあって」

「見ただけでチョコの種類が全部分かるなんて、まるで専門家だな」

「専門家ってほどじゃないけど、私にとっては癒しの一時を提供してくれる存在だから」

「そんなに好きなら、将来はチョコレートを作る仕事だな」

「……」


 表情が曇る。だが浅尾君には悟られたくないと考え、顔を向けられずにいた。


 誤魔化すようにたくさんのチョコレートを購入する。お兄ちゃんへのお土産も兼ねているが、あんまり多いと怒られてしまう。本当なら全部欲しいくらいだが、それは後の楽しみに取っておこう。


 続いて3階のホビーショップへと向かう。


 小学生くらいの子供を連れた家族らしき人々が商品の前に佇み、子供からこれ買ってと常套句のように迫られては断っている。子供は何度も購入拒否されている内に、ウィンドウショッピングを覚えるようになっていく。大人になってから買う者もいるが、多くは別の趣味に移る。


 子供向けの商品は売り上げが下がっている。以前見たホビーショップよりも、大人向けの商品が多くなっているのが証拠だ。ガンプラも種類が増えているようで何よりだ。


「ガンプラが気になるのか?」

「お兄ちゃんがコレクションしてるの」

「俺もよくゲームとかで遊んでる。葉月の兄貴はどのシリーズが好きなの?」

「確かシードだったかな」

「あー、ずっと前アニメでやってたな」


 本当はターンエーの方が好きだけど、より知名度の高いシリーズを答えた方が無難だ。


 誰が相手でも予防線を張る癖、どうにかならないのかな。危険を回避することばかり実践しているような気がするが、荒井君に再会してからは、尚更傾向が強くなっている。


 奇しくも私の夢が決まってしまった。それは引きこもりである。


 職業は最終到達点ではない。あくまでも生活上の通過点にすぎないもの。家自体が店であれば、店の仕事も実質在宅勤務である。仕事をしている点を除けば、実質引きこもりと変わりない。私が目指すべきはこれだ。外にさえ出なくなれば、私を攻撃する者はいなくなる。いくら相手が大手グループの御曹司でも、引きこもりが相手なら簡単に手を出せない。最悪警察に頼ればいい。


 まだ持っていないガンプラを中心に観察する。


 フォルムのカッコ良さに、つい目線が集中しそうになる。


 だが私が大のガンプラ好きであることは決してばれてはいけない。浅尾君なら大丈夫な気もするが、口の軽い人にばれたら最後、そこから芋蔓式にばれることもある。適度に見回ってから立ち去り、今度来た時にこっそり買えばいい。好きなものに限って男の子向けにデザインされていることが分かる度、生まれる性別を間違えたと思わなくもない。何でも性別で分ける風潮なんてなくなればいいのに。


 誰が何を好きでも、関心を持たれずに済む方がずっと平和だ。


 みんな違ってみんなどうでもいい。平和とは無関心である。


「プラモデルって大変そうだよな。パーツを手で千切る作業とか」

「手で千切っちゃうと、引き裂かれたように見えるから、基本的にはプラモデル専用ニッパーを使ってゲートを取り除くの。そうした方が綺麗に切れるから簡単だよ」

「ゲート?」

「ランナーとパーツを繋いでいる部分。ゲートを綺麗に取り除かないと、パーツをうまくはめ込めなくなってしまうし、完成した時の見栄えが悪いの」

「結構詳しいな」

「よくお兄ちゃんに手伝わされてるから」

「こういうのって、自分1人で作るものだと思うけどな」


 確かにその通りだ。大掛かりな作業でなければ、全部自分でやりたくなるもの。


 本当の趣味なら、誰かに言われるまでもなく、自分で全部やりきることがほとんどだ。


 意図せずとも常識を疑い、物事の本質に辿り着くところまでがお兄ちゃんによく似ている。非常識な人間だからこそ、常識の矛盾や穴に気づけるのだろうか。


「お兄ちゃんの生態は、いつも一緒にいる私でも分析しきれないの」

「……好きなら好きって言えばいいのに」

「何が言いたいの?」

「女子がガンプラ好きでも、何の問題もねえだろ」

「――仮にそうだとしても、私だったら絶対言えない。ばれたら友達いなくなりそうだし」

「そんなの友達じゃねえだろ。俺だったらさ、自分の趣味を全部正直に言って、その上でつき合ってくれる人とだけ仲良くする。中島も江藤もサッカーファンで、たまたま全員が地元プロチームのファンだからって理由でつるむようになったし、同じ趣味の人間を見つけて仲良くなればいいんじゃねえか?」

「……オタクには深い事情があるの」


 世の中は浅尾君が思うほど単純じゃない。人の心ほど複雑怪奇なものはない。


 法律違反ではないが、ポピュラーでない趣味を晒し、オタクと見なされればアウトだ。


 某連続殺人犯がアニオタであったとマスゴミが大々的に報道した影響なのか、相手がオタクと分かっただけで目くじらを立てる人が増加したのだ。犯罪者予備軍と見なされる以上、名乗れるような状況ではないのだ。オタクが市民権を得るには、事件後20年ほどの年月が必要だ。愚者の洗脳が解ける最低必要年数である。中には一度染みついた価値観を死ぬまで変えない人もいるが、大半は目を覚まして過去の過ちに気づくか、全く新しい価値観に変わっている。


 世を変えてみせようと思うのがお兄ちゃんなら、世が変わるまで待とうと思うのが私だ。


 お兄ちゃんのコーヒーオタクは、世にウケなかったばかりか敬遠された。


 理由は子供らしくないからだ。私がガンプラ好き及びミリオタを公表すれば、女の子らしくないという理由で迫害を受けるのが目に見えている。持って生まれた属性に沿った特徴を示さなければ、仲間として認めてくれないこの国の人たちに対し、心を開かないお兄ちゃんの気持ちが手に取るように分かるのは、きっと私もそのことに気づいているからだ。


 人によると言われればそれまでだが、人によると言えるパターンに遭遇したことがない。本物のオタクは正体を隠すもの。故に尚更みんな同じに見える。受け入れるふりをして悪意のない迫害を行うのがこの国の習性だ。悟られることはあっても、市民権を得るまでは誤魔化す必要がある。


 お兄ちゃんという隠れ蓑がなければ、趣味を実行に移すことさえできなかった。


「どんな事情があるか知らねえけどさ、自分に嘘を吐いてたら、本当の自分がいなくなっちまうぞ」

「何でそこまで私の心配をするわけ?」

「心配とかじゃねえよ。放っておけねえんだよ。昔の和子さんによく似てるからさ」

「!」


 昔の和子さんがどんな人生だったのか、たった一言で何となく分かってしまった。


 小学校教師になり、社会人として身を固めたと言えば聞こえはいいが、それで一体何がいけないのだろうか。ますます謎が深まった。一度和子さんに会ってみれば、分かるかもしれない。


 夕方までサイバーモールを回ると、入り口付近で解散する。浅尾君も買いたい物が買えて満足だったようで、傍から見れば立派なデートだが、これでどうにかなるのだろうか。


 私の頭の中は、鮮やかなチョコレート色で染まるはずだった。


 しかし、最後は和子さんを象徴する深緑だった。

読んでいただきありがとうございます。

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