表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

戻ってきたあの頃

 朝、ふと目を覚ます。

 見慣れた天井を見上げている俺。身体がものすごくだるい。毎日、夜遅くまでゲームや本を読んでる所為だな。でも、やめられない。

 

 昨日は、本を読んでる内に寝落ちをしたんだな、本が横で添い寝をしてるはずから。きっと.......


 太陽の光を浴びて身体を起こすと周りにはラノベのタペストリーなどが飾ってあるはずなのだが、違和感に襲われる。自分の部屋なのに自分の部屋じゃない異様な感じが周りを見てみるとその違和感の正体が明らかになった。

 あれがないのだ。目の保養にもなってる大切な物が...........

 

 「ない。俺が執念で集めたタペストリーがない!」


 そう、俺の部屋の周りは普通の人が見ればドン引きするほどのタペストリーが

 大量に飾ってあるのがだそれがないのだ。これは一大事、本当に!

 とある時期から活字にはまり、そこからは文庫からライトノベルまでをしっかり読むまでになってしまいライトノベルの特典でもあるタペストリーが欲しくなってしまった。


 ここ数年でにわかではあるものの俺の収集癖が半端ない為、結果的に部屋全体がタペストリーだらけになってしまう。完全に2次元の部屋になっていた。


 もともとは、2次元大好き人間でもあったのだが別な趣味で段々と2次元から離れていたのだがライトノベルを読むようになってからはまた2次元好きに戻ってしまったのだ。


 どうでもいいことだが自分には弟がいるがしっかり自立して家を出たため、弟の部屋までタペストリーが飾ってある。実家にいる俺は自立していない。


 よって、弟の部屋は俺の完全な趣味部屋と化している。


 本来の趣味は別にありそれが俺の今の生きる道の大半を占めているが徐々に別な趣味の浸食されている。

 でも、本来の趣味が夢でもある為、浸食されるわけにはいかないのである。しかし、よく見ればいつもと違う違和感を覚えた。


 それは、タペストリーではなくサッカー選手のポスターと好きなアーティストの

 ポスターが貼られていたのだ。

 

 当時は、サッカーを心から楽しんでいた人間だったから。気づけば朝から晩までとにかくサッカーのことだけしかなかった。その時期といえば今からもう13年前の俺の部屋がそうだったからだ。

 13年前って分かる理由は簡単で目を覚ます前の年齢が30の三十路だからだ。

 

「な、なんで?嘘だろ、これって夢......なのか.....」


 どうしてこうなったのか自分でも理解できなった。何故、この時に戻ってきてしまったのか。いや、この時に戻った夢を見ることになったのか?

 

 夢なんだって思うことにしたけどそれでも不思議な感覚は変わらない。

 身体や思考、今の記憶がある。そして、自分の思い通りに動くもんだから一瞬、戸惑ってしまった。

 

 しかし、今の記憶を利用することは出来ないけど記憶があるっていう程度のようだ。なので、喋っているのは当時の俺のままだと言うことになるのだ。当然すべてを覚えてる訳でもない、大事な事は覚えてるが日常のことなんて覚えられるほど頭は良くないのだ。よって、場合に応じての言葉の変換は出来ないようだった。


 けど、この夢を見てる以上はきっと何かあるだろうと頭をフル回転させると一つの仮説が出てくる。今までは、夢だけを見て眺めているだけだったのが今回は身体も思考も働きもする。

 今の記憶もあるのに今の記憶は利用出来ないってことになる。意味の分からない状態だけど。っていうか記憶というか気持ちが残ってる感じである。


 後程、分かることだがどうやら未来を大きく変えない程度なら言葉を言い換えることが出来ることが分かった。しかし、行き着く結果だけは変わらないって知ってしまった。


 ということは俺ができることは、俺と彼女の大事な出来事の後から彼女の卒業の少し後くらいの間をもう一度自分のやりたかったことが出来るということなのかもしれない。


「こればかりは色々やってみないと何とも言えないか。それなら学校に行くのが一番だよな、なんせ今は学生の訳だし」


 考えてみたら、当時の時でも最高の思い出には変わりはないけどもっと彼女の為、自分の為に出来たことがあったのではないかと思う。その頃でも十分すぎるほど出来ていた気もするけど。


 どうせ、醒める夢で現実に戻ればそれすらも単なる過去に過ぎない。いい思い出に少しだけ色が付いたようなものだろう。ならば俺が自分の為、彼女の為になるようにしようと思ったのだ。ただ、この夢がどこで醒めるのか分からないのが痛いところだが....予感だが、最後まで見る気がする。


「あれだけは、そう何度も見たくないんだがな」


 そんな言葉が口からこぼれた、この言葉の意味はそれぞれが理解してもらえると助かる。良い意味なのか悪い意味なのか?両方とも捉えられる言葉だろうから。


 「そういえば、昨日はラノベ読みながら寝落ちしたんだろうなきっとそうだ」

 

 読んでたのもタイムリープのラブコメ系だったし、この時ってことはそうゆうことだよな?本当になるなんて思っても見ないよ。俺にどうしろと?


