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断チ切ル世界  作者: 龍狐
一章 プロローグ
3/7

異世界ヘノ旅路

悲しいほどpv伸びないなあ

 終業のチャイムが鳴った。同級生たちは一斉に立ち上がり、一日のうち自分に許された数時間の使い方を話し合っていた。

 当然それは俺たちも例外ではない。浩介は鞄を持って俺の席に来た。


「この後どうする?久しぶりにゲーセンでも行くか?」

「ああ、それもいい……」


 放課後の予定を決めようとした刹那、俺の脳が慣れた感覚を感じた。


「……あー、悪い。用事があるんだ」

「またかよ。なーんか最近付き合い悪いな」

「すまん。また誘ってくれ」


 そう言うと俺は駐輪場まで走り、自転車に乗る。そのまま学校からしばらくの所にあるコンビニの裏に駆け込んだ。


「秘密奪いし異世界よ、現世に混じりし外界よ。我は神に見初められし、こちらとそちらのつながりを解き戻す者なり。口を開けよ……『断界』」


 もはや口に馴染んだ呪文。言い終わると、体から少量の何かが抜き取られる感覚があり、一瞬世界が暗転する。

 そして、それが解けると。


 快晴。

 僕の格好は制服から軽装の冒険者風の格好になり、剣も背中に背負っていた。


「あっちーー……こっちはいつも暑いな」


 俺が裏から家に入ると、ぼさぼさ頭に眼帯の男が現れた。


「ご無沙汰してます、ガラティン師匠!」

「ああ……ご無沙汰も何も、お前昨日来ただろう」


 師匠は後頭部を掻きながら、面倒くさそうに応対してくれた。


 上級剣士ガラティン。俺の師匠だ。初めてこっちに来て右も左もわからなかった俺に、この世界での常識と剣を教えてくれた人で、俺にとってはもう一人の父親のような人だ。


 ちなみに上級剣士とはこの世界の段位のようなもので、冒険者ギルドに行って認定してもらう。上から「伝説級」「国宝級」「特級」「上級」「一級」「二級」「三級」がある。これに剣士なら剣士、魔道士なら魔道士と、役職名が付く。ちなみに僕は一級剣士。自分で言うのも何だが、パーティの

エース、強いパーティの構成員程度には強いのだ。


「で。稽古か?待っとけ。今木刀を……」

「いえ、今日は仕事に」

「……またか?最近多いな」

「まあこんな世の中ですから」


 とはいえ彼はこちらの世界のことなど知らない。ただ「俺も行こうか?」と心配してくれるだけだ。


「今回は何階だ?」

「んー……多分、四階ですね」

「四階……『ビア・デ・ローズ』か。ならばお前だけでも行けるだろう」


 今僕が居る異世界ーーー『断界』には階層がある。何階まであるのかは分からないが、深くなるほど魔物が強くなる。


 ちなみに一階には何も出ない。また、各階には一階に戻るワープゾーンがあって、一階には各階へのワープゾーンがある。もっとも誰かしらが到達した階にしか行けないのだが、それを差し引いてもなんともご都合主義である。


「装備は十分か?」

「あー……剣がそろそろ限界っぽいですね。使えはしますが」

「では買ってこい。金はあるか?」

「ええ。昨日倒したトカゲ男の素材があるので、売れば金になると思います」


 ちなみに師匠は俺たちの世界を知っている。行ったこともなければ内情やらも知らないが、別の世界があり、俺はそこから来ていて、世界を渡ると服装や持ち物も変わるということだけを知っている。頑張って説明した甲斐あってかなり話が早い。


 師匠に案内されるまま質屋へ行くと、それはそれは強そうな大男が立っていた。おそらくこれが店員なのだろう。冒険者ギルドのトップだと言われても信じるが。


「らっしゃい、何か売りたいのかい?」

「このトカゲ男の革を」

「んん?これは……ふむ、鱗が綺麗に揃ってる……ふむ、なかなか良質だな。これならそうだな……これくらいでどうだ?」


 彼が提示した額は剣を一本買うには充分だった。持っている金も加えれば十分に準備ができるだろう。


「じゃあそれで……」

「よし、毎度!……んん?」


 男は顔をしかめてもう一度革を見た。難癖でも付けられるのだろうか。


「ど、どうしました?」

「あー……やっぱこれトカゲ男の革じゃねえな……こりゃあリザードマンの革か」


 俺からすれば日本語から英語に変わっただけだが、何か違いがあるのだろうか。


「買い取り値でも変わるんですか?」

「ああ。リザードマンってのはトカゲ男の上位種だ。トカゲ男は二階に出る弱い魔物だが、リザードマンは六階とか七階に出やがる。価格にしちゃ……そうだな、三倍ってとこか。それでどうだ?」

「え、ええ……もちろん構いません」

「よし、じゃあ決まりだな!いいもん仕入れられたぜ!」


 店員は上機嫌でそこそこの金を渡してきた。慌てて懐に入れ、店を出る。


 武器屋へ行くと、たくさんの剣や槍、斧なんかが売っていた。


「らっしゃい!どれにする?」


 気さくな店員が尋ねる。剣が置いてある一角を見ると、粗悪なもの、造りのいいものなどたくさん種類があったがーーーその中の一つだけ、異質な雰囲気を纏っていた。


「お、それに興味があるのかい?そりゃ魔剣ってやつでよ。なんでも実体の無いものが斬れるらしいんだ。どうだい?」


 俺は黙って値段を見た。俺の所持金のおよそ五倍。


「……これで」

「なんだ、魔剣はいいのか?まあいいや、毎度あり」


 今日は落ちた人を助けた後にもしばらく狩りをすることを決めた瞬間だった。

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