004#一歳
僕は1歳となり、魔力量は5000を越した。
しかし、鍛錬とギフトの中の勉強に打ち込むか、寝るかのどちらかしかしてこなかったのでまだ世情にも疎い。
ただ、言語を習得したことによりお手伝いさんたちや母の会話が分かるようになった。
母の名前はリーリス・ルフォート。お手伝いさんには「奥方様」と呼ばれている。
父の名前はエイジス・ルフォート。部下っぽい方達は「エイジス様」、お手伝いさんには「旦那様」と呼ばれている。
二人とも仲が良さそうで、夜は響く(ナニがとは言わないが)。
妹ができるのはいつかなあ。
*
さて、一歳のスキル儀式について。
まずこの世界の貴族制度については、上から王族、公爵、辺境爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、騎士爵となっている。
そして子爵以上の貴族に産まれた中で、まだスキル儀式を受けていないものがスキル儀式の対象となる。
僕が産まれたのはルフォート公爵家だ。だからスキル儀式を受けなければならない。
ただし、一歳未満のものは来年に回しても良いらしい。もちろん早くスキルを得たい僕は受けるけどね。
また、今年は王女様が同年代にいるらしいので王女様の誕生日の前日に併せて行われるそうだ。
そのため、いつもより時期が半年くらい遅くなって子供も結構な数になるらしい。
*
産まれてから8ヶ月くらい。
俺は、そろそろ目標であった「話せる」が達成したことを知ってもらったほうがいいと思い、母親がいる前で「まーま」と話してみた。
「まーま」
「エルト⁉︎
いま、マーマって言ったでしょ!もう一回言って?」
「まーまー」
「きゃぁ!あなた、あなた来てください!エルトが、エルトが!」
母はハイテンションすぎて単語しか言えない。
「どうした、どうしたん、、、!」
「ぱぁぱ♪」
「うぎゃー。しゃべ、、、しゃべっただと!」
父はいつもの顔が壊れていた。いつも真面目な父からは全く考えられない顔だ。
両親は共に手のつけられない残念な人たちになったが、それは部下の方々やメイドのみなさんも同様だった。
「よーし、今夜はみんなで祝いだ!」
その夜はみんな呑み叫んでパーティをした。もちろん主役の僕も参加。ただ、いつもとほぼ同じ時間に寝た。睡眠時間への配慮があったのだろうと思う。
親達は飲み明かしたらしく、みんな潰れていて驚いた。
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そこからは良くしゃべるようになっていった。
両親とは最初の頃と打って変わってしっかりと意思疎通を行えるようになった。
そこで、目標第2弾をそろそろしようと思ってる。「立つ」という。
まずはつかまり立ちからだ。今度は父親の前で立ってみよう。
「(立つ)」
「はっ。えっ??う、うぎゆゃぁー!!息子が、息子が立ち上がった、だと!
こいつは天才だ!」
そこに母も駆けつけ、
「エルくんは天才なんかじゃない、大天才よ!」
これはもう完璧に。
二人とも親バカだ!これはみないほうがいいな。
周囲より少しだけ早いだけなのに。(半年程度)
お手伝いさん方なら常識的な判断ができるだろう、そう思ってそちらを見ると、
「これで、ルフォート公爵家も安泰ですね。」
とか話してるから騒ぎの中をそっと離れた。