第1章 勇者は突然やってくる #1トイレと来訪者
皆さん、初めまして!自遊自在です。
この話は、日本全国何処にでもいるような中学生の少年遼と、その妹の少女鈴がいつもの日常から突然冒険の世界へと召喚されて始まる巻き込まれ型の剣と魔法の世界を描く正統派?ファンタジーです。
異世界を舞台に始まる冒険。二人に一体これから何が起こるのか。
どんな人と出会い、冒険を通じて二人はどのように成長していくのか、私にもわかりません。
楽しみです。
対象年齢は低めに設定してあるので出来る限りわかりやすい表現で書くようにしてます。
読者の方がこの小説でいろんなことを感じて、自分を変えることができれば幸いです。
とりあえず、楽しんで読んでみてください!! 自遊自在(-ω-)/
「あー、クっソつまんね。」
居間のソファーに仰向けに転がり、タブレットでヨユーチューブの動画を見ながら遼が愚痴る。
その直ぐ下で妹の鈴は46インチのテレビで大好きなアニメを見ながらため息をついて、また始まった。いつもの遼の口癖だ。と思い、ウンザリした表情を見せる。
今日は日曜日。小学六年生の鈴と中学二年生の遼は家のリビングで留守番中であった。
両親二人は今日も仕事。
父親は犯罪者を逮捕してはイジメ倒すという素敵な悪趣味な癖を持つ刑事。
母親は現在日本の半分を締めようとするお爺様、お婆様達のお世話をする介護のパートタイマー。
なかなか休みが取れない。
結局そのツケは遼と鈴の二人に来る。
何処にも遊びに連れて行って貰えず、二人ともが自分の好きなことをして過ごしていたが、流石に2時間も同じ体勢で動画を観ていることに飽きてきた遼だった。
「じゃあ勉強でもしたら。」
鈴が意地悪く呟く。
「うるせ〜 折角剣道部も休みなんだからノンビリさせろよ。お前は中学生の忙しさを知らんからそんなことが言えるんだ。俺は塾もあるし部活もあるし拳法もあるし大変なんだ。お前は良いよな、ヒマで。」
「私だって公文も英語もあるし拳法だってあるじゃん。ヒマじゃない!!」
「あっそ。」
いつものやり取りが始まったが、遼は鈴の相手が面倒臭くなって席を立った。
そしてそのまま一階のトイレへ入る。
はーぁ、やれやれ。
鈴め、生意気に。
遼のトイレは長い。
一旦入ると大だろうが小だろうがなかなか出てこない。洋式便座に座ってボケっと考え事をするのが好きなのだ。
ん? なに?
遼の目の前のトイレの床にわずかに黒い点が浮かんだ。それが徐々に大きな円を描き見たことのない模様が浮かび上がる。
「なっ! なになに何っ!!!」
遼は目の前で何が起こっているのか理解できず、顔を引きつらせ、便座に座ったまま固まっている。
ごく普通の一般家庭のトイレのサイズ。
ドアの前の壁面には小さな手洗いが付いているので若干便座からドアまでにスペースがある。その床に直径50センチメートル程の黒い魔方陣。
「これってゲームとか漫画やアニメとかで よく見るあれか?魔法使ったり召喚獣出てきたり、、、、鈴のラクガキ?、、だよな。」
「幾ら中二病の俺でもこんなもん信じる訳、、がぁっ?!」
黒い魔方陣が一瞬で黄金色に変わり眩いばかりの光が溢れ出す。その光の中から徐々にまるでエレベーターにでも乗って来たかのように光の魔方陣から頭、顔、首と徐々に1人の少女がせり上がって来たのだ。
大きい、、、
目の前にせり上がってきた少女の見事に育った胸に目が行く。
はうあっ!!
ヤバい。見たらダメだ見たらダメだ。
ちっ、痴漢扱いされて捕まる。
などと遼が考えているうちに青い髪色の少女の全身が姿を現した。
腰まで届く長いストレートヘア。
白地に金の刺繍が施された細身の神官衣、胸元には髪と同じ青色の大粒の宝石が埋め込まれたネックレスが揺れている。
・・・誰?
ってか床から出てきたよねっ!この人っ!
ドッキリカメラっ?!
どっかに隠しカメラが?!
遼は便座に座ったままキョロキョロとトイレ中を確認したが、それらしい物は見当たらない。
突然、遼の右手が両手で包み込まれ、少女が
「$€*%#;<"*$#%;{}]*+'%<!'$^<%」
と凄い勢いで話し始めた。
「&¥@@@((:"^}^+$€\}>^}#;<"!@&」
「あのー、何言ってるか分からないんですけど。」
少女は両膝を折って屈み込み、遼の顔の真ん前に自分の顔を近づけた。
チッッチョチョ!急にぃ!近いぃぃって!
女に免疫ないんだからっ!!!
興味は山程あるんですけどぉ!!コレがリア充ってやつかぁっ!
心の中で嬉しさと困惑が混ざり合いながら遼が叫ぶ。
澄んだブルーアイ、長い睫毛、鼻筋の通った小鼻に少しピンク色かかった唇。尖った顎。
一般的に言う美人さんだ。
そんな美人が真っ直ぐ遼の眼を見つめている。
目が離せん!と言うか離したくない!
けどホント誰だこの子、RPGみたいな格好だけど、、、もう一度話しかけてみるか。
「あ、あのう〜」
遼が少女に話しかけたその瞬間、その少女がニコッっと微笑んだ。
とぷん
「へっ?!」
少女の足元の魔法陣が液状化し今度は底なし沼のようにゆっくりと沈み始めたのだ。
遼の手は少女に掴まれたまま。
その為遼はバランスを崩し、便座から腰が浮き前のめりの状態で一歩右足が魔法陣に入る。
とぷん。
「へっ?!」
遼の足が少女と同じように沈んで行く。
「マジかっ?!」
その時トイレの扉が開かれた。
「お兄ちゃん、いい加減出てよっ!!どんだけ入ってるのよぉ!全くっ!!」
鈴が勢いよくトイレに踏み込んできた。
とぷん
「へっ?!」
ア〜〜ぁ、馬鹿鈴ぃっ!!
遼が止める間も無く鈴も沈み始める。
「鈴ぃ何で入ってくるんだよ馬鹿!!」
「お兄ちゃんっ、何なのよこれっ!!」
とぷん。
青い髪の少女と兄妹の3人は唐突にトイレから姿を消した。
さて、二人が突然青い髪の別嬪さんに拉致されていきました。
行先は何処へ?
別嬪さんは一体誰でしょう?
いよいよ始動しました。トイレから始まるのはさすがに私くらいでは?と思うのですが。
ほかの作品であったら教えてください(笑)