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電柱元の影

作者: 原田かこ

年の瀬の話だ


比較的暖かな冬でとっぷりと日が暮れて月明りに照らされる帰路を歩んでいた。


駅前で購入した食材の重たさに手を変えながら進む。


左折すると細い通路は家まで続く。


広い道から比べると街灯が減って暗い印象だ。


明るさが足りず足元しか照らさない電柱の下に人影があった。


穴の中のように黒い影は立ったりしゃがんだりしている。


何をしているのか不審に思った。


近づくと小太な女性の影に見える。


そうか、犬の散歩か。


犬が用を足してその始末をしてるのだろう。


納得した状況は数歩歩くことで覆された。


犬はいなかった。


立ち尽くしている女は近づいても黒い影のままだった。


ああ、。


魂になった人の姿か。


驚きも畏怖もなく電柱を通り越す。


相手に気づかれなければ問題は起きない。


肉体を持つ者と肉体を失くした者の隔たりは深い。


通り過ぎる頃には女は消えていた。




次の日、休日の朝。


洗顔をしていると、外でグランドゴルフ帰りの老女の集団の大きな話声が響いている。


昨日、急逝した女性の話を小さな窓ごしに聞いた。


死んだ人も通り沿いで細い通路を使わないと広い道に出られなかった。


電柱下の影はその人の物かはわからないが、今日まで見かけることはない。

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