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不運な小銭

作者: ParticleCoffee
掲載日:2017/04/08

 自動販売機に小銭を入れようとして、財布から百円玉を落としてしまう。

 拾おうと頭を下げたところで、自動販売機に頭を打ち付ける。

 ぐわっ、と思わずのけぞって、後ろに倒れて地面に後頭部を強打した。

 そんな不運が重なった結果、ボクは命を落としてしまう。

 そして、ボクは自分の遺体の前であぐらをかいて座り込んでいた。

 目の前に倒れる自分は眠っているようにしか見えなかった。

 近くを行き交う通行人にもそう見えたらしく、当たり前のようにボクの遺体の前を通り過ぎていってしまう。

 あまりにも突然すぎる間の抜けた事態に、ただ呆然とするしかない。

 倒れた自分の体に触れてみるが、すり抜けてしまう。

 ピッタリと重なるように寝転んで、起き上がろうとしてみるが、すけたボクのカラダが持ち上がるだけだった。

 再びあぐらをかいて座り直した。

「あのー……」

 背後から声をかけられる。

「いま忙しいんで――」

 声の主を振り返ることなく、ボクは無下に断った。

「じゃ、じゃあ向こうのコンビニで立ち読みしてますんで、それが飽きたら来てくださいね」

 そう言い残して声の主は離れていった。

 なんの用かは知らないが、ボクはいま自分のことで頭がいっぱいなのだ。

 その後も思いつく限りのことを試してみたが、どうすることも出来なかった。

 そうこうしていると、制服を着た警察官が現れた。

 ついにダレかが通報してくれたようだ。

 警察官がボクのカラダをゆすりながら、

「おにいさーん、こんなところで寝てると風邪引いちゃ――」

 声をかけながらボクの顔を見て、すぐに異常に気がつく。

 脈を確認して、警察官はめんどくさいと言わんばかりの表情をした。

 おもむろに、警察官がたおれているボクをロープでまとめ始める。

 一分も経たず、ボクのカラダは気をつけの姿勢でキレイに縛り上げられていた。

「よいっしょ……っと」

 警察官は、縛ったボクのカラダを肩に担ぎ上げた。

 警察官とボクの遺体は、ボクを置き去りにしてコンビニへ向かう。

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