PART16『終幕』
それから数年が経った。
空也は教員、静香は医者を目指して大学に進学した。
賢治は、丸長とともに廃墟地帯を切り開き、新しい病院を設立した。
その病院は表向きには小児科・内科としてだが、病状からストッパー解除の患者が居た時に対処するためだった。それと同時に賢治と丸長はストッパー解除について研究を進めていた。
また、なぜ廃墟地帯に設立したかというと、廃墟地帯の地下で院長がストッパーについて研究を行っている施設が見つかったからだ。丸長は知り合いに連絡し、関連する施設を全て撤去させたのだ。そして、撤去する際にその土地を購入したので病院を設立した。
賢治が抱えていた患者三と呼ばれる少女は野杉優香、機械に入っていた患者二と呼ばれる少女は南風楓という名前だった。
空也は『あしあと』という日記を読んでいたため、名前や当時のことは知っていたが、まさか本人と対面することになるとは思わなかった。『あしあと』に記載されていなかったが、楓の監視役として優香が派遣されていたらしい。もちろん当時は高校生で、崩壊した家庭によって出来た大量の借金を返すために引き受けたらしい。だが、楓が死んだあと、雇い主である院長に抗議した。しかし、元々院長は楓が死んだ後、実験体として優香を捕らえるつもりだった。優香は、楓と同じく足のストッパー解除が可能だったらしい。
『あしあと』に楓は死んだとされているが、なぜか一命は取り留らしい。楓本人は神様が助けてくれたと思っているらしい。
楓と優香は賢治の手伝いをしながら、ストッパー解除の副作用を治しているそうだ。
空也は賢治の病院を訪れた。
空也のストッパー解除は天然発生のため、サンプルとして研究に協力してくれと頼まれている。そのため、一ヶ月に一度病院に行くようにしている。もちろん、空也は自ら協力している。
「いらっしゃい、奥に行っててね」
楓は空也を病院の奥に案内した。奥は研究室になっている。
研究室にいくと、いつも座っている椅子に腰掛けた。
ふと、空也は気になるものを見つけた。
『あしあと』と書かれているノートだった。
静香が拾ったノートは持ち主へと帰っていた。
窓側に置かれている本棚に倒れていた。
空也はそのノートを元に戻そうと手に取った。
すると、ノートの一番うしろのページに見たことのない文が書き加えられていた。
『もうあしあとを振り返らない。私はあゆみ続ける』
ここまでお読みいただきありがとうございました。
まだまだ伏線回収していないところや疑問なところはいつか書きたいなと思います。
もしそういうところがあればコメントいただければ幸いです(Twitterでも嬉しいです)。
『あゆみ』は『あしあと』の一応続きとして書きました。
次回作はまだ何も手をつけてないですが、前作達とは全く関係ない小説にしていきたいと思います。