表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢、頑張ります。番外編やSSなど  作者: 影干し
ユリウスとエリザベート
2/4

私の妻は女神のように美しく少女のように愛らしい

タイトルで嫌な予感がした方はブラウザバックか閉じるボタンをポチっと押してください。


 私はユリウス・ウィステリア。

 夜会で見初めたエリザベート嬢と会う回数を重ねるごとに彼女の内面に惹かれていっている自分がいる。


 見た目は妖艶な美女で彼女と目を合わすだけで勘違いする男が多いが彼女は中身がほとんど見た目と真逆と言っていい。

 真面目で少し気が小さく繊細で、少女のように愛らしく微笑むのが彼女の素だ。

 ドレスや宝石などで飾りたてるよりも、家で読書や刺繍をした方が心が休まると聞いた時は本当に周りとの誤解が大きくて少し笑ってしまった。

 これに気付ける男がどれだけこの国にいるだろうか?


 夜会で着ていくドレスも妖艶な目を引くものなのでそれも勘違いの要因なのだが、体の線が出るドレスを着るのは本当は嫌だけれど、隠そうとすると肩幅がおかしくなったり、あまりに太って見えたりするため仕方なく着ているそうだ。

 彼女がより妖艶に見える時は緊張している時。そんな姿も様になり美しいが。

 なるべくエリザベート嬢が安心して笑っていられるよう、守っていきたいと思っている。


 私は彼女が愛らしく笑っている姿も私を怒っている姿も好きだ。

 私たちは周りから勘違いされている事が多く、自分らしさを晒し出せなかった。

 今ではその共通点が二人の間を取り持つ事になったが自分らしさを出しても一緒にいて心地いいのだ。


 日に日に彼女への気持ちが抑えられなくなり私の気持ちを素直に伝えた。

 一生側にいてほしい、私の妻になってほしいと。

 彼女の方も私の事を憎からず思ってくれていたようだが、もう少し時間が欲しいと言われた。

 それもまた真面目な彼女らしくて微笑ましく思ってしまった。

 「今は共通点から気持ちが盛り上がってるだけかもしれません」と言われたが、私にとっては杞憂以外の何物でもない。

 けれど、彼女のペースに合わせるつもりだ。

 極端な恥ずかしがり屋の彼女に返事をもらえるのはまた楽しみでもある。



 エリザベート嬢の家は姉妹が3人いて、姉と妹がいる。エリザベート嬢は真ん中だ。

 私はネイセル伯爵家へお茶会として行ったりもしていた。

 さすがに二人だけという訳にはいかないのでエリザベート嬢の姉君と妹君とも同席した事があるのだが、最初は二人とも私を見てあまり目を合わせたがらず明らかに危険物扱いだった。

 エリザベート嬢は笑いを堪えていたが…。

 姉君は結婚して伯爵家に婿をとっており、妹君は婚約者がいた。

 二人とも、学園を卒業して19歳になっていたエリザベート嬢の事を心配して屋敷に引き籠っていたのを無理矢理、夜会へと送り出したらしい。

 エリザベート嬢がお茶会で退席していた時に姉君に聞いて驚いたのだが、姉君の当時は婚約者だった夫がエリザベート嬢に見惚れてしまった事があり、エリザベート嬢をこの手で叩いてしまったのだと懺悔された。

 姉妹仲が悪い訳では無かったので当時のエリザベート嬢にはかなりショックだったらしく屋敷に引き籠る事になった一因だと言われた。

 意外と気が強い姉君だったのでエリザベート嬢よりも現在の夫への復讐の方がかなり凄かったらしいが。それは妹君から聞いた。

 二人とも小さな頃からエリザベート嬢を知っており、成長と共に苦しんできた姿を知っているので幸せになってほしいと願っていると真面目に話された時に二人からの信頼を得たと思った。


 エリザベート嬢の性格上、そういうトラブルは最も嫌っただろう。

 自分の事を逆に責めてしまったかもしれない。

 夜会やパーティーなどの人が多いところへは行きたがらない、人目を避けるように行動しなければならないエリザベート嬢を思い浮かべてため息を吐いた。

 純粋に惹かれているのと同時に私の隣で安心して人前に立つ事が出来るようにしたいと思った。


 求婚してから2月ほど経ち、二人で出かける事も多くなっていた。

 エリザベート嬢はその日始めから、そわそわしていたので今日は返事がもらえるかもしれないと期待した。

 その日は何か言いかけてやめてしまう事が多く、結局、最後の挨拶でお互い家に帰る頃になって一大決心したエリザベート嬢に私の服を掴んで止められた。

 真っ赤な顔をして震える声で「その…、ユリウス様のお心が変わっていなければ、求婚をお受けしたいと思います…!」と、絞り出すように言われた。

 2月で心変わりすると思ったの?全く…。

 私はちょっとだけ拗ねながらエリザベート嬢をそのまま抱きしめた。

 赤くなった彼女の熱が伝わってくる。女性らしい柔らかく華奢な感触とふわっと甘く香る髪の匂いが私の鼻孔をくすぐった。

 最初は驚いたようだけれど、固くなっていた彼女の力が抜けたのがわかる。

 そのまま抱きしめていると「ユリウス様…?」と切なげな声をかけられたので腕の中にいる彼女の顔を見た。

 彼女があまりに近くて端正な顔立ちがハッキリと見える。

 白い頬に紅が残って私を見上げているとキスをしたくなったが我慢した。


「2月で変わる気持ちだと思ってたの?もう私の未来の人生設計にはエリーしかいないんだけど?…けど凄く嬉しい。ありがとう」


 ほっとしたように彼女は微笑んだ。恥ずかしかったのかそのまま私に顔を埋めてしまった。

 新しい発見だけれど彼女は抱きしめると幸せそうにしてくれる。

 求婚の返事から可愛い姿も見れたし大満足だ。


 早速、家へ話を通して婚約をした後、結婚の準備期間を設けてから私は最高の花嫁を迎え入れた。

 結婚式は私の隣で女神が幸せそうに微笑んでくれていたと言っておこう。

最終回ではありません。もっと甘くなります。

番外編ですので視点がいろいろと変わると思います。


書きたいものを何も気にせず叩きつけるのは楽しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