 読んでいた本のストーリーは、主人公がある時に戻って間違っていたor間違えそうになってる所を変えていき、主人公とヒロインが本来なら結ばれないはずが戻ることによって結ばれてハッピーエンドになるストーリーである。


「俺に同じことをしろって言うのか?どう考えてもあり得ないし無理だけど。だが『あの頃』をもう一度思い出せってことか。確かにここ最近は完全に怠けていたからな。それを正すためってことになるのか。もうすぐで10年経つのにな」

 

 この戻ってきた時が一番恋愛をして、人生の絶頂期と言っても過言ではない時期だったのだから。

 この時は、本当になにもかも全力だったな。自分が驚くくらいに。


 とりあえず、自己完結してスマホを見ようとするがスマホがないっていうよりもそこにあったのはスマホではなく。


 「ケータイか」


 流石にこの時にスマホがあるのはおかしいと思い、ケータイを手にする。


 「懐かしいな、今じゃほとんど見ないのに。メーカーがIDOって」


 余談の余談だが、IDOとは現代社会の言えばauの前々の名前である。この後に

 KDDIからauとなるのだがどうでもいい話だったな。

 どうやら本当にあの頃のようだ。これを見てしまったらいい訳のしようのない。


 久しぶりに見て触ってせいかケータイをパカパカ開けたり閉じたりして遊んで

 みた。


 この時のケータイはやっとインターネットが普及した頃で着メロやストラップの大量付けが流行っていた時期でもある。俺も色々やってもらったな...懐かしい。


  「今見ると違和感しかないわ」


 ある程度、遊び終えてケータイの時間を見ると8時を回っていた。今日って学校

 だよね?日付と曜日を確認すれば勿論、へ・い・じ・つなので。


 「あ、もう遅刻確定じゃん」


 そう言いながらも呑気に着替えをしている自分がいた。そして、親に怒られるルーティン。焦ってることなんてなかったもんな本当に。


 日常かつ平常運転。むしろ、遅刻しないで登校することが異常なのだ俺の場合は

 そんで、もう遅刻って分かることがある。


 それは、学校に行くための電車の発車時刻である。

 俺の学校は大変面倒な場所にあり、尚且つ電車の本数が少ないのと時間によってはとある大企業に向かってしまうためである。

 学校に行くまでに最低40分は掛かるのでよって遅刻が確定するのである。

 

 なので、遅刻が確定した日には3日に1回はファストフード店で買い物して片手に学生カバンではなく週間誌とファストフードと遅刻の紙の3点セットで教室に入る

 流れになっていた。先生にはとっくに呆れられている。


「今日も遅刻ってことはいつも通りだな」


 なんて、アホなことを言っているが本当のことである。

 1年で遅刻回数が150回越えしており、遅刻するのが当たり前となっていた。

 ちなみに、登校日数は216日なので1日おきで遅刻してる計算になる。


 正直、大学進学とか興味ないので別に遅刻しても内申はどうでもよかったのだ。

 高校なんて卒業できればいいやなんて思いだった。

 

 あ、自己紹介忘れていた。


  俺は、志村一彦。県立の高校に通うごく普通の高校2年生である。

 県立の高校と言っても一番下と言ってもいいほどの高校なのでほぼ誰でも入れる気がする。余程のことをしていない限りは滑り止めで入れると聞いてる。


 容姿は至って普通。頭は当然悪い。存在も薄めで見事な3重苦である。今更自分を自虐しても意味もないが.........こんなだから彼女が出来ないのである。


 「俺でも入れるんだもんなー」


 なんて軽口を言っているが事実である。軽口を言っているが実際のところはそんな陳腐なことで片付けられる事ではなかったから。


 小・中と暗黒期いじめとひきこもりしていたので勉強は全然だった。もとより頭は全く良くないから行ってたとしても大して変わらない気がする。

 

 受験勉強の際に親から冬なのにやかんで水をかけられたこともあった。それを酷いとは思わないわけではないがそうなる気持ちは分かる。

 

 そんなことがありながらも入学できたのはやっぱり嬉しかった。なんせ、普通の人は滑り止めで済むが俺の場合は、滑り止めどころかここしかなかったのだから。

 そこまでして入ったのだから、嬉しくないって言ったら罰が当たるだろう。

 

 でも、意外と高校生活は楽しかった。9年間が嘘のようだった。


 地元の人間が9割いない分、周りが人達がいろいろ変わった人ばかりで面白く

 ちゃんとした会話が出来ていた。


 そうして、1年が経ち2年生になった。俺に一陣の風が吹いたのが分かった。それは俺のこれからを変えてくれる風のような気がした。


 そして、ここからが本当の物語の始まり。恋が愛になりそして…始まりがあれば終わりもある。それがどのような結末を迎えるのか?


 ハッピーエンドなのかそれとも........どっちにしても俺にはこれまでには無い最高の時間だったと心から言えるのは間違いないのだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