21粒目「ミルクチョコレート」
ヤナセスイーツでの接客は多忙を極めた。
優子さんは急いで仕込みを始めたこともあり、ケーキは売れに売れた。
皮肉にも藤次郎さんが倒れたことで、ヤナセスイーツが話題になる。話題が続くのは数日程度、それまでに次の一手を打たなければ、ヤナセスイーツは倒産のピンチを迎えることとなる。数多くの飲食店があったが、今ではその多くが大都市に引っ越したり、倒産したりしている。
「はぁ~、どうしよう~」
頭をがっくりと下に向ける優子さん。しかも椅子に座っている。
客足が落ち着いているとはいえ、ここまであからさまに疲れを見せている優子さんは初めてだ。
心配になって近づいた私に優子さんが気づくと、また立ち上がって私を見下ろすと、何事もなかったかのように口角を上げてみせた。すぐに空元気と分かったが、私はあえてスルーしなかった。
「優子さん、どうしたの?」
声をかけると、優子さんは一瞬だけ目線を逸らした。
返事をしていいかどうかを優子さんは迷っている。
何か重大な決断を迫られている時の顔だ。私に話す価値があるのかどうかを吟味し、自分の胸に手を当てながら自らを落ち着かせた。その目は充血しながらも、凍っているように見えた。
「あたし、進学を諦めることにしたの」
「何で諦めるの?」
「大学に行くにはお金がかかるでしょ。お父さんはあたしを大学に行かせるために無理をしていたの。でもその結果、さっき倒れちゃった。あたしがお父さんに無理をさせたようなものだから、あたしが諦めれば、もう倒れずに済むって思ったの」
「特待生制度は?」
「難しい言葉知ってるんだね。特待生は優秀な成績を収めないと受けられないし、あたしよりも優秀な人はいくらでもいる。生活が苦しいから、勉強時間もロクに確保できないし、そもそもあたしが行きたかった大学にそんな制度はないの。他の大学に行ったところで、奨学金制度を利用することになるし、これも卒業したら返さないといけないから、事実上の学生ローンなの。そうなったら余計に負担がかかるでしょ。あたしはヤナセスイーツに就職して、パティシエを目指すことにする。あたしはレールを降りるけど、璃子は降りちゃ駄目だよ」
本当は大学まで行って、親を楽させてやりたい優子さんだったが、力及ばずと目が言っている。
口元は震え、今にも泣き出しそうな優子さんの言葉以上に、苦虫を噛み潰したような顔が、優子さんの全てを物語っている。彼女は大きな壁にぶつかっている。
貧困という、人から選択肢を奪う怪物が猛威を振るう様を、私はまた思い知った。何も悪いことはしていないはずなのに、事実上の罰を受けている。もし貧困者たちに……罪があるのだとすれば、それは自分を守ってくれない弱い国に生まれてしまったことだ。私とて他人事ではない。
優子さんは大学を諦めた。統計によれば、大卒と高卒以下の貧困率には大きな差が出ている。
そして貧困は連鎖する。低学歴の子供は低学歴になりやすくなり、ますます脱出が難しくなる。余程成績が優秀であるか、学生ローンを返せるだけのポテンシャルを秘めていない限り、貧困者が大卒で中流層に上がることは難しい。無論、それは普通に生きようとすればの話である。
レールを降りた先の世界を知りたい気持ちはある。
優子さんは何を思ってレールを降りるなと、私に言ったのだろうか。
「優子さん、藤次郎さんが退院するまでの間、店を手伝わせてもらえませんか?」
「それはいいけど、勉強しなくていいの?」
「こんなことを言ったら怒られるんですけど、授業が簡単すぎて、教科書を全部読んでいたら、今年度の勉強は全部予習が終わってたんです。なので当分は大丈夫ですよ」
「――もし飛び級があったら、今頃はあず君と同じ教室にいたかもねー」
「嫌ですよ。あれじゃいじめを受けるために通学しているようなものです……巻き込まれたくないです」
