真っ白
どれだけ眠っていたのだろう。頭がものすごく痛い。
彼は重い頭を抱え立ち上がりながらあたりを見渡す。
ここはどこだろう。何もない。真っ白な世界。自分はいったい誰なんだろう。名前すら思い出せない。
「おーーい! 誰かいないのかー!!」
返事がない。彼は諦めて慎重に歩き始めた。10歩進んだ時、伸ばしていた手が何かにぶつかる。壁があるようだ。どうやらここは正方形の小部屋のようになってるらしい。彼は立ち尽くすしかなかった。
ブーブーブーブー。
『緊急警報、緊急警報、侵入者の存在を検知致しました。ダンジョンマスターは直ちに迎撃態勢を整えてください』
急にブザーが鳴り響き侵入者の存在を伝えてきた。
「おい! どうしたらいいんだよ!」
『ダンジョンを編集する場合はダンジョンメニューオープンとコールしてください』
「あーもうわけがわからねぇ。ダンジョンメニューオープン!」
壁一面にメニュー欄が表示された。
1.ダンジョン拡張
2.ダンジョン施設増設
3.モンスター召喚
4.ダンジョンモニター
5.ダンジョンガチャ
残りDP100p
「とりあえずダンジョンが見えないと何もできない! ダンジョンモニター!」
彼が叫ぶとメニューの横に、ダンジョンの全体図が映し出された。一本道の先に小部屋がついているダンジョンと呼ぶにはなんとも情けないものであった。
おそらく小部屋が今いるところだろう。入り口にある赤い点が侵入者か。
彼はとりあえず生き残ることを考え、
侵入者を迎撃することにきめた。
幸いなことに侵入者はなぜかなかなか奥に進んでこない。罠がないか警戒しているのだろうか。
「今のうちにモンスターだけでも召喚しよう!」
彼はモンスター召喚の欄を見て呆然とした。現状、召喚できるモンスターはスライムだけなのである。必要DPは10。スライムを10体召喚しただけで尽きてしまう。
他の方法を探す。罠を設置するにしてもDPが足りない。どうしたら・・・。
ダメ元でダンジョンガチャを確認してみる。
ダンジョンガチャは100DPで利用可能。ダンジョン内で利用可能な様々なものが手に入ります。内容は完全ランダムでレアなモンスターが手に入ることも。
「これだ! これに賭けるしかない! こい!レアモンスター!」
真っ白な床に魔法陣が描かれ、モンスターが召喚された。
「こいつは・・・」
出てきたモンスターを見て彼は唖然とした。
「にゃあ」
「ね、ねこ!?」
現れたのは手のひらサイズの小さな猫? のようなモンスターであった。
綺麗な豹柄はとても美しかった。