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Re: Port


 どうもこんにちは! 初っ端なんでエクスクラメーションマークつけてみました。

 

 さてさてですね、今日はこの学園の高等部で有名な“あの四人”を調査してみたいと思います。あぁそれとビックリながら、後の筆者のセリフ殆どにエクスクラメーションマーク付いてるんで、そこのところよろしくお願いします。

 

 ちなみに、現在の筆者の肩書きは「新聞部」所属の高等部二年生となっているんですが、不思議なことにこの学園、新聞部なんて無いんですね。宣伝部とか、マスコミ部とかでもありませんよ。そんな部以外なら奇妙な名前をした非公式部活動がたくさんあるんですが、それはまぁいいです。

 

 筆者の肩書きが新聞部でも宣伝部でもマスコミ部でもかまいません。謎だらけで気になっていた“あの四人”にたどり着いて一言でも良いので話しかけることができればそれでいいのです。

 

 この学園は生徒数のわりに教室が多すぎるために、所々に使われていない教室があります。それはもう、A棟の一階の隅っこにあったかと思えば、D棟の五階のど真ん中にあったりします。

 

 あの四人はそんな空き教室の一つを使用しちゃってるみたいなんですね。

 

 あぁ、いいんですよ。許可、というか一言申し出れば生徒は空き教室を自由に使用できるようになっているんです。それはつまり、ゲリラ部が自由に設立できるということであり、新聞部が学園の部活リストに載っていないのに今の筆者が新聞部員なのはそういうことなんでしょう。

 

 空き教室は稀に補習で使われたり、自習室として開放されたりするんですが、そういう時に一時的に使えなくなります。それを除けば、教師が文句垂れるような事をしなければ、実質ずっと生徒の持ち部屋ということになります。迷惑はかけてないみたいですが、まぁ“あの四人”に限って学校側から壮大な苦情がくるような事をするなんてありえないですよね。

 

 さて、前置きのようなものはこのあたりにしておき、取材に行きますか。目的地は「霊能研究会」です。どの空き教室なのかは伏せておきましょう。空き教室の中で特に異様な雰囲気を放っていたらそこかもしれません。なにしろ他にも異様なゲリラ部が存在するのではっきり言えませんが。興味を持った人は自分で探してみましょう。

 

 すいません、気を取り直しますね。いいですか、筆者は怖いもの知らずですからね。とりあえずもう行きますよ。焦って舌噛んじゃいそうですけどね。

 

 コンコン。

 

 扉をノックし、返事を待ちます。

 

「どうぞ」


 と、落ち着いた女の子の声で一言返ってき、その扉をスライドさせて開けます。

 

「ようこそ、霊能研究会へ」


 一歩奥へと進みます。小悪魔的な笑みを浮かべて声をあげたのは、突然現れた筆者に動じずノックに応じてくれたその女の子、霊能研究会の代表である野詠悠さん。

 

 他に目線をこっちに向けてくれた人物は二名。完全無反応な人が一名。その全員がおよそ学校という場に不釣り合いなソファに座っています。校長室にあるものの方が安いでしょう。テーブルを三方に囲んでいるソファの一番奥にいるのが完全無反応少女。代表の野詠さんが奥に座るんじゃないんですね……? 他の三人が二人と一人に分かれて向かい合って座っています。

 

 ソファだけではありません。敷いてあるものから部屋に散らばってるものなにからなにまでえらく高そうです。


 ――こんにちは。突撃取材です、ということなんですが。


 先ほど、空き教室は生徒が自由に使っていいとはいえ、偶に補習教室や自習教室になる、と言いました。他のゲリラ部は教室の中身自体は他の教室と変わりありません。黒板もありますし、それぞれ三十ほどの机の椅子、教卓も端に除けられたりはしますが、存在します。

 

 が、この部屋には教室だった頃の面影が一つもありません。

 

 これを用意したのが全て代表の野詠さんというのだから驚きです。男性恐怖症との噂があるのですが、今のところはそのような様子は見られませんね。

 

「取材?」


 次に声を発したのは、野詠さんの隣に座っている、湊戸灯華さん。かの有名な、湊戸家のお嬢さまです。その人物が筆者に言葉を重ねて尋ねます。

 

 その向かいに座っている弟さん、海星くんが鋭い目つきで筆者を視てきます。


 ――はい。質問に答えて頂けませんか。いくつになるかは話の展開次第でわかりませんが。


「私はかまわないけれど」


 湊戸灯華さん。この人は普段ここにいる時以外はいっつも高等部の女の子たちに囲まれています。それだけ人を惹きつけるものがある、ということなんでしょう。急に乱入して来た失礼な態度を丸出しの僕にも寛容な心を持ってくれていますもん。だからこそ人気なのですね。はっきりと物を言うタイプでもあります。ちなみに、男子にも人気がありますが、取り巻きの女子達がそれを寄せ付けないんですよね。逆に言うと、何故このような場所にいるのかが不思議でなりません。