「あず君は学校に収まる器じゃないからねー」
「中卒の乞食にならないか心配です」
「あたしの見立てだと、あず君は就職よりも、起業を目指した方がいいかも。明らかに職人向きだし、就職なんてしたら、絶対に同僚と喧嘩になると思う。あれくらい方向性がハッキリしてる子だったら、進路を選ぶのは凄く簡単だろうけど、何が得意なのかがちゃんと分かってないと、選択肢が多くなったところで、余計に迷っちゃうよね」
想像を膨らませ、笑いながら優子さんが言った。
選択肢が狭いとは、選びやすいということでもある。
そのためには自分で選べる人間になっておく必要があるのではないかと、心の中で呟いた。しばらくは退屈せずに済みそうだが、これも束の間の安らぎなのかもしれない。
「ねえ璃子ちゃん、あず君が璃子ちゃんのチョコレート、滅茶苦茶美味しいって言ってたよ」
「あー、あれはバレンタインの時、不甲斐ないお兄ちゃんにシンパシーを感じて作ったんです。ミルクチョコレートを作ったんですけど、お兄ちゃんの口に合ったみたいで――」
「ミルクチョコレートっ!」
飛び上がるような声を発する優子さん。
「えっ……どうしたんですか?」
「ミルクチョコレートであず君を満足させるって難しいよ。ねえ、作ってみてよ。材料ならあるから」
さっきとは打って変わってハイテンションだ。
クローズキッチンに私を連れていくと、ミルクチョコレートに必要な材料を一通り用意してくれた。
私は夏芽の家でチョコレートを何度も作っていた。夏芽と冬美にも手伝ってもらった。2人はすぐに飽きてしまったが、私は飽きることなく、作れば作るほどに、好奇心が湧いてくるのだ。
冷え切ったチョコをカプッと口に頬張り、綺麗な音を立てながら食べるのが癖になった。いつしか自分で作ってみたいと願っている内に、何度も意欲的に作ってしまっていた自分に驚いた。ケーキを作るよりもずっと楽しいと思っている自分がいる。
私はずっと自らの興味に蓋をしていた。そのことに気づかされるかのように、私は時間を忘れてミルクチョコレートを作った。材料が違うため、お兄ちゃん用に作ったミルクチョコレートとはまた違った味わいだが、あの時よりもずっとうまく作ることができた。
ミルクチョコレートの歴史は、19世紀のスイスに遡る。ミルクチョコレートと呼ばれるものは存在したが、チョコレートドリンクに牛乳を加えたものが一般的だった。スイスのショコラティエ、フィリップ・スシャールが、カカオと砂糖を混ぜる撹拌器を発明したのをきっかけとして、1847年を迎えると、イギリスでは飲み物とされていたチョコレートを食べ物へと変化する技術革命が起こった。一説によれば、薬剤師であったアンリ・ネスレが粉乳を開発し、1876年にはスイスのショコラティエ、ダニエル・ペーターによって初めて固形のミルクチョコレートとして売り出されたとされている。子供向けに作られた商品だったが、やがて老若男女を問わず売れる定番商品となっていった。1918年には日本でも発売され、1920年代から1930年代にかけて日本国内にも普及した。
しばらくして冷やし固めたミルクチョコレートが冷蔵庫内で完成すると、優子さんが大きな冷蔵庫から冷え切った明るい茶色のミルクチョコレートを取り出し、一口だけ口に放り込んだ。
バリバリと心地の良い音が、優子さんの口内に響き渡る。
「……! ――これ、凄く美味しい」
「本当ですか?」
「うん。璃子ちゃんは『ショコラティエ』に向いてるかもねー」
「ショコラティエ?」
初めて聞く単語に、私は首を傾げた。カッコ良い言葉には敏感だ。
「チョコレート職人のこと。チョコレートで色んな商品を作る人で、世界大会もあるんだよ」
私はゆっくりと頷きながら聞いていた。
フランス語でチョコレート職人。パティシエの親戚にあたる職業であり、数多くいるパティシエの中でも、チョコレートに精通している人への呼称である。
