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百合の花と母を思う。

作者: 織花かおり
掲載日:2020/06/29

背の低い母が心を込めて育てた百合の花。

皆さんだったら、どんな思いを抱き、なんと言葉をかけるでしょうか?

パソコンで文字を打っていると、疲れる。

目が辛いな、ひじが疲れたな、休憩して飲み物でも飲もう。

そう思った時。

ふわりと百合の香りが漂った。

高貴な女性を思わせる、強いようで優しい香り。

そうか、百合が咲く季節か、そう気づいてふっと笑う。

背の低い母が、一生懸命育てた百合。

どうして、庭で咲いている時点で気づかないのか、自分の鈍感さが嫌になる。

一つ一つ花が咲いて、母が花瓶にいけたのだ。

見に行くと、黄色、ピンク、赤紫、と本当に美しかった。

花の香りは、何のためにあるのだろう。

以前、小学校の教科書に掲載されていた話に、蝶は色で花を見分けると書いてあったが、確かだろうか。

しかし、たいがいの昆虫は、きっと百合の香りに惹きつけられるのだろう。

人間である私も惹きつけられた。

でも、私を惹きよせても、百合にメリットが何もないことが大変申し訳なく感じられた。

人間は、花によって心に潤い、癒し、幸せ感など大変好ましい感情を抱かせてもらう。

それなのに、私ときたら、花瓶の水さえ取り換えたりしていない。

私も何かお返しがしたかった。

だから、心を込めて言った。

「ありがとう。とてもきれいよ」

もっと何か言いたい。

でも、世話をしたのは母だ。

おいしい所だけをつまむようで、私はまた申し訳なく感じる。

だから、母に心を込めて言った。

「百合、とてもきれいね。ありがとう」

それでも、足りない。

どうしてこんなに健気に咲けるんだろう。

どうしてこんなに人の心を打てるんだろう。

どうして何も言わなくとも、花と母の愛は伝わるのか。

いつか、百合に心底納得いく言葉が返せる日がくるだろうか。

そして、決して若くない母にも。

百合を思う。

母を思う。

できること、ひとつずつ。

百合が一輪一輪咲くように。


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

何か感じたことがございましたら、感想などいただけましたら幸いです。

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織花かおりの作品
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総合ポイントが高い順
作成:コロン様
― 新着の感想 ―
[良い点] 私の母と重なりました。母は若い頃華道を習っていたので、花を生けるのがとても上手なんです。いつも庭の花を生けてくれて。「百合の花と母を思う。」って、私にも身近な話題で「ありがとう」と思う気持…
[良い点] 植物に想いを寄せて表現するのに感じるものがありました。母子の関わりに感謝を伝える姿は素晴らしいことだと思います。 [一言] 我が家にも百合は咲いています。そこに美しさを読み込むのは人の営み…
[良い点] 百合の花は、球根を植えてから咲くまでに、9~10ヶ月もかかるので、育てるのに根気が要りますよね。 途中で、水不足とか水のやり過ぎ、肥料のやり過ぎとかをしてしまうと、綺麗な花を咲かせること…
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