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#2 出会いと困惑

いよいよ異世界突入!

何でトイレから?

何となく。

自宅の間取り的なもんですね。

「痛っつぅ〜。

ったく、なんだっつうんだよ。」


ぶつけた後頭部を摩りながら遼が目を覚ました。


明るっ!外?

何処だよここ。少なくともトイレじゃないよな。


明るさに目が慣れてきた遼は身体を起こし周囲を見渡す。

四方に大きく高い石柱が立ち、床は石畳が敷かれていてまるでギリシャのパルテノン神殿のようだが天井はない。

上を見上げると蒼く高い空。

周囲は白く小さな花が無数に咲き乱れていた。


「綺麗なとこだなぁ〜、オイ、鈴!起きろ!」


右側で倒れている鈴に声をかける。

が、・・・起きない。

クソぉ、とっとと起きろよ

遼は立ち上がろうと左手を地面に着き立ち上がろうとした。


ふよ


掌にやけに柔らかな感触が伝わる。


ん?柔らかい。石畳じゃぁ

「きゃぁああああああああっっっ!!」


次の瞬間遼の右頬に強烈な平手が飛び、遼の顔が左に捻れた。


「な、何するんですかぁ!ヒドイ!エッチ!バカ ぁ!」


トイレの床から現れた青い髪の少女が膝立ちになって左腕で神官衣の上から大きな胸を隠しながら遼に半泣き状態で罵声を浴びせてきた。


遼は自分の左側にその少女が倒れていて、自分がえらいところに掌を置いたことに気が付いたが、わざとやったわけではない。


「いきなりビンタはないだろ!隣に居るなんて知らなかったんだから!」

「知らなかったらって何してもいいってことにはならないわ!バカバカバカァ〜っ!!」

「遼が悪い。」


いつの間にか倒れていたはずの鈴までもがウンコを見るが如く冷ややかな視線を遼に浴びせる。

「テメーっ、鈴!いつの間にか起きてやがった!」

「遼に起こされた時から。眠かったから寝たフリしてましたぁ。テヘッ!」

「テヘッっじゃねぇ!鈴が起きてたらビンタされずに済んだわっ!」

「えーっ。直ぐに自分の失敗を人のせいにしないの。お兄ちゃんの悪い癖だよぉ〜。お父さんによく言われるじゃん。」

「五月蝿い!」

「あとパンツ上げてよ。お尻見えてますけど。」

・・・・

用足しの途中に起きた突然の出来事ですっかり忘れていたため忘れて遼のズボンとパンツは半分ズリ下がったままだ。

「ノォ〜っ!!」

慌てて遼はズボンとパンツを一気に履き直す。


「あの〜、ちょっといいですか。」

半ベソをかいていた少女が立ち上がり、遼と鈴におずおずと声を掛けた。

「私は、ルル・サ・ファイヤ。ここはクリスタという世界。ようこそ勇者様。」


「「・・・へっ?!勇者様??」」


二人は素っ頓狂な裏返った声を上げた。

「ちょっと、意味が分からないんだけど。」

「何?!クリスタって?一体誰なのお姉ちゃん?」

「勇者ってなんだよ。・・・アレっ?そういやぁトイレで君が喋ってた時、訳の分からない言葉喋ってたのに。今は普通に話せるんだけど?」

「えーっと、順番に説明しますね。まずここは貴方達が住んでいた世界とは別の世界。クリスタという世界です。そしてこの場所は「東域の聖門」

と呼ばれる異世界から勇者様がお越しになられる聖域です。」

「そして、私は勇者様をこの世界にお連れ出来る【神繋ぎ(ゴッドコネクター)】の血を継ぐ者です。」


何の冗談なんだろう。

異世界。

勇者。

ルルと名乗る子が話す言葉に全く現実味が持てない。まるでアニメか漫画かゲームの世界だ。

夢?でもさっきのビンタはメッチャ効いたし。

・・・柔らかかったし。

「お兄ちゃん、変なこと考えてるでしょ。顔変だよ。」

「ウッせ、黙れよ。」

「続けますよ。今クリスタは不安定で非常に危険な状態になっています。何が原因なのかは分かりません。これまでもこの世界が窮地に陥った時には勇者様達を聖門からお呼びして何度も救っていただいています。私は東域の聖門を勇者様の世界と繋ぎクリスタを救って頂くためにお連れしたのです。」

「言葉は、聖門を通過されることで勇者様達が私達の世界の言葉を理解して話せるようになられます。」


遼も鈴も頭は悪くない。そこそこ理解力もある。

しかし、余りにも異常な事態だ。普通じゃない。

普段遼に対し強い鈴だが、本当のところは気が小さい。しかもまだ小学生だ。


「ねえルルさん、元の世界に帰りたい。お父さんとお母さんの所へ帰して。」

「そうだよなぁ、急に世界を救えって言われても良く分かんないし。でもゲームみたいで俺はちょっとやってみたいけどなぁ」

ルルは目を伏せ、ゆっくりと首を左右に振る。

「・・・無理です。ごめんなさい、今は帰せません。」


「え!どうして?!帰せないってどういう事?お兄ちゃんと私を連れてきたのはルルさんでしょ?ルルさんなら連れて帰れるんでしょ?」

鈴はルルに泣きそうな顔で聞き返す。

「今、勇者様が帰ってしまうと、この世界は多分消滅してしまうでしょう。そしてそれはこちらの世界だけではすみません。勇者様達が住んでいた世界も同じく消滅することになってしまうのです。」

「うそ・・だろ。」

未だ信じられない表情の遼がボソリと呟く。

「いいえ、真実です。

この世界クリスタは勇者様達が住んでいる世界「チキュウ」の裏側。

表側のチキュウ、裏側のクリスタ。表が消えれば裏も消え、裏が消えれば表も消える。コインの裏表のようなものです。」

遼がルルに向けて挙手し

「・・ハイ、1つ質問。」

「何ですか?」

「もっと地球には強い人が幾らでもいるでしょ。その人達とタッチ交代って出来ない?」

「お兄ちゃん!たまには良い事言う!!そうだよ。交代交代!へなちょこお兄ちゃんよりムキムキの強い人見つけてきてよルルさん!」

鈴はもうこれで帰れると笑顔になってルルに詰め寄って行った。

「誰がへなちょこお兄ちゃんだよ。」

仏頂面の遼。

ルルは鈴の両肩に手を置き、膝を折って鈴の視線の高さまで顔を下げ、鈴を諭すような優しい声で話す。

「残念ですが、聖門を通過できるのは選ばれた勇者様だけです。勇者の素質がない者はどれだけ強くても聖門を通過することはできないのです。

お二人はチキュウという世界に住む数多いる人々の中から勇者として選ばれたお方なのですよ。」


ま、眩しいっ、可愛いっ!


ルルの優しい微笑みと、こんなに可愛い子から勇者様として迎えられているこの現実。

遼は完全に舞い上がっていた。


ない。

これからの人生もうこんな良い事ないっ!

コレがリア充ってヤツかぁぁっ!

リア充爆発四散しろって今まで言っててゴメンなさいっ!

これからはオレもリア充の仲間入りしまっス!


遼はルルの横へ立ち、鈴の肩に置かれていたルルの右手を両手で握り、


「ルルちゃん、俺はリョウ。こっちはレイ。俺達勇者やりま〜す!」






次回は勇者様の修行編!

リョウのリア充は果たしてうまくいくのか!

「いかない。」(レイ)

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