パティシエ兼ショコラティエの人も数多くいるため、洋菓子職人と一括りにされてしまうことも少なくない。だが私の場合、その差が顕著に表れている。ケーキはいまいちだが、チョコレートは夏芽の家で何度も作っていたこともあり、ムラのないチョコが作れるようになっていたのだ。
まだまだ基礎知識を得たばかりだし、仕事明けの休日に趣味として楽しもうと考え、何か1つ得意なものを作りたい一心で始めたものだ。お兄ちゃんは得手不得手がハッキリしている分、得意分野はすぐにトップレベルに到達するし、傍から見ても分かるくらいに目標も明確だ。
私には苦手分野というものがない。良くも悪くもバランスタイプだ。
対人関係自体は問題なくこなせるし、家に引きこもってやるような仕事も得意だ。
苦手科目は特にない。というか苦手を作らない方向で勉強を続けてきた。図工も体育も家庭も音楽も卒なくこなせた。勉強も運動もそれなりにできるし、通信簿にも、頑張りましょうが1つもなかった。意図的に普通の成績を作っていた。本気を出せばオール満点の通信簿にすることもできるが、それをやると角が立つことを私は知っている。お兄ちゃんの通信簿には、頑張りましょうしかない。意欲を持って協調性を育みましょうと毎年書かれているが、お兄ちゃんにそれを言うのは無駄に等しい。
目的がハッキリしている人間にとって、学校が邪魔でしかないことはお兄ちゃんを見れば明らかだ。今すぐにでも不登校になって、バリスタとしての技能習得に努めた方がずっと生産性が高いことは私にも分かるが、お父さんとお母さんは一向に認めようとしない。
「璃子ちゃんはそういう仕事に興味ある?」
「はい。お兄ちゃんにチョコレートをプレゼントした時、凄く喜んでくれたのが嬉しくて、自分の作った作品を見た人を喜ばせる仕事がしたいって思いました」
「じゃあ、璃子ちゃんさえ良ければ、あたしの推薦で良い所紹介してあげる」
「良い所って、ショコラティエとして勤めるってことですか?」
「うん。あたし、色んなパティシエの知り合いがいてね、ヤナセスイーツが潰れたら、知り合いのお店に就職することにしてるの。大学に行けなかった時の最終手段だけど、まさか使うことになるとはね」
優子さんがまた息を吐くと、再び私と視線を合わせた。
「ショコラティエ……私、やってみたいです」
「但し、それは璃子ちゃんが就職レールから外れちゃった場合の話だよ。基本的には大学まで行って、大手に就職した方がずっと賢明だよ。人生の選択肢が広がるし、ショコラティエになりたいなら、大手製菓会社に就職して、仕事をしながらお菓子の勉強をして、十分に資金を貯めてからお店を開いても、遅くはないんじゃないかな」
「……そうですか」
思わず下を向いてしまった。床は隅から隅まで掃除が行き届いている。
優子さんたちが掃除を徹底できるほど暇な時間が長いのだ。そんな状態が続いたことで、優子さんはヤナセスイーツの将来までを見越してしまっている。藤次郎さんが復帰したとしても、営業時間が短くなるのが関の山と言ったところか。しかも夜からは優香さんは藤次郎さんの代打として仕事に向かうことに。このままじゃ優香さんも倒れてしまうと悟った優子さんは、自ら進学を断念したのだ。
優子さんが私に勧めた道は、本来なら優子さんが歩むはずだった道だ。
「優子さん、今日はもう上がります」
「あっ、ちょっと待って」
優子さんが私を呼び止め、レジからお金を取り出した。
千円札3枚を握りしめると、私の手を掴み、手の平に置いた。
優子さんの手は冷たく、生気を失っているようだ。特に病気というわけではなさそうだが、少しばかり嬉しそうな顔を浮かべた。優子さんは就職レールから外れたことに複雑な想いを抱いている。予定よりも早くパティシエになれる一方で、親を楽させることはできなくなった。
