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強力なモンスター

 

 見たこともないほど美しい仔猫に魅了される。気がつくと彼は仔猫に手を伸ばしていた。


ガブッ


「いてぇ! なにしやがる!」


 彼は仔猫に思い切り指を噛まれた。その痛さに思わず飛び上がってしまう。指を噛まれたことによってはっと我にかえった。

 

「そうだ! 今はそれどころじゃなかった」


 慌ててモニターを確認する。どうやら少しずつダンジョンの中に入ってきているようだ。


「くそぉ、子猫じゃどうしようも無い。DPももう残って無い。ここまでか」


 諦めかけた時、子猫はとぼとぼ歩き始める。そして壁の前に立つと、鳴き声をあげた。



ガガガガガガガガガッ



 部屋中を歩き回っても見つからなかったドアが開いた。

突然のことに驚くが、仔猫は気にも留めづ、進んでいく。




 〇




 どうやら侵入者は男女二人パーティーのようだ。男は重装備に大剣を構え慎重に奥へ進んでいく。女はローブに杖を持っている。おそらく魔法使いだろう。


「ねえ見て、とってもかわいい猫よ」


「おい、気をつけろよ。危ないモンスターかもしれないんだぞ」


 女が近づいてくる仔猫を見つけ、指をさす。慌てて注意するが、女は仔猫に走って近づいて行った。


「にゃあ」


「ほら、大丈夫。とってもかわいらしい猫よ」


 女は仔猫に見とれ、手を伸ばした。


 シュッッ


 仔猫の目が真っ赤に染まったのを確認し終わるころには、既に目の前に姿がなかった。仔猫は大きく跳躍し、女の首を爪で掻き切った。


「え? なにこれ・・・」


 バタンッ


 女の首から血が滴る。首の三分の一がえぐれ、言葉を発し終わる前に倒れて絶命した。男は駆け寄り女を抱き上げた。


「くそぉ! よくもこいつを・・・」


 女の目をそっと抑え瞼を下ろさせる。ゆっくりと寝かしつけた後、仔猫の方を睨みつけた。そして立ち上がり仔猫目掛けて大剣を振り始めた。


「なぜ当たらないんだ」


 ダンジョン内に何度も大剣が空を切る音が響く。右に左に大きく剣を振り続けるが、仔猫にはかすりもしない。それどころか。ひらりひらりと大剣を避けながら男に傷を負わせていった。


 それでも男は大剣を振り続ける。仲間を失った悲しみを振り払うかのように。しかしそんな男の抵抗もむなしく、仔猫は剣をかわし続けた。


 仔猫は剣の振り終わりを狙い、一瞬の跳躍の後、爪伸ばし、大きく前足を振るった。一本の鋭く蒼いかぎ爪が放たれる。かぎ爪は男の首へ直撃し、ストンッと音を立て、首が地に落ちた。仔猫の圧倒的な勝利である。


 仔猫は何の余韻もなく、ダンジョンの小部屋へ戻ってきた。

 


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