 

 そうして湊戸さん、そして野詠さんは向かい側の人物に目線を向けます。筆者も釣られてそっちへ。

 

 筆者を睨んでいた視線が変移しその二人へ移りました。ああ……今ので分かる。この人物が四人の中で決定権を持っているんだ……。湊戸さんと野詠さんの対面に座っている人物。その目がもう一度こちらを向きます。


「ん」


 湊戸海星くんが小さく頷かれて、

 

「いい」


 賛同してくださいました。

 

「かまわない」


 湊戸さんの弟の海星くん。灯華さんと違って、海星くんは高等部からの編入組です。この違いはいったいなんなのかも疑問ですが、たぶん深い意味はないでしょう。

 

 湊戸くんは遅刻や忘れ物なんて絶対にしないという真面目な一面、ノリはいい方ですからね。よくクラスでも友人たちのバカなノリにのっかかってますから。

 

 ではでわでゎ……。

 

 これで三人までが登場済みとなりました。筆者は残る一人に標準を定めます。この人が天使じゃなかったら誰が天使なんだ。筆者のことを完全に無視、返事がないのは想定済みです。完全無反応少女、黒宮綺咲さんです。


 ――黒宮さんも、よろしいでしょうか。


 筆者がこの教室に潜入してから一言も発していませんし、筆者の方に向いてくれず、ただじっと真っ直ぐだけを見ている黒宮さん。その佇まいから噂では宇宙からやってきただとか、教室に繋がった次元の歪みから突如現れたとか囁かれています。ソースはオカルト研。

 

「いいわよ。この子が喋らないのはいつものことだから」


 黒宮さんのことをこの子呼ばわりですか。さすがですね、灯華さん。星見さんとの信頼関係が感じられます。相当に仲がいいみたいです。


 ――ありがとうございます。では黒宮さんから。


 筆者が黒宮さんにまず焦点を当てたことで、部屋の雰囲気がピリッと変わった気がします。これは、海星くんのものですね。

 

 やっぱりこの人が一番ただ者じゃない。海星くんはとにかく、極端だ。人にはいくつかの面があるものですが、海星くんの場合、幼な過ぎる面と、今のように高校生離れしている面とがある。そんな感じがする。

 

 それより、黒宮さん本人は、

 

「……」


 ――ただのコミュニケーションだと思っていただければ結構ですよ、黒宮さん。そうですね、では第一問っ。好きな食べ物なんかはございますか。


「……」


 そして黒宮さんに向けて質問する言葉を続けます。筆者がこの教室に潜入してから虚空をただじっと真っ直ぐだけを見ている黒宮さん。


 ――黒宮さんともお話がしたいのですが。


「……」


 ――黒宮さん? 質問に答えてくれませんか。


「…………」


 ――答えて頂けないのでしょうか。


「………………」


 ここまで動作、まばたきのみ。

 

「好きな食べ物は」


「……新鮮な海の幸を食せるものならなんでも」


 あぁ、やっぱり。同好会メンバーの三人とは喋られるのですね。これまでも何人もの学園生が黒宮さんに話しかけて失敗しているのを知っています。

 

 会話をする相手を選んでいる、ということだとしたら、筆者は黒宮さんに嫌われたということでしょうか。もしそうだとしたらもう立ち直れません。あぁ……学園一の美少女に嫌われるなんて。

 

 ここからキャラ崩壊。

 

 なんで筆者が話しかけても無反応なのに海星くんの質問には答えるんだよちくしょょょぉぉぉ。

 

 ここまでキャラ崩壊。


「どうかしたの」


 ――いえいえなんでもないですよ、灯華さん。


 その後も調査を続け、四人(ほとんど三人)に質問を続けていると、重要な情報を漏らさまいと秀逸に返答をくれる中で、段々とわかってきたことがありました。

 

 調査の結論的なものを述べるなら、それは、四人は表向きお互いがお互いを警戒するかのように信頼し合っていないように見せかけ、実際の関係は物凄く強固なもので結ばれているのだということです。

 

 それとペアの組み合わせ次第では、親友同士なパターンもあるということですかね。逆もありそうですが。まるで夜空に浮かぶアステリズムのようです。

 

 一人は僕の対する反応がありませんでしたが、声は聴けました。一応、全員に話しかけるという目標は達成したということにしましょう。

 

 皆さん、今日はどうもありがとうございました。邪魔者は消えます。この調査結果をただちに持ち帰ります。どこに持ち帰るか、それこそ“あの四人”の事以上の謎ってもんですよ。


 ただそうですね……天国……だったりしますでしょうか?


 なーんて。


 それでは、これで失礼します。さようなら。

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