正規雇用でパティシエになることもできるが、家計を支えるほど稼ぐには足りない。
「これ、今日の分の時給」
「えっ、そんなの貰えませんよ」
「何言ってんの。たとえ子供であっても、労働した分は払うのがルール。うちは時給1000円なの。璃子ちゃんは今日だけで3時間ほど働いてくれたし、体が小さいから、持ち運びとか大変だったと思ったけど、結構タフなんだね。息を切らしてないし、スポーツをやってたら、金賞取れたんじゃない?」
「そんなことをしたら嫉妬を買います。目立ってしまったら最後、世間から殴られます」
「璃子ちゃんはあず君とは対照的だけど、殴り合う経験をしないまま、社会に出ると苦労するよ。璃子ちゃんは学校で普通の人を装って、ひたすら目立たないようにしているみたいだけど、別に殴られたってさ、殴り返せばいいじゃん。自分を大事にしてくれない人に嫌われたって、痛くも痒くもないよ」
「……そんなんじゃないんです」
優子さんは私の迷彩戦略が教室内で効いていることを意図せず知る。
葉月商店街には、私の立ち回りを知る者もいる。優子さんのように。
優子さんは葉月商店街では1番の情報屋だ。誰かの噂はすぐに分かる。
私の場合、噂にならないことが、逆に怪しまれる要因となった。私のクラスメイトだった人たちの中にはヤナセスイーツの常連もいる。優子さんが言うには、私がクラスにいること自体を忘れていたと、みんな口を揃えて言ったんだとか。それで迷彩戦略に気づいたらしい。
教室内を歩く時は足音を立てないし、極力発言はしないし、必要がない時に誰かと話しかけることもない。服装はいつも机の茶色に合わせている。背景に溶け込んでさえいれば、誰も気づかないことを私は知っている。最初の自己紹介から1ヵ月も経てば、クラスの誰からも認識すらされなくなる。
たまに誰かが話しかけてくることがあるくらいで、保険で最上位グループに入る必要もなくなった。
私はようやく、そこにいるけど、そこにいない存在になることができたのだ。
殴り返したり嫌われたりするのが怖いんじゃない。頭の悪い動物の仲間入りをするのが怖いのだ。
下手に挑発に乗ってしまえば、丁度良い遊び相手だと思われ、継続的ないじめを受ける。殴り返して問題を起こせば評定が下がるし、先生に目をつけられてしまえば、進学先で不利になる。故に相手にしないのが最も無難な方法である。社会性は身につけた。勉強もある程度習得した。
だからもう、早くショコラティエ修行をさせてほしい。
「璃子ちゃん?」
「優子さん、社会に出たら、どの道苦労すると思います。なので……せめて学生の時くらいは、平和に過ごしたいんです。友達とはうまくやってますから、大丈夫です」
「ふーん、確か夏芽ちゃんと冬美ちゃんだっけ。いつも一緒にいるよね」
「学校の外では……ですけど」
「特に夏芽ちゃんからは相当信頼されてるみたいだね。結構懐かれてるし、よっぽど璃子ちゃんのことが気に入ってるみたい。冬美ちゃんのお店も行ってみたいなー」
「じゃあ今度紹介しますね。冬美も喜ぶと思います」
優子さんと話した後、私はヤナセスイーツを出た。その直後、優香さんが仕事のために外に出た。
私は咄嗟に隠れた。優子さんは優香さんといつものように外で雑談を始めた。
「優子、璃子ちゃんのチョコレートの腕前はどうだったの?」
「まだまだプロには程遠いかな。見た目はともかく、味にムラがあったからねー」
「!」
私は深く傷ついた。1番自信のあったチョコレートの現実を突きつけられた。
美味しいと言っていたのは、優子さんの優しい嘘だった。表情を見れば、嘘かどうかなんてすぐに分かる。だが優子さんは演技派だ。内に秘めた思いをそう簡単には表に出さない。
夢を見ていた私は、いきなり現実を突きつけられた。
