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猫の名は。

 仔猫が戻ってくる。どうだすごいだろと言わんばかりに尻尾を左右に振り、少年の方を見つめてきた。

 少年は先ほど手を噛まれているので慎重に近寄った。


「名前はあるのか?」


仔猫は首を横に振る。呼ぶのに困るしどうしたことかと悩んだ。


「俺がつけていいか?」


仔猫は、え、いいの? というような表情をみせ、にゃあと鳴き、頷いた。


「んーーー。名前、名前、せっかくならいい名前がいいな、猫、キャット、キトン、キティ。『キー』なんてどうだ?」


ガブッ


どうやらお気に召さないらしい。また手を噛まれてしまった。痛む手を振りながらまた名前を考え始める。


「『キトラ』なんてどうだ?」


仔猫は嬉しそうに尻尾を大きく振った。お気に召したらしい。


「よし! 今日からお前の名前はキトラだ! これからよろしく頼む・・・」


 少年は話し終わるのとほぼ同時に身体からすっと何かが抜けていくのを感じた。その直後に激しい頭痛と吐き気、眠気に襲われる。気がつくと意識はなくその場に崩れ落ちていた。




 

「ん? 寝ていたのか俺は。なんだこの柔らかい感触は」


 

 少年が目を覚ます。頭の下に温かく柔らかい感触があり思わず触ってしまう。


「妾の足を撫でるとはいい度胸じゃのう」


「えっ?」


「一生眠りにつきたいのかのう」


 女の子は大きく口を開け、八重歯を尖らせガブッと頭を噛んでくる。少年は叫びながら地面をのたうち回った。しばらくし、痛みが引いてきたころ、女の子の方に向き直った。


「それで、お前はいったい誰なんだよ」


「妾じゃよ。お前さんが名前をつけたキトラじゃ」


「俺が名前をつけたのは仔猫のはずなんだが」


「お前さんが名前をつけたことによって、妾はネームドモンスターになったわけじゃ。能力も大きく向上し、人化の魔法を使ってこの姿になったのじゃ」


 女の子は、140センチくらいだろうか。なぜが着物をきこなし、猫耳と尻尾が生えている。残念なことに胸はぺたんこであった。


「お主、今、何か失礼なことを思わなかったか?」


「いや、何も」


 少年は慌てて必死にごまかす。冷や汗を垂らしながら何度も首を横に振った。


「まぁよい、ところでお前さんは名前はないのかい?」


 少年は自分が記憶がなく、名前を覚えていないこと、気づいたらこのダンジョン内にいたことを話した。


「記憶がない、か。普通ダンジョンマスターに選ばれるのは高位の魔人のはずなんじゃが、お前さんはどう見てもただの人間じゃのう。まぁよい。妾がダンジョンについて説明してやろう」


 


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