「でもテンパリングは完璧にできていたの。初心者であそこまでできる子はなかなかいないよ。原石の大きさだけで言えば、お父さんとお母さんの教え子たちを遥かに凌駕してる。あれは鍛えたらどこまでも伸びるかもねー。もっとも、本人にその気はないみたいだから、就職を勧めておいたけど」
「えー、勿体ないなー。引き取って育ててみたいけど、大事なのは本人がどうありたいかだもんねー」
「そうそう。でもまずは就職でいいと思うよ。職人は成功する以外に選択肢がないから」
――優子さん、ちゃんと良いところも見てくれていたんだ。
私は自分の中に大きな可能性を見た。あの優子さんが認めてくれた。
まだまだ腕前は足りないが、鍛えれば伸びるということなら、就職レールが駄目だった時の保険としてのショコラティエであれば、まだありかもしれない。
優子さんが言いたいのはそういうことだ。現時点では就職レールの方が、ずっと稼げる確率が高い。夢を目指すのは一度折れてからでも遅くはない。実力と資金を蓄え、大人になってからショコラティエを目指すのが現実的なプランだ。問題は進学できるかどうかだが、高卒でもOLになることはできる。
つまり、あと7年も、あの動物園のような生活に耐えなければならないのだ。
そんなことをしている暇があるなら、就職するまでの間はショコラティエの修業を受けたい。どうせ就職した後で必要になるスキルは就職するまで習得させてはもらえない。だったら学生の内は好きなことをしよう。学生時代は社会に出るまでの猶予期間だ。優子さんの決断が教えてくれた。
しばらくの時が経ち、藤次郎さんは無事に職場復帰を果たした。
仕事の掛け持ちは続けるようで、店の仕込みは優香さんと優子さんが主体的に行い、優子さんは大学には行かないことを親に告げた。高校よりも店を優先するようになったが、成績は良かったため、どうにか卒業は確定させた模様。安定した就職はできなくなったが、優子さんなら生きていける気がする。
2学期はチョコ作りに打ち込んだ――。
利用できる資源は全て利用した。夏芽の家で何度もチョコ作りをさせてもらい、夏芽と冬美の2人も快くつき合ってくれた。夏芽は私がショコラティエになった時の制服をデザインし、冬美は酒処藤倉のメニューを増やすきっかけとしてチョコ作りを始め、うまくいけばデザートメニューが増えるらしい。
夏休みの自由研究は、スイーツ関係の研究にしておくことで、中学卒業まではどうにか誤魔化せる。
私の中で学校に対する見方が変わった。苦しむために行くのではなく、ツールとして利用するために行くものだと解釈し、他の生徒たちとの交流は動物のいなし方を覚えるものだと割り切った。社会に出た後も、同僚やお客さんの中には、動物のように吠えてくる人たちがいる。
冬休みを迎え、宿題をすぐに終わらせた。この時期はクリスマスプレゼントがもらえるし、正月にはお年玉もある。子供によっては夏場よりも冬場の方が好きな人もいるんじゃなかろうか。2月にはバレンタインデーもある。お兄ちゃんは学校に行かなくてもいいという理由で8月を好きになっているが、私は堂々とチョコ好きを名乗れる2月が好きだ。早く迎えたい。
3学期を迎えると、私たちは小6の卒業式につき合うことに。
来年は私が卒業生たちの席に座っている。どちらかと言えば嬉しさの方が大きい。
社会に放出されるまでの時間が一刻一刻と迫っているというのに、生徒たちは呑気に遊びながら過ごしているのが滑稽だ。学校の勉強が社会に出た後、ほとんど使わないことは分かった。学習するだけなら家でもできることはよく分かったし、残り7年はテキトーに周囲を誤魔化しながら過ごせばいい。
大人になったら一生会わない人たちだ。大切にするべき関係ではない。
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